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  • 平成20年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • (第22 独立行政法人都市再生機構)|
  • 不当事項|
  • 役務

(589) 共同聴視施設維持管理業務に係る契約において、電気料等の年間支払回数等を過大に算出して委託料を算定していたため、委託料の支払額が過大となっているもの


(589) 共同聴視施設維持管理業務に係る契約において、電気料等の年間支払回数等を過大に算出して委託料を算定していたため、委託料の支払額が過大となっているもの

科目
(都市再生勘定)  (項)既成市街地整備改善業務費
   (項)賃貸住宅業務費
(宅地造成等経過勘定)  (項)分譲住宅特別業務費
部局等
独立行政法人都市再生機構西日本支社
契約名
共同聴視施設維持管理業務委託(平成19、20両年度)
委託契約の概要
賃貸住宅等の建設によるテレビ電波受信障害を防除するために設置した共同聴視施設の維持管理に関する業務を行うもの
契約の相手方
財団法人住宅管理協会
契約
平成19年4月、20年4月 随意契約
支払額
229,268,170円
(平成19、20両年度)
過大になっている支払額
10,590,845円
(平成19、20両年度)

1 共同聴視施設維持管理業務の概要

 独立行政法人都市再生機構西日本支社(以下「西日本支社」という。)は、毎年度、賃貸住宅等の建設による周辺家屋等へのテレビ電波受信障害を防除するために設置した共同聴視施設(以下「共聴施設」という。)の維持管理業務を、随意契約により、財団法人住宅管理協会(以下「協会」という。)に委託しており、その対価として委託料を協会に支払っている。
 この業務は、共聴施設の維持管理のため、電力会社等に電気料及び共架料(以下「電気料等」という。)を西日本支社に代わって支払う業務(以下「料金支払業務」という。)、周辺家屋の居住者等から共聴施設の維持管理費を徴収する業務(以下「徴収業務」という。)、共聴施設に係る修繕工事を発注する業務(以下「修繕業務」という。)等を実施するものである。
 西日本支社は、委託料の算定に当たり、「共同聴視施設の維持管理業務の委託等に関する取扱いについて」(平成16年7月本社住宅経営部長通知)に定める「共聴施設維持管理基金運用業務に係る委託料等の算定について」(以下「算定基準」という。)に基づき、料金支払業務については、団地ごとに電気料等の年間支払回数を、平成19年度計1,082回、20年度計1,083回と算出してこれに所定の歩掛かりを乗じて得た業務量を基に算定し、また、徴収業務については、維持管理費徴収の対象となる団地数を19、20両年度とも63団地と算出してこれに所定の歩掛かりを乗じて得た業務量を基に算定し、これを合計するなどして両業務に係る委託費を算定している。そして、算定した額の範囲内で協会から提出を受けた見積りの額を契約の際の委託費の額とし、業務終了後に実績に基づいて精算することとしている。一方、修繕業務等に係る委託費については、契約期間に要した実費により精算することとしている。
 これらにより、本件維持管理業務に係る委託料について、協会から提出された精算報告書等に基づき、修繕業務等に係る実費精算分の計137,543,022円を含め、19、20両年度計229,268,170円と確定してその額を協会に支払っている。

2 検査の結果

 本院は、西日本支社及び協会において、上記の業務委託契約を対象として、合規性、経済性等の観点から、本件業務に係る委託料の支払額が適切かなどに着眼して、契約書、委託料算定内訳書等の書類により会計実地検査を行った。
 検査したところ、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。

ア 料金支払業務については、前記のとおり、電気料等の年間支払回数を団地ごとに算出して、19年度計1,082回、20年度計1,083回としていたが、算定基準によると、電力会社等からの複数の請求書をまとめて1回で支払の処理をした場合は、団地の数と関係なく支払回数を1回として年間支払回数を算出することとされている。そこで、本院が協会において支払回数の実績を確認したところ、19、20両年度とも計128回となっていた。

イ 徴収業務については、前記のとおり、維持管理費徴収の対象となる団地数を63団地と算出していたが、本院が協会において徴収業務の実績を確認したところ、63団地のすべてにおいて維持管理費を徴収していなかった(なお、徴収業務の20年度分については、本院の検査を受けて業務終了後に精算されている。)。

 したがって、料金支払業務及び徴収業務に係る委託費について、業務の実績を確認することなく、協会から提出を受けた精算報告書等により契約の際の委託費の額と同額で精算していたことは適切とは認められず、本件委託料を業務の実績に基づいて修正計算すると、19、20両年度計218,677,325円となることから、前記支払額との差額計10,590,845円が過大に支払われていて、不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、西日本支社において、算定基準に対する理解が十分でなかったこと、業務の実績を確認しないまま精算を行っていたことなどによると認められる。