会計名及び科目 | 年金特別会計(業務勘定) (項)施設整備費 | ||
部局等 | (1) 岩手社会保険事務局 | ||
(2) 東京社会保険事務局 | |||
契約名 | (1) 庁舎及び宿舎の敷地測量等委託業務 | ||
(2) 東京社会保険事務局所管国有財産にかかる敷地測量等業務委託 | |||
契約の概要 | 庁舎及び職員宿舎の敷地等について、測量・境界確定等の業務を行わせるもの | ||
契約の相手方 | (1) 社団法人岩手県公共嘱託登記土地家屋調査士協会 | ||
(2) 大輝測量株式会社 | |||
契約 | (1) 平成20年11月 一般競争契約 | ||
(2) 平成20年9月 一般競争契約 | |||
契約額 | (1) | 5,775,000円 | (平成20年度) |
(2) | 37,201,500円 | (平成20年度) | |
計 | 42,976,500円 | ||
割高になっている契約額 | (1) | 4,000,000円 | (平成20年度) |
(2) | 2,400,000円 | (平成20年度) | |
計 | 6,400,000円 |
岩手及び東京両社会保険事務局は、それぞれ平成20年11月、同年9月に、社会保険事務所又は社会保険事務室の庁舎及び職員宿舎(以下「庁舎等」という。)の敷地・建物の測量等の業務を、一般競争契約により社団法人岩手県公共嘱託土地家屋調査士協会、大輝測量株式会社に契約額5,775,000円、37,201,500円で委託して実施している。
これらの委託業務は、「庁舎及び宿舎等の敷地に係る境界確定等について」(平成20年庁文発第0819004号社会保険庁通知。以下「通知」という。)に基づき、管内の庁舎等に係る敷地及び建物のうち、敷地については測量・境界確定等の業務を、建物については測量・表題登記等の業務を、それぞれ行わせるものである。
社会保険庁が所掌する年金事業の運営業務については、日本年金機構法(平成19年法律第109号)により、22年1月以降、新たに設立される日本年金機構(以下「機構」という。)がこれを実施することとされている。これに伴い、公的年金の運営業務に必要な現に国が有する権利及び義務については、原則として、機構の成立の時において機構が承継することとされている。
前記の通知は、機構に承継する資産を確定させるために発出されたもので、これによると測量等の業務は、庁舎等ごとに次の手順で必要な作業を確認した上で行うこととされている。
〔1〕 法務局等の登記簿の面積と国有財産台帳上の面積とを照合し、合致しない場合には測量等の業務を委託の対象とする。
〔2〕 上記〔1〕 の面積が合致しても、既設の境界杭が確認できない場合には境界杭を設置する作業を委託の対象とする。
〔3〕 上記〔1〕 の面積が合致し、かつ、既設の境界杭が確認できた場合には測量等の業務を委託の対象としない。
また、本件委託契約には、敷地の登記簿の面積を測量の結果得られた面積に更正するための地積更正登記を行う作業が含まれている。
本院は、岩手及び東京両社会保険事務局において、合規性、経済性等の観点から、本件測量等の業務の対象とすべき庁舎等の敷地が適切に選定されているかなどに着眼して、本件委託契約を対象に、契約書等の書類を確認するなどの方法により会計実地検査を行った。
検査の結果、岩手及び東京両社会保険事務局において委託する必要のない業務を委託の対象とするなどしていたため、契約額が計約640万円割高となっており不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、岩手及び東京両社会保険事務局において、通知の趣旨、内容に対する理解が十分でなかったことなどによると認められる。
前記の事態を地方社会保険事務局別に示すと次のとおりである。
ア 岩手社会保険事務局
岩手社会保険事務局は、6か所の敷地について測量等の業務を委託の対象としていた。
しかし、このうち5か所の敷地については、登記簿上の面積と国有財産台帳上の面積が合致し、かつ、現地において既設の境界杭が確認できる状況となっていた。
したがって、上記の5か所の敷地については測量等の業務を委託する必要はなく、これを除いて契約額を修正計算すると、1,757,942円となり、本件契約額5,775,000円はこれに比べて約400万円が割高となっている。
イ 東京社会保険事務局
東京社会保険事務局は、34か所の敷地について測量等の業務を委託の対象としていた。
しかし、〔1〕 このうち4か所の敷地については、登記簿上の面積と国有財産台帳上の面積が合致し、かつ、現地において既設の境界杭が確認できる状況となっていた。また、〔2〕 この4か所を含む33か所の敷地については、隣接地権者の同意が得られないことなどにより、地積更正登記が完了していなかった。一方、同局は、登記名義人の表示を厚生省から厚生労働省に変更する登記を、変更契約を締結することなく実施させていて、これに要した業務量が地積更正登記に係る業務量とほぼ同じであるとして当初の契約額のまま委託費を支払っていた。しかし、この登記は「省名変更に伴う登記名義人の表示の変更登記について」(昭和53年8月17日付け法務省民三第4541号民事局第三課長通知)により省略する取扱いで差し支えないものとされているものであった。
したがって、上記4か所の敷地については測量等の業務を、33か所については登記名義人の表示の変更登記を、それぞれ委託する必要はなく、これらを除いて契約額を修正計算すると、34,725,908円となり、本件契約額37,201,500円はこれに比べて約240万円が割高となっている。