科目 | 農業技術研究業務勘定、基礎的研究業務勘定、民間研究促進業務勘定、農業機械化促進業務勘定及び特例業務勘定 | |
部局等 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構(平成18年3月31日以前は独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構、独立行政法人農業工学研究所、独立行政法人食品総合研究所及び独立行政法人農業者大学校) | |
旅費の概要 | 役職員の出張等のための旅費 | |
航空機を利用した内国旅行に係る旅費の合計額 | 1,272,273,652円 | (平成17年度〜20年度) |
上記のうち支給が過大となっていた旅費の合計額 | 2,288,200円 |
独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構(平成18年3月31日以前は独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構、独立行政法人農業工学研究所、独立行政法人食品総合研究所及び独立行政法人農業者大学校。以下「機構」という。)は、役職員が用務のため航空機を利用した旅行をする場合に、独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構旅費規程(平成18年規程第92号)に基づき、鉄道賃、航空賃、日当、宿泊料等の旅費を支給している。そして、このうち航空賃の額は、現に支払った旅客運賃の額によることとなっている。
東京国際、中部国際及び北九州各空港発着の国内線を利用する旅客は、東京国際、中部国際両空港の場合は17年4月1日から、北九州空港の場合は18年4月1日から、その利用の都度、旅客運賃に合わせて国内線旅客施設使用料(以下「施設使用料」という。)を支払うこととなっている。施設使用料は、空港管理会社による空港ターミナルビルの旅客共用施設の整備のための費用等に充当されるもので、その額は、出発及び到着旅客1人当たり(満12歳以上の場合)東京国際、北九州両空港では100円、中部国際空港では300円(20年9月30日までは200円)となっている。
このことから、農林水産省は、17年4月に内部部局等に対し、施設使用料は航空賃に該当しないので、日当(旅行中の昼食費及びこれに伴う諸雑費等を賄うための旅費)の中で賄うこととする事務連絡を発していた。
本院は、合規性等の観点から、航空賃及び日当の支給が適切なものとなっているかなどに着眼し、機構において、施設使用料が設定された17年度から20年度までの間に支給した東京国際、中部国際及び北九州各空港発着の航空機を利用した内国旅行に係る旅費計1,272,273,652円(14,876件)を対象として、旅費請求書等の関係書類により会計実地検査を 行った。
検査したところ、次のような事態が見受けられた。
機構は、農林水産省の前記の事務連絡を踏まえて、17年5月に事務連絡を発して、施設使用料は日当の中で賄うこと、また、航空券の領収書の内訳に施設使用料が明記されていない場合には、領収書の金額から施設使用料相当額を控除した金額を航空賃として支給することとし、これにより旅費を支給していた。
その後、機構は、18年7月に再度事務連絡を発して、18年8月1日以降に出発する旅行については、旅費事務の簡素化の観点からとして、航空券の領収書の金額をもって航空賃とすることとし、これにより旅費を支給していた。
しかし、上記のように、施設使用料を日当の中で賄うこととしていたにもかかわらず、その後、事務の簡素化を理由に、航空賃として支給していたのは、前記のとおり施設使用料は、空港管理会社による空港ターミナルビルの旅客共用施設の整備のための費用等に充当されるものであり、航空賃に該当しないものであることから、適切とは認められない。
したがって、施設使用料を航空賃として支給していた旅費計937,286,519円(11,012件)について、航空券の領収書の金額から施設使用料相当額を控除して適正な旅費を算定すると計934,998,319円となり、上記の旅費との差額計2,288,200円が過大に支給されていて、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、機構において、航空機を利用した旅行に係る旅費を適正に支給するという認識が十分でなかったことによると認められる。