会計名及び科目 | 社会資本整備事業特別会計 | (道路整備勘定) | |||
(項)道路交通安全対策事業費 | |||||
(項)北海道道路交通安全対策事業費 | |||||
(項)沖縄道路交通安全対策事業費 | |||||
平成19年度は、 | |||||
道路整備特別会計 | (項)道路事業費 | ||||
(項)北海道道路事業費 | |||||
(項)沖縄道路事業費 | |||||
部局等 | 23国道事務所等 | ||||
事業の根拠 | 道路法(昭和27年法律第180号) | ||||
契約の概要 | 国道に設置した道路照明施設に必要な電気の供給を受けるもの | ||||
契約の相手方 | 10電力会社 | ||||
電気料金の支払額 |
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契約容量を適切に見直すなどしていた場合に節減できた電気料金 | 4247万円
(平成19、20両年度)
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水銀ランプを省電力型ランプに交換していた場合の電気料金の低減額 | 1億2730万円
(平成19、20両年度)
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標記について、会計検査院法第34条の規定により、下記のとおり是正の処置を要求し及び是正改善の処置を求める。
貴省は、道路整備事業の一環として、国道事務所等において、国道の新設時等に道路照明施設を設置するとともに、これら道路照明施設の維持管理業務として、寿命等により点灯しなくなったランプの交換等を行っている。
道路照明施設は、夜間等において、道路状況及び交通状況を的確に把握するための良好な視環境を確保し、道路交通の安全等を図ることを目的として設置するものであり、貴省では、その設置等を、貴省制定の道路照明施設設置基準(以下「設置基準」という。)等に基づいて行うこととしている。
そして、国道事務所等は、設置した道路照明施設に必要な電気の供給を受けるため、電力会社と電気供給約款(以下「約款」という。)に基づいて電気需給契約を締結して、毎月電気料金を支払っている。
設置基準によれば、道路照明施設に使用するランプは、発光効率が高く寿命が長いこと、演色性(注1)
が適切であることなどが求められており、設置場所の環境に適合したものを選定する必要があるとされている。そして、ランプの種類には、水銀ランプ、高圧ナトリウムランプ、セラミックメタルハライドランプ等がある。
上記ランプのうち、水銀ランプは、従来から道路照明施設に使われてきた演色性の良いランプである。
また、高圧ナトリウムランプは、昭和50年代から使用されており、水銀ランプに比べて、同等程度の明るさの場合、電力消費量が約2分の1となり、定格寿命は2倍程度となることから、維持管理費用を節減できるとともに、二酸化炭素の削減効果により環境負荷の低減に優れたランプである。
さらに、セラミックメタルハライドランプは、平成10年代半ばから使用されており、高圧ナトリウムランプよりも良い演色性を必要とする箇所で使用されることが多く、水銀ランプに比べて、同等程度の明るさの場合、電力消費量が約2分の1となり、定格寿命は1.5倍程度となることから、高圧ナトリウムランプと同様に維持管理費用の節減及び環境負荷の低減に優れたランプである。
近年の循環型社会に向けた取組の一環として、「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律」(平成12年法律第100号)が制定されるなどしており、国等は、環境に配慮した物品等を積極的に使用するよう求められている。そして、貴省は、これを受けて、環境物品等の調達の推進を図るための方針(以下「調達方針」という。)を作成・公表するなどしており、道路照明施設に使用するランプについては、設置箇所に求められる光色や演色性にも配慮しつつ、水銀ランプに比べ電力消費量が約2分の1となる高圧ナトリウムランプ又はセラミックメタルハライドランプ(以下、これらを「省電力型ランプ」という。)の使用を推進することとしている。
設置基準等によれば、道路照明施設は、安全で円滑な視環境を確保するため、維持管理を適切に行うものとされ、ランプの交換に当たっては、点灯状況の点検結果及びランプの定格寿命を考慮して、その交換方式を決定し、それに従ってランプの交換を実施する必要があるとされている。そして、ランプの交換方式には、点灯しなくなったランプをその都度個々に交換する方式や、一定時間経過後に、点灯、不点灯にかかわらず全部のランプを交換する方式等があり、ランプの定格寿命を考慮して最適な方式を採用する必要があるとされている。
道路照明施設の設置に伴い新たに電気の供給を受ける場合は、約款によると、契約種別、契約上使用する負荷設備(以下「契約負荷設備」という。)等を明らかにして電力会社に申し込むこととされている。また、契約内容を変更する場合も同様とされている。そして、道路照明施設には公衆街路灯の契約種別が適用され、契約負荷設備の総容量に応じて、契約する容量(以下「契約容量」という。)が決定されることとなっている。この契約容量は、契約負荷設備の容量が増減した場合、電力会社に申し込むことにより変更できることとなっており、契約容量を減じた場合、その容量に応じて電気料金が減額されることになる。
貴省では、前記の調達方針等により、道路照明施設の設置及びランプの交換に当たって、省電力型ランプの使用を推進することとしている。
そこで、本院は、経済性等の観点から、国道事務所等が設置及び管理している道路照明施設について、水銀ランプから省電力型ランプに交換した場合に適正な契約容量による電気需給契約の変更が適切に行われているか、また、維持管理の経済性と環境負荷の低減に優れた省電力型ランプの使用拡大が図られているかなどに着眼して検査した。
