会計名及び科目 | エネルギー対策特別会計 | (電源開発促進勘定) |
(項)電源立地対策費 | ||
平成18年度以前は、電源開発促進対策特別会計(電源立地勘定) | ||
(項)電源立地対策費 | ||
部局等 | 資源エネルギー庁 | |
交付の根拠 | 発電用施設周辺地域整備法(昭和49年法律第78号)、予算補助 | |
補助事業者 | 県1、町2(事業主体)、計3補助事業者 | |
間接補助事業者 (事業主体) |
町2 | |
交付金 | 電源立地地域対策交付金 | |
交付金の概要 | 発電用施設の設置等の円滑化に資することを目的に、発電用施設が所在する市町村等に対して交付されるもの | |
上記交付金の交付対象事業費の合計 | 7億1951万余円
(平成17年度〜20年度)
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上記に係る交付金交付額 | 4億0765万余円
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国の負担又は補助の割合が法令の規定により定められている事業に交付金が実質的に充てられている交付金交付額 | 4億0765万円
(平成17年度〜20年度)
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資源エネルギー庁は、発電用施設周辺地域整備法(昭和49年法律第78号)等に基づき、原子力、火力、水力等の発電の用に供する施設の設置及び運転の円滑化に資するために、発電用施設が所在し又は建設中の地点を区域内に含む市町村及びこれらの市町村が所在する都道府県(以下、これらを「立地市町村等」という。)に対して、電源立地地域対策交付金(以下「交付金」という。)を交付している。
交付金の交付対象事業は、電源立地地域対策交付金交付規則(平成16年文部科学省・経済産業省告示第2号)により、立地市町村等が実施する公共用施設に係る整備、維持補修又は維持運営、福祉対策等の事業(以下、これらを「交付金事業」という。)とされている。そして、「電源立地地域対策交付金の運用について(通達)」(平成17年2月28日付け16文科開第951号、平成16・09・24資庁第3号。以下「通達」という。)によると、国の負担又は補助の割合が法令の規定により定められている事業については、国の負担又は補助の割合を定めている意味が失われることのないよう、交付金の交付対象としないこととしている。
前記のとおり、交付金の交付対象は、公共用施設に係る整備、維持補修又は維持運営、福祉対策等広範囲にわたっており、その中には事業主体である立地市町村等が、公共用施設の 整備等を自ら実施せずに、一部事務組合が実施する事業に負担金を支払っているものを交付金事業としているものがある。
そこで、本院は、合規性等の観点から、上記の交付金事業の中で通達で定められている交付金の交付対象とはならない事業が実施されているものはないかなどに着眼して、資源エネルギー庁、原子力発電施設が所在している23市町村及び13道県を対象として、実績報告書等の書類及び現地の状況を確認するなどして実地に検査を行った。
検査したところ、次のような事態が見受けられた。
福島県双葉郡富岡、楢葉両町は、平成17年度から20年度までの間に、東北経済産業局から交付金の交付を受けて、水道の配水管敷設工事等の6水道施設整備事業を交付金事業として事業費計6億1975万余円(交付対象事業費6億1964万余円、うち交付金充当額3億4340万円)で実施していた。
一方、富岡、楢葉両町に、近隣の双葉町等3町を加えた5町は、3年3月に一部事務組合である双葉地方水道企業団(以下「企業団」という。)を設立しており、企業団は、各町の水道施設整備を含む水道事業を運営している。5町が11年10月に企業団と締結した「水道事業の統合に関する協定書」によれば、配水管等の建設改良事業費は、事業量に応じてそれぞれの町が負担することとされている。
前記の6水道施設整備事業は、企業団が、水道法(昭和32年法律第177号)を根拠とする厚生労働省所管の補助事業として17年度から20年度までの間に実施した事業の一部であった。同法では、水道事業を実施する地方公共団体(一部事務組合を含む。)に対して、その事業に要する費用のうち政令で定めるものについて、その一部を補助することができることとし、その補助の割合は、水道法施行令(昭和32年政令第336号)に3分の1と定められている。
企業団は、事業費から補助金額を差し引いた額を町ごとに負担金として請求し、富岡、楢葉両町は、この請求に基づき企業団に負担金を支払っていた。そして、富岡、楢葉両町は、その負担金の財源の一部に6水道施設整備事業に係る交付金を充てていた。
さらに、双葉、富岡両町が、19、20両年度に、福島県から交付金の間接交付を受けて実施した4水道施設整備事業の事業費計1億0498万余円(交付対象事業費9986万余円、うち交付金充当額6425万余円)においても同様の事態が見受けられた。
このような事態に対して、東北経済産業局は、補助事業の事業主体は企業団であり、交付金事業の事業主体は町であることから、交付金で負担金を支払うことは、通達が定める国の負担又は補助の割合が法令の規定により定められている事業に交付金が充てられているとはみなさないとしていた。
しかし、前記のとおり、計10水道施設整備事業の事業費計7億2474万余円(交付対象事業費7億1951万余円)における交付金計4億0765万余円は、立地市町村等からの負担金を通じて国の負担又は補助の割合が法令の規定により定められている事業に実質的に充てられていたことになる。
このような事態は、法令で国の負担又は補助の割合を定めている意味が失われることのないようにするとの通達の趣旨からみて適切とは認められず、改善の必要があると認められた。
このような事態が生じていたのは、資源エネルギー庁において、国の負担又は補助の割合が法令の規定により定められている事業について、自ら実施する場合だけでなく、負担金を支払うことにより実施する場合であってもこれに交付金を充てることはできないことを明確にしていなかったことによると認められた。
上記についての本院の指摘に基づき、資源エネルギー庁は、21年9月に各経済産業局等に対して通知を発して、国の負担又は補助の割合が法令の規定により定められている事業について、自ら実施する場合だけでなく、負担金を支払うことにより実施する場合であってもこれに交付金を充てることはできないことを明確にし、交付金が適切に交付されるようにする処置を講じた。