科目 | 経常費用 | |||
部局等 | (1) | 独立行政法人国民生活センター | ||
(2) | 独立行政法人科学技術振興機構 | |||
(3) | 独立行政法人都市再生機構 | |||
食事手当等の現金の支給の概要 | 上記の3独立行政法人において職員に昼食代等として現金を毎月支給しているもの | |||
上記の3独立行政法人における食事手当等の現金の支給額及び支給期間 | (1) | 4947万円 | (平成15年10月〜20年9月) | |
(2) | 1121万円 | (平成15年10月〜20年9月) | ||
(3) | 1億3720万円 | (平成16年7月〜20年9月) |
本院は、職員に対する食事手当等の現金の支給について、平成20年12月17日に、独立行政法人国民生活センター(以下「国民生活センター」という。)、独立行政法人科学技術振興機構(以下「科学技術振興機構」という。)及び独立行政法人都市再生機構(以下「都市再生機構」という。)の3独立行政法人(以下「3独立行政法人」という。)の各理事長に、「職員に対する食事手当の現金の支給について」等として、会計検査院法第36条の規定により改善の処置を要求した。
これらの処置要求の内容は、3独立行政法人のそれぞれの検査結果に応じたものとなっているが、これを総括的に示すと以下のとおりである。
独立行政法人は、独立行政法人通則法(平成11年法律第103号。以下「通則法」という。)第3条の規定により、適正かつ効率的にその業務を運営するよう努めなければならないとされている。
そして、独立行政法人のうち特定独立行政法人(注)
以外の法人の職員給与の支給基準については、通則法第63条第3項の規定により、当該独立行政法人の業務の実績を考慮し、かつ、社会一般の情勢に適合したものになるように定められなければならないとされている。
また、行政のスリム化・効率化を一層徹底するために、独立行政法人整理合理化計画(平成19年12月閣議決定)において、独立行政法人の事業運営の効率化に関する措置の一環として、主務大臣は国家公務員と比べて給与水準の高い法人に対して社会的に理解が得られる水準とするよう要請するほか、独立行政法人は人件費総額について着実に削減に取り組むことが求められている。
本院は、経済性等の観点から、各独立行政法人の職員に対する給与が、社会一般の情勢に適合したものとなっているか、また、国家公務員の給与の動向を考慮したものとなっているかなどに着眼して、特定独立行政法人以外の法人である3独立行政法人において会計実地検査を行い、給与台帳、給与明細書等の関係書類により検査した。
検査したところ、3独立行政法人が、特殊法人から独立行政法人に移行した15年10月(都市再生機構については16年7月。以下同じ。)から20年9月までの間に、職員に対して支給した給与において、次のような事態が見受けられた。
すなわち、3独立行政法人は、全部又は一部の職員に対して、職員に支払う基本給、諸手当等のほか、その職員給与に係る内規に定めるなどして食事手当等の名称で月ごとに一定額を現金で支給しており、15年10月から20年9月までの間における支給月額、食事手当等の支給額等は次表のとおりとなっていた。
また、3独立行政法人が公表している職員の給与の支給水準はいずれも国家公務員の給与水準と比べて高くなっていた。
法人名 | 手当等の名称 | 支給月額 | 平成15年10月から20年9月までの間の支給額の合計 |
国民生活センター | 食事手当 | 7,300円 | 4947万円 |
科学技術振興機構 | 食事補助 | 6,750円(管理職) 9,150円(非管理職) |
1121万円 |
支所手当 | 3,600円 | ||
都市再生機構 | 昼食費補助 | 2,000円又は2,500円 | 1億3720万円 |
上記の食事手当等について、3独立行政法人は、特殊法人であったときから引き続き、職員の福利厚生のために昼食代等として支給しているものであるとしている。
しかし、20年9月時点において食事手当等の現金の支給は、3独立行政法人以外の大多数の独立行政法人においては、独立行政法人への移行時には既に支給していなかったり、その後廃止していたりなどしている状況となっている。また、国においても食事手当等の現金の支給は行われていない。
このように、3独立行政法人が食事手当等の現金の支給について、通則法の規定の趣旨を踏まえて社会一般の情勢に適合したものであるかなどの検討を十分に行わないまま現在もこれを支給し続けている事態は適切とは認められず、改善を図る要があると認められる。
このような事態が生じているのは、3独立行政法人において、給与の支給の基準を社会一般の情勢に適合したものとする検討が十分でなかったこと、大多数の独立行政法人等においては食事手当等と同種の現金を支給していないことについての調査・検討が十分でなかったことなどによると認められる。
独立行政法人に対しては、今後も引き続き、行政のスリム化・効率化を一層徹底するために人件費の削減や見直しに取り組むことや職員給与の支給を含めて適正かつ効率的にその業務を運営することが求められている。
ついては、3独立行政法人においては、職員に対する食事手当等の現金の支給について、通則法の規定の趣旨を踏まえて支給の適否等を十分に検討することにより、食事手当等に係る内規を廃止するなどするよう改善の処置を要求する。
上記の改善を必要とする事態を3独立行政法人別に示すと、次のとおりである。
法人名 | 支給期間 | 節減できたと認められる食事 手当等の現金の支給額 |
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(1) | 国民生活センター | 15年10月〜20年9月 | 4947万円 |
(2) | 科学技術振興機構 | 15年10月〜20年9月 | 1121万円 |
(3) | 都市再生機構 | 16年7月〜20年9月 | 1億3720万円 |
本院は、3独立行政法人本部等において、その後の処置状況について会計実地検査を行っ た。
検査の結果、3独立行政法人は、本院指摘の趣旨に沿い、職員に対する食事手当等の現金の支給について、内規を廃止するなどして、科学技術振興機構は20年12月以降、国民生活センター及び都市再生機構は21年1月以降これを支給しないこととする処置を講じていた。