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  • 平成20年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第12 国土交通省|
  • 不当事項|
  • 補助金|
  • 補助事業の実施及び経理が不当と認められるもの|
  • (2) 工事の設計が適切でないもの

道路照明施設の設計が適切でないもの


 道路照明施設の設計が適切でないもの (1件 不当と認める国庫補助金 1,668,150円)

  部局等 補助事業者等
(事業主体)
補助事業等 年度 事業費
(国庫補助対象事業費)
左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費
(国庫補助対象事業費)
不当と認める国庫補助金等相当額
          千円 千円 千円 千円
(503) 大阪府 大東市 市道諸福中垣内線交通安全施設等整備 18、19 56,175
(52,740)
29,007 3,033
(3,033)
1,668

 この補助事業は、大東市が、扇町地内において、高齢者等の安全で円滑な移動を図るために、照明施設設置工、舗装工等を実施したものである。
 このうち、照明施設設置工は、市道諸福中垣内線の歩道に道路照明施設7基を設置するものである。
 本件事業は、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(平成18年法律第91号)に基づき、市内の道路に高齢者等の移動の利便性及び安全性の向上を図るために必要な施設の設置等を行う道路特定事業の一部として、市道諸福中垣内線の歩道に道路照明施設等を設置するもので、同線は、住宅地域にあって、鉄道旅客施設と官公庁、福祉施設等との間の移動の円滑化を図るために同事業の実施が特に必要であると認められる経路に該当している。
 本件道路照明施設の設計は、「道路の移動等円滑化整備ガイドライン」(財団法人国土技術研究センター編)等に基づき行われている。同ガイドラインによると、本件のように、住宅地域にあって夜間の歩行者交通量が多い場合には、歩道路面上の照度(注) は5.0ルクス以上を確保することとされている。このため、同市は、設計において、歩道路面上の照度が5.0ルクス以上となるように照度計算を行い、本件道路照明施設のランプの仕様を180Wの高圧ナトリウムランプとしていた。
 しかし、同市は、請負人から施工に先立って提出された使用材料承諾願に、本件道路照明施設のランプの仕様を誤って110Wの高圧ナトリウムランプとする旨が記載されていたのに、これを十分に検討することなく承諾し、これにより施工していた。
 このため、本件事業の夜間における歩道路面上の照度は2.9ルクスから4.8ルクスとなっていて、道路照明施設7基を設置した区間すべての歩道路面において、必要とされている5.0ルクス以上の照度が確保されていなかった。
 したがって、本件道路照明施設(工事費相当額3,033,000円)は、設計が適切でなかったため、所要の照度が確保されておらず、これに係る国庫補助金相当額1,668,150円が不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、同市において、請負人から提出された使用材料承諾願に設計と異なる仕様の高圧ナトリウムランプが記載されていたのに、これに対する検討が十分でなかったことによると認められる。

 照度  光源から放射される光の量を光束といい、単位面積当たりに入射する光束を照度(ルクス)と いう。