会計名及び科目 | 一般会計 | (組織)環境本省 | (項)環境本省 |
(項)環境政策基盤整備費 | |||
部局等 | 環境本省(契約・支出部局) 3国民公園管理事務所、7地方環境事務所、3自然環境事務所、生物多様性センター、環境調査研修所、国立水俣病総合研究センター(システム導入部局) |
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電子入札・開札システムの概要 | 国民の利便性の向上等に資するとともに、国内外企業の入札参加機会の拡大等を図るため、インターネット技術を活用した入札・開札を行うシステム | ||
電子入札の実施が低調となっている事務所等へのシステムの導入等に係る経費 | (1) システムの導入経費 | ||
2276万円 | (平成16、17両年度) | ||
(2) 機器の賃貸借等に係る経費 | |||
520万円 | (平成17年度〜20年度) | ||
計 | 2797万円 |
(平成21年10月23日付け 環境大臣あて)
標記について、会計検査院法第34条の規定により、下記のとおり是正改善の処置を求める。
記
高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(平成12年法律第144号)に基づき内閣に設置された高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部は、国民の利便性の向上、行政運営の簡素化、効率化及び透明性の向上に資するため、政府が迅速かつ重点的に実施すべき施策について「e—Japan 重点計画—2002」を策定している。
各府省は、同計画に基づき、国内外企業の入札参加機会の拡大、競争性の向上、企業の負担軽減等を図るため、インターネット技術を活用した電子入札・開札を平成15年度までに導入することとされ、貴省は、16年3月に、電子入札・開札システム(以下「電子入札システム」という。)を環境本省に導入している。
そして、貴省は、3国民公園管理事務所(注1)
、7地方環境事務所(注2)
、6自然環境事務所等(注3)
(以下、これらを合わせて「事務所等」という。)計16事務所等において、17年度から20年度までの間に、順次、環境本省に導入した電子入札システムとの回線接続等を行うとともに、端末、プリンタ、カードリーダー等の機器を賃貸借契約により設置するなどして電子入札システムを導入している。
また、電子入札システムの運用支援を行うため、サポートデスク業務を委託により実施している。
そして、16事務所等への電子入札システムの導入に要した経費は、環境本省に導入した電子入札システムとの回線接続等に係る経費が16年度1375万余円、17年度901万余円、計2276万余円、16事務所等に配備した端末等の賃貸借及びサポートデスク業務の委託に係る経費が17年度から20年度までの計520万余円、合計2797万余円となっている。
3国民公園管理事務所 皇居外苑、新宿御苑、京都御苑各管理事務所
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7地方環境事務所 北海道、東北、関東、中部、近畿、中国四国、九州各地方環境事務所
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6自然環境事務所等 釧路、長野、那覇各自然環境事務所、生物多様性センター、環境調査研修所、国立水俣病総合研究センター
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16事務所等においては、電子入札システムの整備により、入札に際して技術提案書等の入札金額以外の情報を提出する必要があるため電子入札システムが対応していない総合評価落札方式等によるものを除き、電子入札システムを活用した入札を実施することが可能となった。
そして、16事務所等の支出負担行為担当官又は分任支出負担行為担当官である事務所長等が、当該調達案件は電子入札システムに対応している旨を入札公告等に明記するとともに、同案件を電子入札システムに登録することにより、入札参加者は電子入札システムを利用した応札が可能となる(以下、入札公告等への明記や調達案件の登録の手続を経て実施する入札を「電子入札」という。)。
事務所等において実際に電子入札システムを利用した応札が可能となるためには、上記の手続を経て電子入札を実施することが必要となる。
そこで、本院は、有効性等の観点から、電子入札の実施が可能な調達案件(以下「電子入札実施可能案件」という。)について、実際に電子入札が実施され電子入札システムの導入目的が達成されているかなどに着眼して、環境本省及び16事務所等において、17年度から20年度までの入札公告等の書類により会計実地検査を行ったり、貴省に調査を求めて、その結果を確認するなどの方法により検査したりした。また、21年度について、6月までの電子入札の実施状況についても併せて検査した。
17年度から20年度までの電子入札の実施状況について検査したところ、環境本省においては、電子入札実施可能案件計1,833件のすべてについて、電子入札を実施していたが、16事務所等においては、電子入札実施可能案件の該当がなかった生物多様性センターを除く15事務所等で、電子入札実施率(電子入札実施可能案件のうち、電子入札を実施した案件の割合。以下同じ。)が10.2%(電子入札実施可能案件891件のうち、電子入札を実施した案件は91件)と著しく低調となっていた。
その内訳を示すと、次のとおりである。
ア 皇居外苑、京都御苑両管理事務所、北海道地方環境事務所、釧路、長野、那覇各自然環境事務所、環境調査研修所及び国立水俣病総合研究センターの計8事務所等は、すべての電子入札実施可能案件について全く電子入札を実施していなかった(表1
参照)。
事務所等名\区分 | 導入年月 | 電子入札実施可能案件(件) | ||||
平成17 年度 | 18 年度 | 19 年度 | 20 年度 | 計 | ||
