社会福祉施設等施設整備費補助金(保育所耐震化整備に係る分)(以下「国庫補助金」という。)は、地域における子育て支援等の次世代育成支援対策を推進するために、児童福祉法(昭和22年法律第164号)の規定に基づき、社会福祉法人等が設置する保育所に係る施設整備事業に対して、地方公共団体が補助する場合にその費用の一部を国が補助するものである。
国庫補助金の交付額は、交付要綱に基づき、〔1〕 整備する施設の定員や特定保育事業(注)
のための保育室(以下「特定保育室」という。)等の種類に応じて定められている交付基礎点数の合計点数(以下「合計基礎点数」という。)を基に算出した交付基礎額と、〔2〕 対象経費の実支出額と総事業費から寄付金その他の収入額を控除した額とを比較して少ない方の額に2分の1を乗じた額と、〔3〕 地方公共団体が社会福祉法人等に対して補助した額とを比較して、最も少ない額を交付額とする。
本院が、2市町の2事業主体において会計実地検査を行ったところ、次のような事態が見受けられた。
部局等 | 補助事業者等 | 間接補助事業者等 | 補助事業 | 年度 | 国庫補助金交付額 | 不当と認める国庫補助金交付額 | 摘要 | |
千円 | 千円 | |||||||
(300) | 九州厚生局 | 宮崎県北諸県(きたもろかた)郡三股町 | 社会福祉法人信愛福祉会 | 社会福祉施設等施設整備事業 | 19 | 53,359 | 4,340 | 一部の保育室が整備されていなかったもの |
社会福祉法人信愛福祉会は、平成19年度に実施した保育所の改築に当たり、定員60人の園舎整備に併せて特定保育室を整備するなどとして、三股町から補助金の交付を受けていた。そして、同町は特定保育室の整備に係る交付基礎点数を含む合計基礎点数に基づき交付基礎額を算出し、これを交付額として国庫補助金を53,359,000円と算定し、事業実績報告書を九州厚生局に提出して、同額の国庫補助金の交付を受けていた。
しかし、実際には、同法人が整備した保育所には特定保育室が整備されておらず、特定保育室の整備に係る交付基礎点数は算定することができないことから、交付基礎額が過大となっていた。
したがって、合計基礎点数から特定保育室の整備に係る交付基礎点数を差し引いて交付基礎額を算出することなどにより、適正な国庫補助金交付額を算定すると49,019,000円となり、国庫補助金交付額53,359,000円との差額4,340,000円が過大に交付されていて不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同法人において、補助事業の適正な実施について認識が欠けていたこと、同町において、交付要綱等の理解が十分でなかったこと、九州厚生局において、事業実績報告書等の審査、確認が十分でなかったことなどによると認められる。