部局等 | 補助事業者等 (事業主体) |
補助事業等 | 年度 | 事業費 (国庫補助対象事業費) |
左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費 (国庫補助対象事業費) |
不当と認める国庫補助金等相当額 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(501) | 福岡県 | 柳川市 | 五給人開西矢島線道路災害復旧工事、観音小路久々田線道路災害復旧工事 | 19 | 15,792 (15,792) |
10,533 | 7,630 (7,630) |
5,089 |
この補助事業は、柳川市が、柳川、大和両地区において、河川に面していて豪雨により被災した道路の機能回復を図るために、土工、擁壁工等を実施したものである。
このうち擁壁工は、道路の擁壁及び河川の護岸を兼用する構造としてブロック積擁壁(高さ1.9m〜2.8m延長計76m。)を築造するものである。そして、全延長のうち57.5m区間については、車両の路外への逸脱を防止するため、被災前には設置されていなかったガードレールを市の単独事業により新たに設置している(参考図参照)。
そして、本件擁壁については、「道路土工・擁壁工指針」(社団法人日本道路協会編。以下「指針」という。)に示された直高と法(のり)面勾(こう)配の関係表等に基づき、安全性について検討を行ったところ、擁壁の高さ等が安全とされる範囲に収まっていたことから、設計計算上安全であるとして、これにより施工していた。
しかし、同市は、上記の57.5m区間のガードレールの設置に当たって、これを設置するための鉄筋コンクリート造の基礎を擁壁上部に設けるなどガードレールを擁壁と分離するための措置を講ずることなく、構造上一体のものとして擁壁上部に直接設置していた。そして、このような場合には、指針によると、車両がガードレールに衝突する時の荷重を考慮して擁壁の安定計算等を行うこととされているのに、同市では、その検討を行っていなかった。
そこで、ガードレールを直接設置した57.5cm区間について、指針に基づく安定計算等を行ったところ、車両がガードレールに衝突する時の擁壁のコンクリートに生ずる曲げ引張応力度(注)
は0.57N/mm2
となり、許容曲げ引張応力度(注)
の0.33N/mm2
を大幅に上回っており、また、擁壁の転倒に対する安全率は1.02又は0.93となり、許容値0.2を下回っていて、いずれも設計計算上安全とされる範囲に収まっていなかった。
したがって、本件57.5m区間の擁壁等(工事費相当額7,630,000円)は、設計が適切でなかったため、所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る国庫補助金相当額5,089,210円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同市において、ガードレールと構造上一体として築造した場合の擁壁の安定計算等について理解が十分でなかったことなどによると認められる。
(参考図)
本件57.5m区間の擁壁概念図
正しい施行例