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  • 平成20年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第12 国土交通省|
  • 不当事項|
  • 補助金|
  • 補助事業の実施及び経理が不当と認められるもの

補助の目的を達していないもの 取得した用地が補助の目的を達していないもの


(5) 補助の目的を達していないもの  1件 不当と認める国庫補助金 357,993,000円

 取得した用地が補助の目的を達していないもの

(1件 不当と認める国庫補助金 357,993,000円)

  部局等 補助事業者等
(事業主体)
補助事業等 年度 事業費
(国庫補助対象事業費)
左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費
(国庫補助対象事業費)
不当と認める国庫補助金等相当額
          千円 千円 千円 千円
(510) 埼玉県 埼玉県 下水道 昭和52〜55 537,002
(537,002)
357,993 537,002
(537,002)
357,993

 この補助事業は、埼玉県が、荒川左岸北部流域下水道事業(以下「北部流域事業」という。)及び荒川左岸南部流域下水道事業(以下「南部流域事業」という。)の一環として、下水処理場から発生する下水汚泥の焼却灰を道路用の路盤材等として利用するまでの間、一時貯留する仮置場として使用するため、それぞれ、昭和52年度に桶川市大字五丁台地内の土地1,913m を19,130,800円(国庫補助金相当額12,753,000円)で、また、53年度から55年度までの間にさいたま市西区内野本郷地内の土地26,133m を517,871,822円(補償費2,249,180円を含む。国庫補助金相当額345,240,000円)で取得したものである。
 同県は、従前、下水汚泥の焼却灰を埋立処分していたが、処分先が定まらないなどの状況であったことから、下水汚泥を資源として有効利用することとし、焼却灰について物性試験等の調査及び検討を行った結果、52年度に焼却灰を道路用の路盤材等として利用することができ、事業化が可能であると判断して、上記のとおり、本件用地の取得を行ったものである。
 しかし、その後、同県が焼却灰を路盤材等として利用することについて、57年9月及び59年1月に県道において試験施工したところ、路盤材等としての焼却灰は、耐久性に優れるなどの成果がみられたものの、強度のばらつきや、水分に影響を受けるという性質等が見受けられたことから、施工場所の選定や品質管理が難しく、使用が制限されるため扱いにくいものであることが判明した。このため、道路用の路盤材等としての利用が軌道に乗らず、同県は、平成8年度まで、焼却灰を本件用地に一時貯留することなく埋立処分していた。
 一方、同県は、6年頃から焼却灰をセメント原料として利用する取組を進め、8年度以降は、北部流域事業の焼却灰発生量の全量を、また、11年度以降は、南部流域事業の焼却灰発生量の全量をセメント原料として下水処理場から直接セメント工場に搬入していた。
 また、南部流域事業においては、昭和57年11月に県議会に対して、本件用地の付近住民から本件用地も含めた隣接する河川流域への盛土行為を制限することなどを求める請願が提出され、同年12月に県議会がこの請願を採択するところとなったため、焼却灰の仮置場として利用することが困難な状況となっていた。
 上記のように、北部、南部両流域事業で取得した本件用地計28,046m は、取得してから約30年間にわたり、焼却灰の仮置場として一度も利用されておらず、今後も同用地として利用されないものとなっている。
 したがって、本件事業により取得した用地(用地費等19,130,800円及び517,871,822円、計537,002,622円)は、焼却灰の仮置場として一度も利用されていないことから、補助事業の目的を達しておらず、これに係る国庫補助金相当額12,753,000円及び345,240,000円、計357,993,000円が不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、同県において、焼却灰の他の利用方法の確立や仮置場としての利用の制限等、本件用地をめぐる状況に変化があったのに、仮置場としての利用の見直しを行わなかったことなどによると認められる。