会計名及び科目 | 一般会計 | (組織)国土交通省 | (項)都市再生プロジェクト事業推進費 |
社会資本整備事業特別会計(道路整備勘定) | |||
(平成19年度以前は、道路整備特別会計) | |||
(項)道路事業費 | |||
(項)道路環境整備事業費 | |||
部局等 | 国土交通本省(国有財産等の事務の総括管理部局) | ||
2国道事務所(国有財産等の管理部局) | |||
道路情報センターの概要 | 災害情報等の道路情報を分析・提供するための設備を設置して、担当者が常駐し道路情報管理業務を集約して行う施設 | ||
国有財産台帳等に記録すべき価格の基礎となる施設等の取得に要した費用の額 | 62億4885万円
(平成7年度〜20年度)
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標記について、会計検査院法第34条の規定により、下記のとおり是正の処置を要求し及び是正改善の処置を求める。
貴省は、道路の保全、交通安全対策等に関する道路管理業務の一環として、災害情報、工事規制情報、交通情報等の道路情報を24 時間体制で収集して、道路利用者等に提供することなどを目的とした道路情報設備を多数設置している。そして、近年、CCTVシステム(注) 等の導入により道路情報設備のIT化を図り、これにより得られた道路情報を分析、集約するなど高度な道路管理を推進しているところである。
このような道路情報管理業務を一箇所に集約して行うために、名古屋国道事務所(平成15年3月31日以前は名古屋国道工事事務所)は7年度から20年度にかけて統合道路管理情報センターを、また、福岡国道事務所は14年度から19年度にかけて九州道路情報管理室(以下、これらを合わせて「道路情報センター」という。)をそれぞれの管内に整備している。道路情報センターには、国道事務所等から業務の委託を受けた担当者が24時間常駐する有人監視室、情報通信機器室等が配置されており、道路情報設備で得られた道路情報を分析、集約するための情報・通信設備が設置されている。
道路情報センターの施設整備に要した費用及び情報・通信設備の取得価格は、次表のとおり、合計62億4885万余円となっている。
表 道路情報センターの施設整備に要した費用及び情報・通信設備の取得価格
(単位:千円)
名称
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区分
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統合道路管理情報センター | 九州道路情報管理室 | ||||||||||||||||||||
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情報・通信設備取得価格 | (9件)
1,701,835
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(5件) 572,518
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合計 | 6,248,852 |
国有財産法(昭和23年法律第73号)によると、国有財産は、行政財産と普通財産とに分類されており、このうち行政財産には、国において国の事務、事業又はその職員の住居の用に供し、又は供するものと決定した公用財産、国において直接公共の用に供し、又は供するものと決定した公共用財産等の種類がある。
貴省に属する国有財産については、国有財産法等に基づき、地方整備局長等が国有財産部局長として管理しており、その事務の一部を国道事務所長等に分掌させている。
そして、国有財産部局長は、国有財産の分類及び種類ごとに、区分及び種目、所在、数量、価格等を記載した国有財産台帳を備えて管理することとされており、国有財産の取得、所管換、処分等があった場合には、直ちにこれを国有財産台帳に記録することとされている。ただし、公共用財産については、公園又は広場として公共の用に供し、又は供するものと決定したものを除いて適用しないこととされている。
また、貴省に属する物品については、物品管理法(昭和31年法律第113号)等に基づき、地方整備局総務部長等が物品管理官として管理しており、国道事務所等に属する物品については、当該事務所長が分任物品管理官として管理している。
物品管理官又は分任物品管理官は、物品管理法等に基づき、その管理する物品の増減等の異動数量、現在高その他物品の異動に関する事項等を物品の分類、細分類及び品目ごとに、物品管理簿に記録することとされており、このうち、物品管理法施行令(昭和31年政令第339号)で定める重要な物品(以下「重要物品」という。)については、その取得価格を記録することとされている。
