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  • 平成20年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第12 国土交通省|
  • 不当事項|
  • 補助金|
  • 補助事業の実施及び経理が不当と認められるもの|
  • (1) 補助金の交付額の算定が適切でないもの

割増分の交付金の交付対象とならない事業を交付対象事業としていたため、交付金が過大に交付されているもの


 割増分の交付金の交付対象とならない事業を交付対象事業としていたため、交付金が過大に交付されているもの (1件 不当と認める国庫補助金 30,150,000円)

  部局等 補助事業者等
(事業主体)
補助事業等 年度 事業費
(国庫補助対象事業費)
左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費
(国庫補助対象事業費)
不当と認める国庫補助金等相当額
          千円 千円 千円 千円
(492) 神奈川県 川崎市 まちづくり交付金
(地域生活基盤施設)
20 1,609,000
(1,609,000)
58,500 1,042,000
(1,042,000)
30,150

 この交付金事業は、川崎市が、小杉駅周辺地区において、都市再生特別措置法(平成14年法律第22号)等に基づいて、平成17年3月に都市再生整備計画(以下「整備計画」という。)を策定し、17年度から21年度までの5年間に、地域交流センター、駅前広場、消防署等の整備を行っているものである。
 この交付金事業の交付対象事業について、国土交通省は、20年9月に各都道府県、政令指定都市等に対して「まちづくり交付金制度の適正な活用について」(国都事第14号。以下「通知」という。)を発し、消防署等の市町村としての基礎的行政サービスを提供するための施設は、原則として交付対象事業とすることはできないこととした。ただし、同省は、市町村の財政運営への影響等を考慮して、通知が発せられる前に整備が終了したものあるいは通知が発せられる前から整備が継続しているものについては、従来どおり交付対象事業として認めることにした。
 したがって、本件小杉駅周辺地区における消防署整備事業は、通知が発せられる前の20年3月に整備が終了しているため、従来どおり交付対象事業にすることが認められている。
 また、上記まちづくり交付金の交付限度額は、まちづくり交付金交付要綱(平成16年国都事第1号、国道企第6号、国住市第25号国土交通事務次官通知)により、通常、交付対象事業費の40%とされているが、20年度第2次補正予算(21年1月成立)により、地域における防災機能の向上に資する公園、広場、地域交流センター等の公共公益施設の整備に該当する事業(以下「防災対象事業」という。)を行う一部の地区について、その交付限度額の算定に当たって、防災対象事業の交付対象事業費に対する交付金の割合を通常の40%から45%に割増しすることとされた。
 本件小杉駅周辺地区における交付金事業について、次のとおり、適切でない事態が見受けられた。
 すなわち、同市は、前記の消防署整備事業(整備計画上の事業費1,170,000,000円)を防災対象事業に該当する事業であるとして、21年3月に、消防署整備事業に実際要した事業費1,042,000,000円に整備中の駅前広場の事業費567,000,000円を合わせた計1,609,000,000円を防災対象事業の事業費として交付申請を行い、割増分として58,500,000円を受け入れていた。
 しかし、前記の消防署整備事業について、通知が発せられた後に成立した補正予算による割増分の交付金の交付を受け入れていることは、消防署整備事業を原則として交付対象事業としないとする通知の趣旨に反するものであり、適切とは認められない。
 したがって、割増分の交付金の交付対象となる適正な防災対象事業の事業費は、消防署の整備事業費を控除した567,000,000円となることから、適正な割増分の交付金相当額は28,350,000円となり、前記の交付金58,500,000円との差額30,150,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、同市において、通知に対する理解が十分でなかったこと、国土交通省において、整備計画及びその添付書類に対する確認が十分でなかったことなどによると認められる。