部局等 | 補助事業者等 (事業主体) |
補助事業等 | 年度 | 事業費 (国庫補助対象事業費) |
左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費 (国庫補助対象事業費) |
不当と認める国庫補助金等相当額 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(500) | 岩手県 | 紫波郡矢巾町 | 町道中央1号線地方道路交付金 | 20 | 25,128 (25,000) |
13,750 | 25,128 (25,000) |
13,750 |
この補助事業は、矢巾町が、同町藤沢地内において、大学附属病院等の建設に伴う交通量の増大に対応するため、町道中央1号線の延長959.5mの舗装工等を実施したものである。
本件工事は、北側280.0m区間(以下「北側」という。)については平成元年に、また、南側697.5m区間(以下「南側」という。)については2年にそれぞれ築造された舗装を改良するため、表層工、路盤工等を行うものである。
同町は、本件工事の舗装構造の設計に当たって、アスファルト舗装要綱(社団法人日本道路協会編。以下「要綱」という。)等に基づき、舗装の等値換算厚(注1)
(以下「TA
」という。)が、設計CBR(注2)
と交通量区分(注3)
に応じて示されるTA
(以下「目標TA
」という。)を上回る舗装構造とすれば、所定の設計期間(標準10年)を通じて安全かつ円滑な交通が確保されるとして、次のように設計し、これにより施工していた。
すなわち、北側については、設計期間を10年とし、当該区間の設計CBRを6%と設定して、舗装のTA
が22.7cmとなる舗装構造とすれば、これが目標TA
21.0cmを上回ることから、設計計算上安全かつ円滑な交通が確保されるとしていた。また、南側については、27年の大学附属病院建設後に再度改良を予定しているため、設計期間を標準の10年より短い7年とし、当該区間の設計CBRを3%と設定して、舗装のTA
が19.7cmとなる舗装構造とすれば、これが目標TA
19.0cmを上回ることから、設計計算上安全かつ円滑な交通が確保されるとしていた。
しかし、北側及び南側の設計がそれぞれ次のとおり適切でなかった。
すなわち、舗装工事を施行するに当たっては、国土交通省が定めた「舗装の構造に関する技術基準」(平成13年国道企第55号ほか国土交通省道路局長ほか通知。以下「基準」という。)に基づいて設計すべきであったのに、同町は、北側、南側いずれについても基準に基づくことなく前記の要綱のみに基づいて設計していた。また、北側については、当該区間で既設舗装を実施した際の設計CBRに基づき設計CBRを3%と設定すべきであったのに、誤って別の区間の設計CBRに基づき6%と設定していた。さらに、南側については、設計期間を7年としていることから、基準に基づき、舗装に必要なTA
を交通量区分に応じた設計期間10年の疲労破壊輪数(注4)
に当該設計期間の10年に対する割合(10分の7)を乗ずるなどして算定すべきであったのに、これによることなく、誤って交通量調査結果に基づいた交通量区分より一段階下の交通量区分を適用して目標A
を過小に設定するなどして舗装構造を設計していた。
そこで、北側及び南側について、改めて、適正な設計CBRと交通量区分を適用して基準に示された算定式により舗装に必要なA
を算出すると、それぞれ25.1cm及び23.8cmとなり、前記の設計計算におけるA
22.7cm及び19.7cmはこれを下回っていて、いずれも設計計算上安全とされる範囲に収まっていなかった。
したがって、本件舗装工(工事費相当額25,128,600円)は、舗装構造の設計が適切でなかったため、所定の設計期間における安全かつ円滑な交通が確保されていない状態になっており、これに係る国庫補助金13,750,000円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同町において、本件舗装構造の設計等に対する認識が十分でなかったことによると認められる。