科目 | 業務経費 | (項)国・課題別事業計画関係費 (項)技術協力プロジェクト関係費 (項)フォローアップ関係費 (項)無償資金協力関係費 (項)事業評価関係費 |
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受託経費 | (項)海外開発計画調査費 | ||
部局等 | 独立行政法人国際協力機構本部 | ||
業務実施契約の概要 | 技術協力業務として実施する開発調査等や無償資金協力業務として実施する基本設計調査等をコンサルタント等に委託するもの | ||
業務実施契約に係る契約件数及び支払額 | 678件 | 327億0022万余円 | (平成19年度) |
Y2運賃による額を上限として精算されていた航空運賃に係る経費 | 18億1684万余円 | (平成19年度) | |
節減できた委託費 | 7億3250万円 | (平成19年度) |
独立行政法人国際協力機構(以下「機構」という。)は、独立行政法人国際協力機構法(平成14年法律第136号)に基づき、技術協力業務として専門家派遣、開発調査等を行っており、また、無償資金協力業務として基本設計調査等を行っている。そして、コンサルタント等にこれらの業務を委託する契約(以下「業務実施契約」という。)を締結している。
平成19年度の業務実施契約の契約件数は678件、支払額は327億0022万余円となっており、この支払額にはコンサルタント等が海外に渡航する際の国際航空旅客運賃(以下「航空運賃」という。)が含まれている。
機構は、業務実施契約の締結に当たり、コンサルタント等に技術提案書や見積書を提出させて、技術提案書により相手方を選定した後に、見積りに基づいて契約金額を決定している。機構は、この見積書を提出させる際、エコノミークラスの航空運賃に係る見積価格の算出は、原則として、制限付エコノミークラス普通運賃(以下「Y2運賃」という。)によることとさせている。
そして、機構は、航空運賃について、契約締結時の額を上限として実費により精算することとしている。
航空運賃は、座席クラスごとに、国際航空運送協会(International AirTransport Association。以下「IATA」という。)又は各航空会社において設定されており、国土交通大臣の認可を受けた後に公示されるなどしていて、その種別は次図のとおりである。
図 航空運賃の種別
これらの航空運賃のうち、個人向けに販売されるIATA・PEX運賃及びキャリアPEX運賃(以下、これらを「PEX運賃」という。)は、正規の割引運賃であり、設定路線及び座席数が限られていたり、Y2運賃より航空券の有効期間が短かったり、Y2運賃では可能な発券後の予約の変更ができなかったりするものの、Y2運賃より割安に設定されている。
本院は、経済性等の観点から、業務実施契約の実施に当たり、コンサルタント等が手配した航空運賃は、同一区間に多様な航空運賃が存在している中で経済的なものとなっているかに着眼して、機構本部において会計実地検査を行った。そして、19年度の業務実施契約678件で手配された航空運賃のうち、Y2運賃による額を上限として精算されていた3,717件、支払額18億1684万余円について、航空券の控え、領収書等の精算書類等により検査した。
検査したところ、次のような事態が見受けられた。
機構は、前記のとおり、業務実施契約の見積書を提出させるに当たって、エコノミークラスの航空運賃の見積価格は原則としてY2運賃によることとしているが、業務実施契約において、航空券を実際に手配する際に、どのような航空運賃によるべきかを定めていなかった。このため、コンサルタント等は、PEX運賃が設定されている路線であっても、割高なY2運賃等で航空券を手配して上限であるY2運賃により精算を受けていた。
このような取扱いを容認していた理由について、機構は、業務実施契約の実施に当たり、出発直前や海外渡航中に日程を変更する場合があり、そのような場合でも柔軟に対応できるようにしておくためとしていた。
しかし、前記のY2運賃により精算されていた3,717件について日程変更の有無を調査したところ、変更があったものは367件(9.8%)となっていた。また、PEX運賃の航空券は、発券後に日程変更があっても、前記のとおり予約の変更はできないものの、Y2運賃との差額を支払うこととすればY2運賃の航空券への切り替えが可能であることから、業務は支障なく実施できたと認められた。
したがって、機構において、コンサルタント等が割安なPEX運賃の航空券を手配するよう業務実施契約に定めることなく、Y2運賃による精算を容認して、委託費を経済的に執行していない事態は適切とは認められず、改善の必要があると認められた。
前記のY2運賃により精算されていた3,717件から航空券の発券後に日程変更があったものや往路出発日から復路出発日までの期間がIATA・PEX運賃の有効期間を超えていたもの677件を除いた3,040件について、Y2運賃より割安なIATA・PEX運賃で航空券を手配したこととして航空運賃を修正計算すると、前記の航空運賃に係る支払額18億1684万余円は10億8433万余円となり、委託費を7億3250万余円節減できたと認められた。
このような事態が生じていたのは、機構において、コンサルタント等が海外に渡航する際の航空券の手配に当たり、割安なPEX運賃で手配するよう業務実施契約に定めていなかったことなどによると認められた。
上記についての本院の指摘に基づき、機構は、21年6月に、業務実施契約において、コンサルタント等が海外に渡航する場合に、原則として割安なPEX運賃で航空券を手配するよう定めることとし、7月以降に公示する契約案件から適用する処置を講じた。