23国道事務所等(注2) が、21 年3月末現在、管理している道路照明施設計73,715灯に係る電気需給契約33,248契約について、19、20両年度に支払った電気料金計24億2857万余円を対象として、また、23国道事務所等が、19、20両年度に道路照明施設の設置、ランプの交換等を実施した計163工事、工事費計109億8490万余円(これに係る道路照明施設計21,730灯)を対象として、電気料金の請求書、各工事の設計図書等の書類により会計実地検査を行い、必要に応じて現場に赴き現地の状況を検査した。
検査したところ、次のような事態が見受けられた。
23国道事務所等において、点灯しなくなった水銀ランプを省電力型ランプに交換した際に、契約負荷設備の容量が減少していたにもかかわらず、電気需給契約の見直しを行わず、電力会社に対する電気需給契約の変更の申込みを行っていなかったことなどのため、2,594契約(これに係る道路照明施設9,469灯、19、20両年度に支払った電気料金計1億2782万余円)において、電気料金の節減が図られていなかった。これらの契約について、契約容量を適切に見直して電気需給契約の変更等を行っていたとすれば、適正な電気料金は、19、20両年度で、計8534万余円となり、4247万余円が節減できたと認められる。
常陸河川国道事務所では、道路照明施設5,679灯に係る電気需給契約2,769契約について、平成19、20両年度に、電力会社に電気料金計1億7020万余円を支払っている。このうち、道路照明施設1灯については、水銀ランプ400Wに必要な電力を500VAとして、電力会社と電気需給契約を契約容量500VAで締結しており、19、20両年度に電気料金計43,734円を支払っている。しかし、18年7月に、水銀ランプ400Wから、高圧ナトリウムランプ200Wに交換しており、これに必要な電力は2260VAであることから、約款によると、契約容量は300VAで足りることとなり、契約容量を適切に見直して電気需給契約の変更を行っていたとすれば、19、20両年度で、電気料金は計26,688円となり、17,046円が節減できた。そして、同事務所では、このような事態の電気需給契約が計223契約あり、適正な契約容量により電気需給契約の変更を行っていたとすれば、19、20両年度で計317万余円が節減できた。
23国道事務所等においては、19、20両年度に、道路照明施設の設置及びランプの交換に当たっては、前記の調達方針等に基づき、原則として省電力型ランプを使用していた。このうち、ランプの交換については、点灯しなくなったランプをその都度個々に交換する方式により行っていることから、各事務所が管理している道路照明施設の中には、21年3月末時点において、なお計8,643灯の水銀ランプが使用されている状況である。そして、これらの水銀ランプについては、定格寿命を経過しているものが多数を占めている状況であった。
また、上記8,643灯のうち、15国道事務所等(注3)
で使用されている計746灯については、19、20両年度にランプの交換を行った際に、既存のランプと同種類のランプを使用していて、省電力型ランプに交換されていないものなどであった。
一方、前記のとおり、省電力型ランプは、水銀ランプに比べて、電気料金の節減等が図られ維持管理が経済的であること及び環境負荷の低減に優れていることから、現在使用している水銀ランプについては、現地の状況を踏まえつつ、設置基準等にあるように、ランプの定格寿命を考慮して、最適な交換方式を採用することにより、速やかに省電力型ランプへの交換を行うなどして電気料金の節減を図る必要があると認められる。
そこで、現在使用している前記の水銀ランプ8,643灯を、19年度当初時点から同等程度の明るさの省電力型ランプに交換したとして19、20両年度の電気料金の低減額を試算すると、計約1億2730万円となる。
上記のように、国道事務所等において、水銀ランプを省電力型ランプに交換しているのに電気需給契約の契約容量の見直しなどを行っていなかったり、省電力型ランプは維持管理の経済性と環境負荷の低減に優れていて調達方針においてもその使用を推進することとされているのになお多数の水銀ランプを使用したりしているため、電気料金の節減が図られていない事態は適切とは認められず、是正及び是正改善を図る要があると認められる。
このような事態が生じているのは、国道事務所等において、契約容量の見直しによる電気料金の節減や維持管理の経済性と環境負荷の低減に優れた省電力型ランプの選定等に対する検討が十分でなかったことにもよるが、貴省において、次のようなことを国道事務所等に十分に周知徹底していないことなどによると認められる。
ア 水銀ランプを省電力型ランプに交換する際に、電気需給契約の契約容量の見直しなどを確実に行うこと
イ 維持管理の経済性と環境負荷の低減に優れた省電力型ランプの使用を徹底して、現在使用している水銀ランプを省電力型ランプに速やかに交換すること
道路照明施設の設置、ランプの交換等は、今後も引き続き多数実施されることが見込まれ、また、既設の道路照明施設の維持管理費用も引き続き多額に上ることが見込まれる。
ついては、貴省において、国道事務所等が管理している道路照明施設について、契約容量の見直しによる電気料金の節減や維持管理の経済性と環境負荷の低減に優れた省電力型ランプの選定等が適切に行われるよう、次のとおり是正の処置を要求し及び是正改善の処置を求める。
ア 契約容量が過大となっている電気需給契約については、直ちにその見直しを行うなどして電気料金の節減を図ること
イ 維持管理の経済性と環境負荷の低減に優れた省電力型ランプの使用を徹底し、現在使用している水銀ランプを省電力型ランプに速やかに交換するなどして、電気需給契約の契約容量の見直しなどを確実に行うための具体的な方策を国道事務所等において定めること