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  • 平成20年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第10 農林水産省|
  • 不当事項|
  • 役務

水質影響調査業務の請負契約において、諸経費の算定対象とならない水質分析費を誤って対象として諸経費を算定したため、契約額が割高となっているもの


(363) 水質影響調査業務の請負契約において、諸経費の算定対象とならない水質分析費を誤って対象として諸経費を算定したため、契約額が割高となっているもの

会計名及び科目 国営土地改良事業特別会計 (項)土地改良事業費
    平成20年度以降は、
    一般会計 (組織)農林水産本省
        (項)農業生産基盤整備・保全事業費
    食料安定供給特別会計(国営土地改良事業勘定)
      (項)土地改良事業費
部局等 東北農政局馬淵川沿岸農業水利事業所
契約名 馬淵川沿岸(一期)農業水利事業大志田ダム貯水池水質影響調査業務
契約の概要 ダム貯水池周辺における水質影響調査を行うため、採水、水質分析等の業務を行うもの
契約の相手方 2会社
契約 平成16年5月、17年4月、18年4月、19年4月 指名競争契約
契約額
43,984,500円
(平成16年度〜19年度)

割高になっている契約額
5,400,000円
(平成16年度〜19年度)

1 業務の概要

 この業務は、東北農政局馬淵川(まべちがわ)沿岸農業水利事業所(以下「事業所」という。)が、国営かんがい排水事業の一環として、大志田ダムの貯水池周辺における水質影響調査業務を実施しているものである。そして、事業所は、この業務を平成16年度から18年度までの各年度に株式会社日水コンと、19年度にアジア航測株式会社と、それぞれ請負契約(契約額計43,984,500円)を締結して実施している。
 事業所は、上記の請負契約に係る予定価格を、「土地改良工事積算基準(調査・測量・設計)」(農林水産省農村振興局整備部設計課監修)等(以下「積算基準等」という。)に基づき、毎年度同様の方法で積算している。積算基準等によると、水質調査業務費は水質採水作業費と水質分析費から構成されており、このうち水質採水作業費は、採水作業に直接必要な経費である直接採水費と間接的な経費である諸経費の合計額とされ、諸経費は、直接採水費に諸経費率を乗じて算定することとされている。

2 検査の結果

 本院は、事業所において、合規性、経済性等の観点から、請負契約に係る予定価格の積算が適切に行われているかなどに着眼して会計実地検査を行った。そして、前記の請負契約について、実施設計書等の書類により検査したところ、次のとおり適切でない事態が見受けられた。
 18年度請負契約(契約額10,815,000円)において、事業所は、直接採水費に水質分析費を含めた5,056,000円に諸経費率を乗じて諸経費を3,311,000円と算定するなどして、予定価格を11,350,500円と積算していた。
 しかし、積算基準等によると、外注により行われる水質分析費等は諸経費の算定対象とならないとされており、上記のように水質分析費を直接採水費に含めて諸経費の算定対象とし、諸経費を算定していたのは適切とは認められない。これは、16、17、19各年度の請負契約においても同様の事態となっていた。
 したがって、水質分析費を諸経費の算定対象に含めないことなどとして予定価格を修正計算すると、16年度から19年度までの適正な予定価格は計38,503,277円となり、契約額の合 計額43,984,500円はこれに比べて約540万円割高になっており、不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、事業所において、積算基準等に対する認識が十分でなかったこと、予定価格の積算に対する審査・確認等が十分でなかったことなどによると認められる。