科目 | 雑費 | |
部局等 | 独立行政法人造幣局本局及び東京支局 | |
契約名 | 造幣局施設警備業務等8件 | |
契約の概要 | 造幣局本局及び東京支局の正門等における立哨警備業務等を請け負わせるもの | |
支払額 | 1億3395万余円 | (平成16年度〜20年度) |
契約の相手方 | 株式会社日経サービス | |
契約 | 平成16年3月、17年3月、18年3月、19年3月、20年3月一般競争契約、随意契約 | |
積算額 | 1億5413万余円 | (平成16年度〜20年度) |
低減できた積算額 | 2550万円 |
独立行政法人造幣局(以下「造幣局」という。)の本局及び東京支局は、門扉の開閉、外来者に対する対応、夜間の敷地内の秩序維持等を行う警備業務等を、一般競争契約等により、本局は平成16年度から、東京支局は18年度からそれぞれ株式会社日経サービスと警備業務に関する契約(以下「警備業務契約」という。)を締結して請け負わせており、20年度までの契約件数、支払額は、計8件、1億3395万余円となっている。
造幣局は、契約事務の取扱いについて、その事務を適正に実施するために必要な事項を「造幣局契約事務規程」(平成15年3月造幣局訓令第88号)により定めており、予定価格を積算するに当たっては予定価格積算内訳書作成基準(平成15年7月造幣局通達秘第71号。21年4月以降は「予定価格積算手順書」。以下「作成基準」という。)によることとしている。
作成基準には、警備業務契約の予定価格を積算する際に用いることができる単価として、国土交通省が毎年実施している実態調査により決定される建築保全業務労務単価等を基礎とした警備員日割基礎単価(この単価には諸経費は含まれていない。以下「警備員単価」という。)等が示されている。建築保全業務労務単価等は、建築保全業務積算基準(国土交通省大臣官房官庁営繕部監修)に基づき積算を行う際に用いられるものとして公表されている市場価格が反映された単価であり、同積算基準には、この労務単価等を用いる場合の諸経費率等が示されている。
本院は、本局及び東京支局において、経済性等の観点から、予定価格の積算が適切に行われているか、予定価格は市場価格を反映した経済的なものとなっているかなどに着眼して、本局及び東京支局が16年度から20年度までに締結した前記8件の警備業務契約、支払額1億3395万余円を対象として、契約書、予定価格調書等の書類により会計実地検査を行った。
検査したところ、次のような事態が見受けられた。
作成基準には、前記のように警備業務契約の予定価格の積算の際に用いることができる警備員単価は示されていたが、この単価を用いる業務の範囲や単価を採用する場合の諸経費率等は示されておらず、そのままでは積算に使用できない状態であった。
このため、本局及び東京支局は、警備業務契約の積算に当たり、複数業者から徴した参考見積価額のうち総額が最低のもの(以下「最低見積価額」という。)を予定価格としたり、最低見積価額を年間の所要時間で除して算出した1時間当たり単価や業者から聞き取るなどして得た1時間当たり単価に査定率を乗じたものに年間の所要時間を乗じて算出した金額を予定価格としたりなどしていて、予定価格の積算方法が区々となっていた。
しかし、前記のとおり、作成基準に示された警備員単価は、市場価格が反映された建築保全業務労務単価等を基礎とした単価であり、本件警備業務と同様の一般的な施設警備を想定して建築保全業務積算基準に示された諸経費率等と併せて警備業務の積算に用いることができるのであるから、警備業務契約の予定価格の積算に当たっては、作成基準に示された警備員単価及び建築保全業務積算基準の諸経費率等を用いて算定すべきであった。そして、これにより予定価格の積算を行うと、前記8件の警備業務契約の予定価格はいずれも過大なものとなっていた。
上記の事態について、事例を示すと次のとおりである。
東京支局は、平成20年度の警備業務契約の予定価格の積算に当たり、3業者から徴した参考見積価額のうち最低見積価額を年間の所要時間で除して1時間当たり単価を算出して、これに年間の所要時間を乗じた金額に査定率を乗ずるなどし、予定価格を2053万余円としていた。
しかし、作成基準に示されている警備員単価及び建築保全業務積算基準の諸経費率等を用いて1時間当たり単価を算出して、これに年間の所要時間を乗じて予定価格の積算額を修正計算すると1780万余円となり、上記の予定価格は約270万円が過大となっていた。
このように、警備業務契約の予定価格の積算に当たり、市場価格を反映した作成基準の警備員単価を用いることなく業者から徴した参考見積等に基づいて積算している事態は適切とは認められず、改善の必要があると認められた。
上記のとおり、作成基準の警備員単価及び建築保全業務積算基準の諸経費率等を用いて、本局及び東京支局の8契約の予定価格の積算額を修正計算すると、その合計は1億2856万余円となり、本局及び東京支局が算定していた予定価格の合計1億5413万余円を約2550万円低減できたと認められた。
このような事態が生じていたのは、造幣局において、作成基準に警備業務契約の予定価格の積算の際に用いることができる警備員単価を示しているものの、この単価を用いる場合の諸経費率等を示していないなど、作成基準の定め方が十分でなかったことなどによると認められた。
上記についての本院の指摘に基づき、造幣局は、東京支局の21年度警備業務契約について、21年8月31日付けで契約金額を減額する変更契約を締結するとともに、作成基準に警備員単価を用いる場合の諸経費率等を設定した上で同年9月に各契約担当課長あてに事務連絡を発して、22年4月以降実施する警備業務契約の予定価格の積算に当たっては、作成基準の警備員単価を用いることとするよう指示して、警備業務契約の予定価格の積算が適切に行われるよう処置を講じた。