ページトップ
  • 平成20年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第8 文部科学省|
  • 不当事項|
  • 補助金

私立大学等経常費補助金(私立大学教育研究高度化推進特別補助)が過大に交付されているもの


(5) 私立大学等経常費補助金(私立大学教育研究高度化推進特別補助)が過大に交付されているもの

2件 不当と認める国庫補助金 16,444,000円

 私立大学等経常費補助金(私立大学教育研究高度化推進特別補助)は、私立大学における学術の振興及び私立大学等における特定の分野、課程等に係る教育の振興を図ることを目的として、私立大学等の経常的経費について国から学校法人に補助を行い、私立大学等における教育研究の高度化を図るものである。
 この補助金の交付額は、「私立大学等経常費補助金・政府開発援助私立大学等経常費補助金交付要綱」(昭和52年文部大臣裁定)に基づき、「私立大学等経常費補助金(私立大学教育研究高度化推進特別補助)配分基準」に定める方法に基づき算定した額とするとされており、「産学連携研究推進経費」等の補助の対象経費ごとに、その所要経費の2分の1以内の額(ただし、所定の額を限度とする。)となっている。
 本院が58学校法人において会計実地検査を行ったところ、2学校法人の研究者5名が、不適正な経理処理を行い2学校法人に架空の取引に係る購入代金を支払わせて、これを業者に預けて別途に経理していたため、補助金計16,440,000円が過大に交付されていて不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、研究者5名において、補助金の原資は税金であり、事実に基づく適正な会計経理を行うという基本的な認識が欠けていたこと、2学校法人において物品の納品検査等が十分でなかったこと、文部科学省において学校法人及び研究者に対して補助金の不正使用の防止についてその周知徹底が十分でなかったことによると認められる。
 これを事業主体(学校法人)別に示すと次のとおりである。

  部局等 事業主体 補助事業等 年度 補助対象経費 左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める補助対象経費 不当と認める国庫補助金等 摘要
          千円 千円 千円 千円  
(36) 文部科学本省 学校法人聖マリアンナ医科大学 私立大学等経常費補助(私立大学教育研究高度化推進特別補助) 15、16 15,272,164 682,169 22,437 11,300 不適正な経理処理

 学校法人聖マリアンナ医科大学は、同大学に所属する研究者2名が共同研究者等となって実施している研究に係る平成15、16両年度の産学連携研究推進経費等において物品購入費等の所要経費を計222,462,000円とするなどして、計682,169,000円の補助金の交付を受けていた。
 しかし、上記所要経費のうち22,437,040円については、研究者2名が、業者に架空の取引を指示して虚偽の請求書等を作成させ同学校法人に架空の取引に係る購入代金を支払わせて、これを業者に預けて別途に経理していた。
 したがって、これを補助の対象となる所要経費から除外して算定すると適正な補助金の額は670,869,000円となり、11,300,000円が過大に交付されていた。

(37) 文部科学本省 学校法人獨協学園 私立大学等経常費補助(私立大学教育研究高度化推進特別補助) 15〜18 39,000,006 2,455,040 16,301 5,144 不適正な経理処理

 学校法人獨協学園は、同学園に所属する研究者3名が研究代表者等となって実施している研究に係る平成15年度から18年度までの研究科特別経費(研究科分)等において物品購入費等の所要経費を計65,537,000円とするなどして、計2,455,040,000円の補助金の交付を受けていた。
 しかし、上記所要経費のうち16,301,961円については、研究者3名が、業者に架空の取引を指示して虚偽の請求書等を作成させ同学校法人に架空の取引に係る購入代金を支払わせて、これを業者に預けて別途に経理していた。
 したがって、これを補助の対象となる所要経費から除外して算定すると適正な補助金の額は2,449,896,000円となり、5,144,000円が過大に交付されていた。

(36)(37)の計 54,272,170 3,137,209 38,739 16,444  

 上記の事態については、文部科学省は、通知文書を発するなどして補助金の不正使用の防止に取り組んでいるところであるが、さらに、学校法人及び研究者に対する指導を徹底して、補助事業の適正な執行に万全を期する必要があると認められる。