道路法(昭和27年法律第180号)によると、道路とは、一般交通の用に供する道である高速自動車国道、一般国道等をいい、道路の附属物を含むものとされている。そして、道路の附属物とは、道路の構造の保全、安全かつ円滑な道路の交通の確保その他道路の管理上必要な施設又は工作物をいい、道路上の道路情報提供装置等の道路情報管理施設や道路の維持又は修繕に用いる機械等の常置場等はこれに当たるとされている。
そして、道路は、道路法の規定に基づき道路管理者により道路台帳に記載されることとなっているが、国有財産法上は、公園又は広場以外の公共用財産に該当することから、国有財産台帳には記録されないこととなっている。
前記のとおり、国有財産台帳及び物品管理簿(以下、これらを合わせて「国有財産台帳等」という。)は、それぞれ国有財産法及び物品管理法(以下、これらを合わせて「国有財産法等」という。)に従って国有財産及び物品(以下、これらを合わせて「国有財産等」という。)を適切に管理するための帳簿である。そして、国有財産台帳を基に毎年度作成される「国有財産増減及び現在額報告書」及び「国有財産増減及び現在額総計算書」並に重要物品を報告の対象とする「物品増減及び現在額報告書」及び「物品増減及び現在額総計算書」(以下、これらを合わせて「国有財産報告書等」という。)は、国有財産及び重要物品の現況を国会及び国民に対して明らかにするという性格を有するものとされている。
そこで、正確性、合規性等の観点から、貴省が整備した道路情報センターに係る財産が国有財産台帳等に適切に記録されているかなどに着眼して検査した。
本院は、道路情報センターを整備している名古屋、福岡両国道事務所(以下「2国道事務所」という。)において会計実地検査を行い、道路情報センターに係る前記の土地、建物等及び情報・通信設備(これらの取得に要した費用の額62億4885万余円)を対象として、国有財産台帳等の書類及び現地の施設、設備等を確認するなどして検査した。
検査したところ、次のような事態が見受けられた。
2国道事務所は、道路情報センターの土地、建物等は道路維持用機械等の常置場に、情報・通信設備は道路情報管理施設にそれぞれ該当し、ともに道路の附属物であるとして道路台帳に記載するなどしていて、国有財産台帳等に記録していなかった。
しかし、道路情報センターは道路情報管理業務を一箇所に集約して行うことを目的として整備されたもので、担当者が24時間常駐して国の業務を行っており、専ら国の事務又は事業の用に供する施設であることから、その土地、建物等は道路の附属物としての道路維持用機械等の常置場ではなく、国有財産法上の公用財産に該当すると認められる。また、道路情報センター内に設置された情報・通信設備は、道路情報を分析、集約するために国が使用する設備機器であることから、道路の附属物としての道路情報管理施設ではなく、物品管理法上の物品に該当すると認められる。
したがって、これらの土地、建物等及び情報・通信設備(これらの取得に要した費用の額62億4885万余円)は、公用財産又は物品として、国有財産台帳等に記録する必要があったと認められる。
上記のとおり、貴省において、新たに国有財産法上の公用財産及び物品管理法上の物品を取得しているのに、国有財産台帳等への記録が行われていない事態は適切とは認められず、是正及び是正改善を図る要があると認められる。
このような事態が生じているのは、貴省において、近年の情報通信技術の進歩に伴い、道路情報管理業務を一箇所に集約して行うために、道路情報センターのように担当者が常駐していて専ら国の事務又は事業の用に供する管理施設を整備する状況が生じている中で、当該施設について取得した財産は、国有財産法等に基づき、公用財産又は物品として国有財産台帳等に記録する必要があることについて明確にしていなかったこと、2国道事務所において、道路情報センターに係る財産を国有財産台帳等に記録して管理する必要があることについて十分認識していなかったことなどによると認められる。
国有財産台帳等は、国有財産等を適切に管理するための基本的な帳簿であり、これらを基に毎年度作成される国有財産報告書等が国有財産等の現況を国会及び国民に対して明らかにするという性格を有するものとされていることから、正確に記録されることが重要である。
ついては、貴省において、国有財産台帳等に記録されていない前記の国有財産等を国有財産台帳等に正確に記録するよう是正の処置を要求するとともに、今後道路情報センターのような施設を取得した場合、これに係る財産を国有財産台帳等に正確に記録するよう、次のとおり是正改善の処置を求める。
ア 道路情報センターのように担当者が常駐していて専ら国の事務又は事業の用に供する管理施設を取得した場合には、当該施設の土地、建物等及び設備は国有財産台帳等に記録する必要があることを明確にすること
イ 上記について、国道事務所等に周知すること