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  • 平成20年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第11 経済産業省|
  • 不当事項|
  • 役務

起業家教育促進事業の委託契約において、実際に要した経費に基づかない時間単価により人件費を算定していたため、委託費の支払額が過大となっているもの


(456) 起業家教育促進事業の委託契約において、実際に要した経費に基づかない時間単価により人件費を算定していたため、委託費の支払額が過大となっているもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)経済産業本省 (項)経済産業本省
部局等 経済産業本省
契約名 起業家教育促進事業の委託(平成16年度〜18年度)
契約の概要 公立の小学校、中学校及び高等学校における体験・参加型の起業家教育プログラムによる授業等の実施
契約の相手方 株式会社エ・ム・ズ
契約 平成16年11月、17年4月、18年5月(いずれも随意契約)
支払 平成17年4月ほか
支払額
99,790,369円
(平成16年度〜18年度)

過大になっている支払額
43,097,567円
(平成16年度〜18年度)

1 契約の概要

(1) 委託契約の概要

 経済産業本省は、平成16年度から18年度までの各年度に、公立の小学校、中学校及び高等学校において体験・参加型の起業家教育プログラムによる授業を実施するなどの起業家教育促進事業に係る3件の委託契約を、株式会社エ・ム・ズ(以下「会社」という。)と締結しており、委託費として計99,790,369円を支払っている。

(2) 支払額の算定等

 経済産業本省は、委託契約の支払額については、委託業務に従事する講師等の人件費、事業費、一般管理費等の経費の区分ごとに定めた上限額の範囲内で委託業務の実施に要した経費の額を確定し、支払うこととしている。このうち人件費については、委託業務に従事した者の1時間当たりの人件費単価(以下「時間単価」という。)に、実際に委託業務に従事した時間数を乗じて算出することとしている。
 そして、経済産業本省は、委託契約に基づき、会社から実績報告書を提出させ、委託業務の実施に要した経費を証ひょう、帳簿等により確認したとして、委託費の支払額を確定している。

2 検査の結果

(1) 検査の観点、着眼点、対象及び方法

 本院は、経済産業本省及び会社において、合規性等の観点から、委託業務の経理及び委託業務に要したとする経費は適正かなどに着眼して、前記3契約を対象として、実績報告書等の書類により会計実地検査を行った。

(2) 検査の結果

 検査したところ、会社は、上記3契約の実績報告書の提出に当たり、契約締結時の実施計画書において概算の支出額を算出する際に設定したメイン講師17,000円、アシスタント講師6,000円等が委託業務に従事した講師の時間単価であるとして、これらに委託業務に従事した時間数を乗ずるなどして委託業務に係る人件費を算定していた。
 しかし、会社は、委託業務の実施に当たって、自社が開設した短期間の講師養成講座を受講した者を非常勤講師として雇用し、メイン講師業務については時間単価3,500円(16年度は3,000円)、アシスタント講師業務については時間単価2,000円により算定した額を支払うなどしていて、実績報告書に記載していた時間単価は会社において実際に要した経費に基づくものとなっていなかった。
 したがって、委託業務の実施に実際に要した時間単価等により委託費の支払額を算定すると計56,692,802円となり、前記の委託費の支払額との差額計43,097,567円が過大となっていて、不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、会社において、実際に委託業務の実施に要した経費に基づいて委託費を算定するという基本的な認識が不足していたこと、経済産業本省において、実績報告書の内容の審査・確認が十分でなかったことなどによると認められる。