部局等 | 補助事業者等 (事業主体) |
補助事業等 | 年度 | 事業費 (国庫補助対象事業費) |
左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費 (国庫補助対象事業費) |
不当と認める国庫補助金等相当額 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(506) | 山形県 | 山形県 | 建物移転補償 | 19 | 119,090 (119,090) |
65,499 | 3,601 (3,601) |
1,980 |
この補助事業は、山形県が、道路の拡幅に必要な用地の取得に当たり、支障となる山形市内の鉄骨造り2階建て店舗(延床面積343.2m2
。以下「本件店舗」という。)を移転させるなどのため、補償費119,090,022円(国庫補助金65,499,512円)で、本件店舗の所有者に建物等の移転に伴う損失補償を行ったものである。
同県は、公共事業の施行に伴う損失補償を、「公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱」(昭和37年閣議決定)等に基づき国土交通省が制定した「国土交通省の公共用地の取得に伴う損失補償基準」(平成13年国土交通省訓令第76号。以下「補償基準」という。)を準用するなどして行うこととしている。
補償基準等によれば、鉄骨造り建物の建物移転料は、建物のく体、電気設備等の工事費を積み上げるなどして算出することとされており、く体に係る工事費は、く体の鉄骨重量に鋼材費、工場加工・組立費等の各単価を乗ずるなどして算出することとされている。また、建物の不可視部分の調査は、既存図を利用して行うものとされている。
鉄骨造り建物に使用されるH 形鋼等の鋼材には、既製のH形鋼の他に工場等で鋼板を溶接等により組み立てて製作した鋼材(以下「ビルドH鋼材」という。)がある。
そして、前記の鋼材費、工場加工・組立費等の各単価には、柱、梁(はり)等の建物の主要構造部に使用されている鉄骨(以下「主要鋼材」という。)の型状に応じて、主要鋼材にビルドH鋼材が使用されている場合の「ビルドH主体」の区分と既製のH形鋼が使用されている場合の「H形鋼主体」の区分とがあり、ビルドH主体の各単価は、上記のような製作方法等のため、H形鋼主体に比べて割高になっている。
そして、同県は、本件店舗について、主要構造部でない箇所に使用されているH形鋼に溶接痕(こん)が目視されたため、既存図を利用することなく、目視できなかった主要鋼材にもビルドH鋼材が使用されていると判断して、鉄骨重量にビルドH主体の各単価を乗ずるなどして、建物移転料を100,224,455円と算定していた。
しかし、本件店舗の既存図によれば、本件店舗の主要鋼材はビルドH鋼材ではなく既製のH形鋼であることから、本件店舗には、ビルドH主体ではなく、H形鋼主体の各単価を適用すべきであったと認められる。
したがって、本件店舗について、前記の鉄骨重量にH形鋼主体の各単価を乗ずるなどして本件店舗の建物移転料を算出すると、96,685,310円となり、これにより、本件店舗の移転等に係る適正な補償費を算定すると、他の算定誤りの修正も含めて115,488,521円となることから、前記の補償費119,090,022円との差額3,601,501円が過大となっており、これに係る国庫補助金相当額1,980,825円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同県において、委託した補償費算定業務の成果品に誤りがあったのに、これに対する検査が十分でなかったことによると認められる。