科目
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(特例業務勘定) (項)特例業務関係経費
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部局等
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独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構国鉄清算事業東日本支社、国鉄清算事業西日本支社(平成20年3月31日以前は同機構国鉄清算事業本部の東日本支社、西日本支社)
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契約名
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技術業務委託契約
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契約の概要
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旧日本国有鉄道等から承継した土地等を処分するに当たり、鉄道施設の撤去・移設等の工事の施工を管理するなどの業務の一部を行わせるもの
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契約の相手方
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5会社
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契約
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平成19年4月、7月、11月、20年4月、5月、12月
一般競争契約、随意契約
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契約額
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16億2676万余円
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(平成19、20両年度)
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節減できた委託費
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3390万円
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(平成19、20両年度)
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独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(以下「機構」という。)は、旧日本国有鉄道清算事業団等が行ってきた国鉄清算事業を平成15年10月以降引き継いで行っており、その一環として、旧日本国有鉄道等から承継した土地等の処分を行っている。そして、機構の国鉄清算事業東日本支社及び国鉄清算事業西日本支社(20年3月31日以前は機構国鉄清算事業本部の東日本支社及び西日本支社。以下「両支社」という。)は、これらの土地等を処分するに当たり、鉄道施設の撤去・移設等の工事を多数施行している。
両支社は、上記の工事の施工を管理するなどの業務の一部(以下「施工管理等業務」という。)を技術業務委託契約により業者に委託して実施している。そして、19、20両年度に両支社が締結した技術業務委託契約は22契約となっており、委託費は16億2676万余円となっている。
技術業務委託契約により委託する施工管理等業務の内容は、同契約の示方書によれば、〔1〕 工事実施計画に係る施工計画、工事工程の検討、〔2〕 部外との協議、〔3〕 設計変更に係る図面、数量計算書等の取りまとめ、〔4〕 使用材料の品質確認、設計図書との現場照合、現場巡回指導、〔5〕 各種関係資料の作成又は収集・整理等となっている。
そして、施工管理等業務に従事する技術者は、管理技術者と管理員とに区分され、管理技術者は、両支社と業務の履行状況等について打合せを行うとともに管理員が行う業務が適切に行われるよう管理員を指揮監督し、管理員は、管理技術者の指揮監督の下で業務を適正に実施するものとされている。
両支社は、技術業務委託契約を締結するに当たり、機構の前身の一つである旧日本鉄道建設公団の関東支社が12年5月に作成した「技術業務委託積算基準(案)」に準拠して、業務に直接従事する技術者の人件費である直接人件費に諸経費等を加えるなどして委託費を積算している。
そして、直接人件費は、「設計業務委託等技術者単価」(国土交通省決定)における技術者単価を基にして算出することとされており、この際に適用する技術者の職種は、管理技術者については「技師(A)」を、管理員については、業務内容により選定するものとし、「技師(C)」及び「技術員」の組合せを標準とするとされている。
このうち「技師(C)」は上司の包括的指示の下に一般的な定型業務を担当したり上司の指導の下に高度な定型業務を担当したりするものとされており、また、「技術員」は上司の指導の下に一般的な定型業務の一部を担当したり補助員を指導して基礎的資料を作成したりするものとされている。
本院は、経済性等の観点から、技術業務委託契約に係る委託費の積算は実際の業務内容等に基づいて適切に行われているかなどに着眼して、両支社において、19、20両年度に締結された前記の22契約を対象として、契約書、示方書、積算書、業務実施報告書等の書類により会計実地検査を行った。
検査したところ、次のような事態が見受けられた。
両支社は、施工管理等業務に従事する管理員について、すべて「技師(C)」の職種を適用して委託費を積算していた。
しかし、業務実施報告書等によれば、管理技術者の指揮監督の下で管理員が実施している実際の業務は、設計・積算や部外との協議・調整等に必要な資料の収集・整理、使用材料の品質確認、設計図書との現場照合、現場での各種立会い等がかなりの部分を占めていた。そして、これらの業務は、工事全体に係る施工計画、工事工程の検討のように技術的に高度な業務等ではなく、基礎的資料を作成したり上司の指導の下に一般的な定型業務の一部を担当したりするものであることから、「技術員」の職種を適用すれば足りると認められた。
現に、新幹線鉄道の建設工事等に係る施工管理等の業務を委託して実施している機構鉄道建設本部の東京支社等においては、同業務の委託費の積算に当たり、上記の各業務と同様の業務については、適用する職種を「技術員」として積算している状況であった。
したがって、技術業務委託契約に係る委託費の積算に当たり、実際の業務内容等を考慮せず、施工管理等業務に従事するすべての管理員について適用する職種を「技師(C)」として委託費を積算している事態は適切とは認められず、改善の必要があると認められた。
上記のことから、技術業務委託契約について、管理員が実施する業務のうちで「技術員」の職種を適用すれば足りると認められる業務については、適用する職種を「技術員」として前記の22契約の委託費を修正計算すると15億9285万余円となり、前記の委託費16億2676万余円を約3390万円節減できたと認められた。
このような事態が生じていたのは、機構本社において、国鉄清算事業に係る技術業務委託契約について「技術員」の職種を適用すれば足りると認められる業務の内容を具体的に示しておらず、また、このような業務については適用する職種を「技術員」として委託費を積算することについて周知徹底していなかったこと、両支社において、管理員が実施する実際の業務内容についての検討が十分でなかったことなどによると認められた。
上記についての本院の指摘に基づき、機構は、21年9月に関係部局に通知を発して、国鉄清算事業に係る技術業務委託契約において管理員が実施する業務のうち、「技術員」の職種を適用すれば足りると認められる業務の内容を具体的に示すとともに、委託費の積算に当たっては、管理員が実施する実際の業務内容を十分に検討した上で適切な職種を適用して積算するよう周知徹底を図り、同年10月以降の契約から適用する処置を講じた。