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  • 平成20年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第10 独立行政法人情報通信研究機構|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

職員等に対する旅費の支給に当たり、出張の実態を踏まえた支給とするよう改善させたもの


職員等に対する旅費の支給に当たり、出張の実態を踏まえた支給とするよう改善させたもの

科目 経常費用
部局等 独立行政法人情報通信研究機構
食事代等諸雑費の概要 職員等が出張をする際に支給する旅費に含まれる、朝、昼、夕の各食事代等
食事代等諸雑費の支給額 1億4676万余円 (平成18年度〜20年度)
上記のうち出発日の朝食代及び帰着日の夕食代の支給額 3207万円 (背景金額)

1 食事代等諸雑費の概要

 独立行政法人情報通信研究機構(以下「機構」という。)は、業務のために出張及び赴任(以下、両者を合わせて「出張」という。)をする職員等に対する旅費の支給について、独立行政法人情報通信研究機構旅費規程(平成16年規程第24号。以下「旅費規程」という。)を定め、国内出張の場合、交通費、食事代等諸雑費、素泊料等から成る旅費を支給している。
 機構は、旅費規程において、食事代等諸雑費については、出張の日数に応じ1日当たりの定額によることとし、職員等の住所地又は勤務地からの片道路程が100km以上の日帰り出張又は宿泊を伴う出張の場合、1日につき役員の場合は5,000円、職員の場合は4,600円をそれぞれ支給することとしている。そして、食事代等諸雑費の金額には、朝、昼、夕の各食事代として1,000円、計3,000円が含まれている。

2 検査の結果

(検査の観点、着眼点、対象及び方法)

 機構は、事務及び事業を効率的かつ効果的に行うことを目的として設立された独立行政法人であり、独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)によると、業務運営における自主性は十分配慮されなければならないものの、適正かつ効率的にその業務を運営するよう努めなければならないとされている。また、独立行政法人整理合理化計画の策定に係る基本方針(平成19年8月閣議決定)により、一般管理費や業務費の削減努力を継続的に行うことが求められている。
 そこで、本院は、機構本部において、経済性等の観点から、旅費規程が出張の実態からみて適切なものとなっているかなどに着眼して、平成18年度から20年度までの間の16,037件の国内出張に対して支給された食事代等諸雑費計1億4676万余円を対象に、支出決議書、旅費請求書等の関係書類により会計実地検査を行った。

(検査の結果)

 検査したところ、機構は、前記のとおり、食事代等諸雑費を出張の日数に応じ、一律に1日当たりの定額として支給することとしていた。
 このため、〔1〕 日帰り出張における朝、夕の両食事代、〔2〕 宿泊を伴う出張における出発日の朝食代、〔3〕 帰着日の夕食代(これらに係る18年度から20年度までの支給額計3207万余円。以下、〔1〕 から〔3〕 までを「出発日の朝食代及び帰着日の夕食代」という。)についても支給することとしていた。
 しかし、出発日の朝食代及び帰着日の夕食代は、通常の勤務時間内に勤務地を出発したり、勤務地に帰着したりする行程の出張においては支給する必要性がないものである。
 そこで、18年度から20年度までの間の国内出張16,037件の中から任意に抽出した984件の出張に係る出発時刻及び帰着時刻について調査したところ、通常の勤務時間内に勤務地を出発したり、勤務地に帰着したりしていたと推測されるものが半数近く含まれていた。
 以上のことから、機構が出発日の朝食代及び帰着日の夕食代を一律に支給する特段の事情があるとは認められないのに、これを一律に支給することとしている旅費規程は、出張の実態とかい離していて合理性を欠いており、適切とは認められず、改善を図る必要があると認められた。

(発生原因)

 このような事態が生じていたのは、機構において、業務運営の効率化の徹底が求められる中、出張の実態の把握やその実態を旅費規程へ反映させるための検討が十分でなかったことなどによると認められる。

3 当局が講じた改善の処置

 上記についての本院の指摘に基づき、機構は、出張の実態等を踏まえ、21年6月に旅費規程を改正し、同年7月以降、職員等に対して出発日の朝食代及び帰着日の夕食代を除いた旅費を支給することとする処置を講じた。