皇居外苑管理事務所 | 17 年4 月 | 12 | 14 | 19 | 22 | 67 |
京都御苑管理事務所 | 17 年4 月 | 7 | 10 | 11 | 6 | 34 |
北海道地方環境事務所 | 18 年3 月 | 0 | 48 | 51 | 33 | 132 |
釧路自然環境事務所 | 20 年12月 | — | — | — | 5 | 5 |
長野自然環境事務所 | 20 年12月 | — | — | — | 7 | 7 |
那覇自然環境事務所 | 20 年12月 | — | — | — | 11 | 11 |
環境調査研修所 | 20 年12月 | — | — | — | 8 | 8 |
国立水俣病総合研究センター | 20 年12月 | — | — | — | 1 | 1 |
イ 新宿御苑管理事務所、関東、近畿、中国四国各地方環境事務所の計4事務所は、電子入札システムの導入当初は数件の電子入札を実施したものの、その後の電子入札実施可能案件については電子入札を実施していなかった(表2 参照)。
事務所名\区分 | 導入年月 | 電子入札実施可能案件/電子入札実施案件(件) | 電子入札実施率(%) | |||||||||
平成17 年度 | 18 年度 | 19 年度 | 20 年度 | 計 | ||||||||
新宿御苑管理事務所 | 17 年4 月 | 8 | 0 | 15 | 2 | 15 | 0 | 9 | 0 | 47 | 2 | 4.3 |
関東地方環境事務所 | 18 年3 月 | 0 | 0 | 27 | 3 | 28 | 0 | 43 | 0 | 98 | 3 | 3.1 |
近畿地方環境事務所 | 18 年3 月 | 1 | 0 | 35 | 1 | 55 | 0 | 34 | 0 | 125 | 1 | 0.8 |
中国四国地方環境事務所 | 18 年3 月 | 4 | 0 | 45 | 1 | 34 | 0 | 24 | 0 | 107 | 1 | 0.9 |
ウ 東北、中部、九州各地方環境事務所の計3事務所は、一部電子入札を実施しているものの、その電子入札実施率は50%を下回っていて、低調となっていた(表3 参照)。
事務所名\区分 | 導入年月 | 電子入札実施可能案件/電子入札実施案件(件) | 電子入札実施率(%) | |||||||||
平成17 年度 | 18 年度 | 19 年度 | 20 年度 | 計 | ||||||||
東北地方環境事務所 | 18 年3 月 | 1 | 0 | 34 | 10 | 28 | 14 | 29 | 15 | 92 | 39 | 42.4 |
中部地方環境事務所 | 18 年3 月 | 0 | 0 | 16 | 6 | 21 | 4 | 17 | 14 | 54 | 24 | 44.4 |
九州地方環境事務所 | 18 年3 月 | 0 | 0 | 34 | 0 | 40 | 13 | 29 | 8 | 103 | 21 | 20.4 |
そこで、15事務所等において電子入札実施率が著しく低調となっていた理由等についてみると、次のとおりであった。
すなわち、電子入札システムの導入当初に環境本省のシステムに接続できないなどの不具合が発生したため、入札事務担当者が電子入札システムの活用を敬遠したり、入札事務担当者がこの種の情報システムの操作に習熟していないため、不具合の原因がわからないまま電子入札システムの故障と判断したりして、電子入札を実施しないこととするなどしていた。
しかし、上記の不具合等の事態については、電子入札システムの運用支援を委託しているサポートデスクの支援を受けるなどすれば解決できる程度のものであり、15事務所等においてサポートデスクの支援を求めるなどしていれば電子入札システムの活用に支障はなかったと認められる。
上記の検査の結果を踏まえて、貴省は、21年3月に、事務所等に対して電子入札実施可能案件については原則として電子入札を実施するよう通知を発している。そこで、16事務所等の21年度における6月までの電子入札の実施状況について検査したところ、以下のとおり、依然として低調となっていた。
すなわち、9事務所等(皇居外苑、新宿御苑、京都御苑各管理事務所、北海道、中国四国両地方環境事務所、釧路、長野両自然環境事務所、生物多様性センター、環境調査研修所)は全く電子入札を実施しておらず、16事務所等全体での電子入札実施率は34.8%(電子入札実施可能案件141件のうち電子入札を実施した案件は49件)となっていた。
以上のように、16事務所等において、電子入札の実施が低調となっていて、電子入札システムの設置、運用等のために投下した資金がその投資効果を十分発現していない事態は適切とは認められず、是正改善を図る要があると認められる。
このような事態が生じているのは、16事務所等において、電子入札実施可能案件については電子入札を実施すべきであることの認識が十分でないこと、貴省において、契約事務に関する要領等(以下「要領等」という。)に電子入札実施可能案件についてはすべて電子入札を実施すべきことを明示していないこと、事務所等における入札事務担当者に対して電子入札システムの操作に関する指導等を十分行っていないこと、電子入札の実施状況を把握していないことなどによると認められる。
貴省が16事務所等に導入した電子入札システムは、実際に電子入札を実施して同システムを利用した応札の受付を可能とすることによって、初めて国民の利便性の向上等の目的に資することとなる。
ついては、貴省において、電子入札システムが有効に活用され、同システムに対する投資効果が発現するよう、次のとおり是正改善の処置を求める。
ア 電子入札実施可能案件についてはすべて電子入札を実施すべき旨を要領等において明確にすること
イ 16事務所等に対して電子入札の目的・意義を周知するとともに、電子入札システムの操作方法等を指導すること
ウ 16事務所等における電子入札の実施状況を定期的に把握して、電子入札システムの活用の促進を図ること