部局等 | 補助事業者等 (事業主体) |
補助事業等 | 年度 | 事業費 (国庫補助対象事業費) |
左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費 (国庫補助対象事業費) |
不当と認める国庫補助金等相当額 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(511) | 中国地方整備局 | 島根県隠岐郡海士町 | 保々見港港湾改修工事 | 20 | 69,057 (69,057) |
34,528 | 18,401 (18,401) |
9,200 |
この補助事業は、海士町が、保々見(ほぼみ)港において、船舶の係留場所を確保するための物揚場及びその静穏を維持するための防波堤の築造を、それぞれ工事費相当額29,169,000円及び37,091,000円で実施するなどしたものである。
このうち、防波堤の堤頭部(延長13.0m)に係る工事については、設計図書等によると、次のとおり施工することとしていた(参考図参照)
。
〔1〕 基礎工として、海底から水深4.0mの高さまで基礎捨石を投入してマウンドを築造する。
〔2〕 本体工として、長さ3.2mの二段積みセルラーブロック4基を、それぞれの底部に摩擦増大マットを取り付けて、マウンドの上に据え付ける。
〔3〕 被覆工として、マウンドに被覆石を設置する。
〔4〕 上部工として、二段積みセルラーブロックに上部コンクリートを打設する。
上記のうち、本体工及び上部工により築造される堤体の設計に当たっては、「港湾の施設の技術上の基準・同解説」(国土交通省港湾局監修)に基づき安定計算を行い、セルラーブロックの底部に摩擦増大マットを取り付けることにより、堤体の滑動に対する抵抗力は184.0kN/mとなって、既往最高潮位において堤体に作用する水平波力165.4kN/mを上回ることから、安定計算上安全であるとしていた。
しかし、請負人は、二段積みセルラーブロック4基を、誤ってそれぞれの底部に摩擦増大マットを全く取り付けないまま、マウンドの上に据え付けていた。
そこで、摩擦増大マットが取り付けられていない場合の本件堤体の安定計算を行うと、堤体の滑動に対する抵抗力は147.2kN/mとなり、水平波力165.4kN/mを下回って、安定計算上安全とされる範囲に収まっていなかった。
したがって、本件防波堤の堤体等(工事費相当額18,401,000円)は、本体工の施工が設計と著しく相違しているため、所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る国庫補助金相当額9,200,500円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、請負人が設計図書等についての理解が十分でないまま摩擦増大マットを取り付けないで施工していたのに、これに対する同町の監督及び検査が十分でなかったことなどによると認められる。
(参考図)