地域生活支援事業費等補助金(以下「補助金」という。)は、障害者自立支援法(平成17年法律第123号)等に基づき、障害者及び障害児の福祉の増進を図ることなどを目的として、都道府県が行う専門性が高い相談支援事業等の都道府県地域生活支援事業、市町村(特別区を含む。以下同じ。)が行う移動支援事業等の市町村地域生活支援事業等に要する費用について、その一部を国が補助するものである。
なお、事業の実施形態としては、都道府県又は市町村が自ら実施するほか、社会福祉法人等の事業者等に委託して実施することもできることとなっている。
補助金の交付額は、交付要綱等に基づき、市町村地域生活支援事業等の種目ごとに次のように算定することなどとなっている。
〔1〕 所定の方式によって算定した基準額と、対象経費の実支出額から寄附金その他の収入額を控除した額(以下「差引額」という。)とを比較して少ない方の額を選定する。
〔2〕 〔1〕 により選定された額を補助対象事業費として、これに補助率100分の50を乗じて得た額を交付額とする。
本院が、23都道府県の137市区町村において会計実地検査を行ったところ、次のような事態が見受けられた。
部局等 | 補助事業者 (事業主体) |
年度 | 補助対象事業費 | 左に対する国庫補助金交付額 | 不当と認める補助対象事業費 | 不当と認める国庫補助金交付額 | 摘要 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(270) | 東京都 | 大田区 | 18 | 133,119 | 66,558 | 3,358 | 1,679 | 翌年度予算で支払った経費を含めていたものなど |
大田区は、平成18年度の補助金について、種目ごとに算定した基準額又は差引額により補助対象事業費を算定して、計133,119,774円で事業を実施したとする事業実績報告書を東京都に提出して、国から補助金66,558,000円の交付を受けていた。
しかし、同区は、対象経費の実支出額の算定に当たり、移動支援事業の実施を委託した事業者に対する19年3月分(8,857,910円)の委託費の支払を同年4月に翌年度の19年度予算で行ったことから、19年度の事業実績報告書に計上していたが、同時に、誤って、18年度の事業実績報告書にも含めるなどしていた。このため、適正な差引額を算定すると基準額を差引額が下回ることになることから補助対象事業費が3,358,344円過大に算定されていた。
したがって、この過大に算定された補助対象事業費に係る補助金1,679,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同区において、対象経費の実支出額の算定に当たり、交付要綱等に基づく補助対象事業費の計数についての調査確認が十分でなかったこと、都において、同区から提出された事業実績報告書の審査、確認が十分でなかったことなどによると認められる。