科目 | 経常費用 | |||
部局等 | (1) | 独立行政法人農畜産業振興機構 | ||
(2) | 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 | |||
(3) | 独立行政法人日本貿易振興機構 | |||
(4) | 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構 | |||
(5) | 独立行政法人中小企業基盤整備機構 | |||
食事手当等の現金の支給の概要 | 上記の5独立行政法人において職員に昼食代等として現金を毎月支給しているもの | |||
上記の5独立行政法人における食事手当等の現金の支給額及び支給期間 | (1) | 5974万円 | (平成15年10月〜20年9月) | |
(2) | 2億9839万円 | (平成15年10月〜20年9月) | ||
(3) | 3億2507万円 | (平成15年10月〜20年9月) | ||
(4) | 1億3664万円 | (平成16年2月〜20年9月) | ||
(5) | 2億7982万円 | (平成16年7月〜20年9月) |
独立行政法人は、独立行政法人通則法(平成11年法律第103号。以下「通則法」という。)第3条の規定により、適正かつ効率的にその業務を運営するよう努めなければならないとされている。
そして、独立行政法人のうち特定独立行政法人(注)
以外の法人の職員給与の支給基準については、通則法第63条第3項の規定により、当該独立行政法人の業務の実績を考慮し、かつ、社会一般の情勢に適合したものになるように定められなければならないとされている。
また、行政のスリム化・効率化を一層徹底するために、独立行政法人整理合理化計画(平成19年12月閣議決定)において、独立行政法人の事業運営の効率化に関する措置の一環として、主務大臣は国家公務員と比べて給与水準の高い法人に対して社会的に理解が得られる水準とするよう要請するほか、独立行政法人は人件費総額について着実に削減に取り組むことが求められている。
本院は、経済性等の観点から、各独立行政法人の職員に対する給与が、社会一般の情勢に適合したものとなっているか、また、国家公務員の給与の動向を考慮したものとなっているかなどに着眼して、特定独立行政法人以外の法人である独立行政法人農畜産業振興機構(以下「農畜産業振興機構」という。)、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下「新エネルギー・産業技術総合開発機構」という。)、独立行政法人日本貿易振興機構(以下「日本貿易振興機構」という。)、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「石油天然ガス・金属鉱物資源機構」という。)及び独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下「中小企業基盤整備機構」という。)の5独立行政法人(以下「5独立行政法人」という。)において会計実地検査を行い、給与台帳、給与明細書等の関係書類により検査した。
検査したところ、5独立行政法人が、特殊法人等から独立行政法人に移行した15年10月(石油天然ガス・金属鉱物資源機構については16年2月。中小企業基盤整備機構については16年7月。以下同じ。)から20年9月までの間に、職員に対して支給した給与において、次のような事態が見受けられた。
すなわち、5独立行政法人は、全部又は一部の職員に対して、職員に支払う基本給、諸手当等のほか、その職員給与に係る内規に定めるなどして食事手当等の名称で月ごとに一定額を現金で支給しており、15年10月から20年9月までの間における支給月額、食事手当等の支給額等は次表のとおりとなっていた。
また、5独立行政法人が公表している職員の給与の支給水準はいずれも国家公務員の給与水準と比べて高くなっていた。
法人名 | 手当等の名称 | 支給月額 | 平成15年10月から20年9月までの間の支給額の合計 |
農畜産業振興機構 | 食事手当 | 4,900円(管理職) 5,600円(非管理職) |
5974万円 |
新エネルギー・産業技術総合開発機構 | 食堂施設利用代 | 7,000円 | 2億9839万円 |
日本貿易振興機構 | 食事補助 | 5,500円(管理職) 7,100円(非管理職) |
3億2507万円 |
福祉費 | 5,500円(管理職) 7,100円(非管理職) |
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住宅費補助 | 27,000円(支給限度額) | ||
石油天然ガス・金属鉱物資源機構 | 食事手当 | 7,000円 | 1億3664万円 |
中小企業基盤整備機構 | 食事費用補助費 | 7,150円 | 2億7982万円 |
上記の食事手当等について、5独立行政法人は、特殊法人等であったときから引き続き、職員の福利厚生のために昼食代等として支給しているものであるとしていた。
しかし、このような食事手当等の現金の支給は、5独立行政法人以外の大多数の独立行政法人においては、独立行政法人への移行時には既に支給していなかったり、その後廃止していたりなどしている状況となっている。また、国においても食事手当等の現金の支給は行われていない。
このように、5独立行政法人が食事手当等の現金の支給について、通則法の規定の趣旨を踏まえて社会一般の情勢に適合したものであるかなどの検討を十分に行わないまま現在もこれを支給し続けている事態は適切とは認められず、改善を図る必要があると認められた。
前記のとおり、5独立行政法人において職員に対して食事手当等を支給しないこととすると、15年10月から20年9月までの間において、農畜産業振興機構で5974万円、新エネルギー・産業技術総合開発機構で2億9839万円、日本貿易振興機構で3億2507万円、石油天然ガス・金属鉱物資源機構で1億3664万円、中小企業基盤整備機構で2億7982万円が、それぞれ節減できたと認められた。
このような事態が生じていたのは、5独立行政法人において、給与の支給の基準を社会一般の情勢に適合したものとする検討が十分でなかったこと、大多数の独立行政法人等においては食事手当等と同種の現金を支給していないことについての調査・検討が十分でなかったことなどによると認められた。
上記についての本院の指摘に基づき、5独立行政法人は、職員に対する食事手当等の現金の支給について、20年9月から11月までの間に内規を廃止するなどして、それ以降はこれを支給しないこととする処置を講じた。