ページトップ
  • 平成20年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第28 独立行政法人国際協力機構|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

研修員受入事業に係る研修監理業務委託契約において、予約可能で最も安価な割引運賃で国内線航空券を購入するよう定めることなどにより、委託費を経済的に執行するよう改善させたもの


(2) 研修員受入事業に係る研修監理業務委託契約において、予約可能で最も安価な割引運賃で国内線航空券を購入するよう定めることなどにより、委託費を経済的に執行するよう改善させたもの

科目 (一般勘定)業務経費 (項)技術協力プロジェクト関係費
部局等 独立行政法人国際協力機構本部
研修監理業務委託契約の概要 研修員受入事業に係る研修現場監理業務、研修支援業務等を委託するもの
研修監理業務委託契約に係る委託費   55億9373万余円 (平成20年度)
上記のうち購入した航空券の数及び額 6,909件 2億2104万余円  
上記のうち事前購入運賃によらずに購入した航空券の数及び額 6,790件 2億1846万余円  
節減できた委託費   6966万円 (平成20年度)

1 研修監理業務委託契約及び国内線航空券の概要

(1) 研修監理業務委託契約の概要

 独立行政法人国際協力機構(以下「機構」という。)は、独立行政法人国際協力機構法(平成14年法律第136号)に基づき、技術協力の一環として、開発途上国・地域の研修員を我が国に受け入れて研修を実施する事業(以下「研修員受入事業」という。)を実施している。
 研修員受入事業の実施に当たり、機構は、研修現場監理業務、研修支援業務等の業務を実施するため、財団法人日本国際協力センター(以下「センター」という。)と研修監理業務委託契約を締結している。
 研修監理業務委託契約によれば、上記業務のうち研修支援業務には、研修員、講師、研修員を引率する研修監理員等(以下、これらの者を「研修員等」という。)の国内移動に係る交通手段の手配(予約のほか支払を含む。以下同じ。)が含まれている。センターは、各研修の開始前に、研修日程、行程、移動手段等を記載した研修詳細計画書を作成して機構の承認を得た後に、実際に利用する航空便等を記載した研修旅行計画書を作成して、これにより研修員等の航空券等を手配するなどしている。
 そして、センターは、国内移動に航空機を利用する場合は、現に要した航空運賃等を機構に請求し、機構は、センターの請求によりこれを支払っている。

(2) 国内線の航空運賃の種別

 国内線の航空運賃には普通運賃と割引運賃があり、航空会社が国土交通大臣に届け出た正規の割引運賃には、同一区間を往復することを条件とした往復割引運賃、利用する一定期日前までに航空券を予約して購入することを条件とした事前購入運賃等がある。このうち事前購入運賃は、販売座席数が限定されていて、予約便の変更ができないなどの条件があるものの、割引率が往復割引運賃より相当程度高く設定されており、予約期限が搭乗日の28日前、7日前、1日前等のものがある。

2 検査の結果

(検査の観点、着眼点、対象及び方法)

 本院は、経済性等の観点から、研修監理業務委託契約に係る業務が経済的に実施されているかなどに着眼して、機構本部において、平成20年度の研修監理業務委託契約(契約金額55億9373万余円)を対象として会計実地検査を行った。そして、航空券等の手配の状況を聴取するとともに、委託費の請求の都度契約相手方が提出することになっている経費報告書等により航空券等の代金の支払状況を確認するなどして検査した。

(検査の結果)

 検査したところ、機構は、研修員等の国内移動に係る航空券の手配に当たり、研修監理業務委託契約において航空運賃の種別に係る規定を定めていなかった。このため、センターは、業務の円滑な実施を重視して、研修監理員が当日に搭乗便の変更を容易に行えるとして、20年度の研修監理業務委託契約において手配した研修員等延べ6,909人分の航空券(航空券の額計2億2104万余円)のうち、延べ6,790人分については事前購入運賃によらない航空券(航空券の額計2億1846万余円)を購入して、機構にこれらの代金を請求し支払を受けていた。
 しかし、センターは、研修詳細計画書を遅くとも研修開始の3日前までに作成しており、利用する航空便を記載した研修旅行計画書も事前購入運賃の航空券のいずれかの予約期限(搭乗日28日前から1日前)までに作成していることから、事前購入運賃の航空券をおおむね購入することができると認められた。また、このように予約便の変更ができない事前購入運賃の航空券を購入したとしても、検査した範囲では当日の搭乗便の変更はなく、当日以外でも搭乗便の変更はほとんどなかったことから、研修は支障なく実施できたと認められた。
 したがって、機構において、研修監理業務委託契約において事前購入運賃に係る規定を定めず、センターが普通運賃又は往復割引運賃の航空券を購入することを容認して、委託費を経済的に執行していない事態は適切とは認められず、改善の必要があると認められた。

(節減できた委託費)

 前記の事前購入運賃によらなかった研修員等延べ6,790人分の航空券の額計2億1846万余円は、研修旅行計画書の作成日の時点で最も割引率が高い事前購入運賃の航空券を予約して購入したとすると、実際に搭乗便を変更するなどしていた航空券に係る費用を考慮したとしても計1億4879万余円となり、委託費を6966万余円節減できたと認められた。

(発生原因)

 このような事態が生じていたのは、機構において、研修監理業務委託契約における研修員等の国内移動に係る航空券の手配に当たり、事前購入運賃等の安価な運賃で航空券を購入するよう同契約に定めていなかったことなどによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

 上記についての本院の指摘に基づき、機構は、21年8月に、研修監理業務委託契約において、国内線航空券を手配する場合に、予約可能で最も安価な割引運賃で航空券を購入するよう定めることとして、21年度契約から適用することとする処置を講じた。