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  • 平成20年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
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物品の購入等に当たり、虚偽の内容の関係書類を作成するなど不適正な会計経理を行って国立公園等維持管理費等を支払っているもの[5地方環境事務所、4自然環境事務所等](555)—(563)


(555)—(563) 物品の購入等に当たり、虚偽の内容の関係書類を作成するなど不適正な会計経理を行って国立公園等維持管理費等を支払っているもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)環境本省 (項)自然公園等事業費等
  (組織)地方環境事務所 (項)地方環境事務所共通費等
  (平成19年度以前は、 (項)地方環境事務所)
  エネルギー対策特別会計 (勘定)エネルギー需給勘定 (項)事務取扱費
  平成18年度以前は、
石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計
    (勘定)石油及びエネルギー需給構造高度化勘定
    (項)事務処理費
部局等 5地方環境事務所、4自然環境事務所等
不適正な会計経理により支払われた経費の概要 物品の購入等に係る国立公園等維持管理費等
不適正な会計経理により支払われた金額 40,180,500円(平成17年度〜20年度)

1 国の契約等の手続の概要

 環境省は、廃棄物の不法投棄対策、地球温暖化対策等について、地域の実情に応じた機動的できめ細やかな環境行政を展開するため、平成1 年10月から、全国に7 地方環境事務所(注1) を、その管下に12自然環境事務所等(以下、地方環境事務所と自然環境事務所等を合わせて「事務所」という。)を設置しており、このうち7地方環境事務所及び4自然環境事務所等(注2) に支出負担行為担当官等の会計機関を設置している。そして、これらの11事務所は、管下の会計機関が設置されていない事務所の分を含め、その所掌する業務の実施に必要な物品の購入、印刷物の作成等を多数行っていて、その経費を国立公園等維持管理費等から支払っている。
 これらに係る国の会計経理については、財政法(昭和22年法律第34号)、会計法(昭和22年法律第35号)、予算決算及び会計令(昭和22年勅令第165号)等により、国の会計年度は、毎年4月1日から翌年3月31日までと定められており、原則として、各会計年度における経費は当該年度の歳入をもって支弁しなければならないなどとされている。また、歳出の会計年度所属区分が定められており、物件の購入代価等で相手方の行為の完了があった後交付するものはその支払をなすべき日の属する年度とされている。
 そして、国の会計機関が契約を締結した場合には、原則として、給付の完了を確認するため必要な検査(以下「検収」という。)を行い、所定の検査調書を作成しなければならず、この検査調書に基づかなければ当該契約の代金を支払うことができないなどとされている。

 7地方環境事務所  北海道、東北、関東、中部、近畿、中国四国、九州各地方環境事務所
 4自然環境事務所等  釧路、長野、那覇各自然環境事務所及び高松事務所

2 検査の結果

(1) 検査の観点、着眼点、対象及び方法

 本院は、前記の11事務所において、合規性等の観点から、物品の購入等は会計法令等に基づき適正に行われているかなどに着眼して、17年10月から20年度までの物品の購入、印刷物の作成等の契約のうち、契約回数が多い業者等との契約計3,025件、契約金額計1,652,199,724円について、支出決定決議書等の書類により会計実地検査を行った。

(2) 検査の結果

 検査したところ、9事務所において、17年度から20年度までの契約について、虚偽の内容の関係書類を作成するなど不適正な会計経理を行って国立公園等維持管理費等を支払っていたものが、計182件、40,180,500円あった。
 これを態様別に示すと次のとおりである( 参照)。
ア 未納入
 購入物品等が納入されていないのに、関係書類に架空の日付を検収日として記載することなどにより現年度に納入されたこととして、代金を支払っているが、翌年度の本院の会計実地検査時点においても未納入となっているもの

2事務所、2件、支払額1,444,590円

<事例>

 高松事務所は、平成19年度に、パンフレット作成業務をA社に659,400円で請け負わせている。そして、同事務所は、A社から20年3月26日付の業務終了報告書を受領して、同日付で検収を行い、業務仕様書のとおり相違なく完了したことを確認したとする検査調書を作成の上、同年4月16日付のA社からの請求書に基づき、支払決議を行い、同月23日に代金を支払っている。しかし、実際には、当該パンフレットは、同事務所の原稿作成の遅れなどから、21年1月の会計実地検査時点においても作成されていなかった。
 なお、同事務所は、上記の会計実地検査の際、事実を糊塗するため、急きょ、見本とするためのパンフレットを少量印刷して、事実と異なる説明をしていた。
イ 翌年度納入
購入物品等が翌年度になって納入されているのに、関係書類に実際の納品日より前の日付を検収日として記載することなどにより、現年度に納入されたこととして代金を支払っているもの

8事務所、176件、支払額37,620,318円

ウ 契約前納入
契約手続を行わないまま、物品を納入させていたのに、関係書類に実際の納品日より後の日付を検収日として記載することなどにより、物品が契約手続後に納入されたこととして代金を支払っているもの

3事務所、4件、支払額1,115,592円

事務所名 年度 ア 未納入 イ 翌年度納入 ウ 契約前納入 総計
件数 金額 件数 金額 件数 金額 件数 金額
(555) 北海道
地方環境事務所
平成
18,19

13

2,376,680

13

2,376,680
(556) 釧路
自然環境事務所
17〜20 1 785,190 46 7,618,616     47 8,403,806
(557) 東北
地方環境事務所
17〜20     30 2,859,410 2 130,063 32 2,989,473
(558) 関東
地方環境事務所
17〜20     37 14,820,750 1 755,249 38 15,575,999
(559) 中部
地方環境事務所
17〜19     13 4,160,416 1 230,280 14 4,390,696
(560) 長野
自然環境事務所
17〜19     6 1,287,626     6 1,287,626
(561) 高松事務所 19 1 659,400         1 659,400
(562) 九州
地方環境事務所
18,19     3 1,151,850     3 1,151,850
(563) 那覇
自然環境事務所
19     28 3,344,970     28 3,344,970
総計 2 1,444,590 176 37,620,318 4 1,115,592 182 40,180,500

 これらのアからウの事態は、9事務所において、契約した物品が納入されていないのに納入されたこととして虚偽の内容の関係書類を作成するなど、不適正な会計経理を行って国立公園等維持管理費等計40,180,500円を支払っていたもので、不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、9事務所において、物品の購入等に係る会計経理を行うに当たり、会計法令等を遵守することの認識が欠如していたこと及び内部牽制が十分機能していなかったこと、また、環境本省において、9事務所の会計経理に対する実態把握や会計事務処理手続の適正な執行についての指導監督等が十分でなかったことなどによると認められる。