科目
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(高速道路勘定) (項)道路業務収入
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部局等
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独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構
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占用許可の相手方
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首都高速道路株式会社、中日本高速道路株式会社
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占用料の徴収が適切でなかった占用許可物件等
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3件 15,692m2
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徴収不足となっている占用料相当額
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151,350,746円(平成17年度〜21年度)
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独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構(以下「機構」という。)が保有する道路資産に係る高速道路の路面を中心にその上下に及ぶ範囲に、物件等を設け継続して使用する場合は、道路整備特別措置法(昭和31年法律第7号)及び道路法(昭和27年法律第180号。以下、これらを合わせて「特措法等」という。)に基づき、機構が本来の道路管理者である国、都府県等の権限を代行して行う道路の占用許可が必要とされている。なお、平成17年10月に首都高速道路公団(以下「首都公団」という。)、日本道路公団等が民営化する以前は、首都公団、日本道路公団等が上記の権限を代行することとされていた。
そして、機構は、首都高速道路株式会社(以下「首都会社」という。)、中日本高速道路株式会社(以下「中会社」という。)等から、高速道路の高架下について、占用の目的等を明記した道路占用許可申請書(以下「申請書」という。)が提出された場合は、特措法等に基づき、申請書の内容について審査を行った上で申請者に対して占用を許可している。
(2) 占用料の徴収
機構は、高架下の占用を許可した場合には、特措法等に基づき、占用許可を受けた者(以下「占用者」という。)から占用料を徴収することができることとなっている。
機構が徴収する占用料の額は、道路整備特別措置法施行令(昭和31年政令第319号)及び道路法施行令(昭和27年政令第479号。以下、これらを合わせて「施行令」という。)に基づき、占用面積に近傍類似の土地の時価及び所在地の区分ごとの率を乗ずるなどして算定することとされている。ただし、「道路法施行令及び道路整備特別措置法施行令の一部を改正する政令の施行について」(昭和42年建設省道政発第90号の3建設省道路局長通達)により、占用料を免除又は減額することとされている占用許可物件等が次のとおり定められている。
ア 占用料を免除する物件等
(ア) 公共的団体が設ける水管及び下水道管
(イ) くずかご、灰皿、花壇、掲示板等で営利目的がなく道路の美化及び公衆の利便に著しく寄与する物件等
(ウ) 慣行等から占用料を徴収することが不適当であると機構(民営化以前は首都公団等)が認めた物件等
イ 占用料を減額する物件等及びその占用料の額
(ア) 駐車場法(昭和32年法律第106号)に規定する都市計画として決定された路外駐車場(以下「都市計画駐車場」という。)施行令で定める方法により算定される額の25%の額
(イ) 駐車場(都市計画駐車場を除く。)及び自転車、原動機付自転車又は二輪自動車を駐車させるため必要な車輪止め装置その他の器具施行令で定める方法により算定される額の50%の額
本院は、合規性等の観点から、占用料が施行令に基づき算定され徴収されているかなどに着眼して、機構が20年度に高架下の占用を許可している物件等のうち、首都会社等が収益事業として運営している543件を対象として、機構等において申請書等の書類を確認するなどの方法により会計実地検査を行った。
検査したところ、次のとおり、適切とは認められない事態が見受けられた。
首都会社は、都道首都高速4号線の高架下において、千駄ヶ谷駐車場を運営している。当該駐車場は、昭和45年3月に、都市計画駐車場(7,430m2
)及び附帯施設としての食堂(183m2
)を設置する目的で首都公団から占用許可を受けていて、首都公団は前記ア(ウ)の慣行等から占用料を徴収することが不適当である物件等に該当するとして占用料を免除していた。そして、首都公団の民営化後も、機構は、首都公団の取扱いをそのまま踏襲して占用料を免除していた。
しかし、占用料は道路等の公共用物の利用によって占用者が受ける利益を徴収するものであり、首都会社は当該駐車場を収益事業として運営して相応の利益を得ていることなどから、機構が当該駐車場に係る占用料を免除していることは適切ではなく、前記イ(ア)により占用料を算定して徴収すべきであったと認められる。また、食堂(現在はコーヒーショップ)については駐車場の附帯施設とされているが、食堂は駐車場とは認められないことから、占用料の額は施行令で定める方法により算定される額を徴収すべきであったと認められる。
首都会社は、都道首都高速2号線の高架下において、店舗及び事務所として賃貸している施設(2,409m2
)、駐車場(2,240m2
)並びに通路(1,474m2
。以下、これらを合わせて「2号線施設」という。)を運営している。当該2号線施設は、42年10月に首都公団から占用許可を受けていて、首都公団は前記ア(ウ)の慣行等から占用料を徴収することが不適当である物件等に該当するとして占用料を免除していた。そして、首都公団の民営化後も、機構は、首都公団の取扱いをそのまま踏襲して占用料を免除していた。
しかし、首都会社は2号線施設を、前記(1)の事態と同様に、収益事業として運営して相応の利益を得ていること、機構は2号線施設の敷地に係る固定資産税等を毎年負担していることなどから、機構が2号線施設に係る占用料を免除していることは適切ではなく、賃貸施設等については、施行令で定める方法により算定される額を徴収すべきであり、駐車場については、前記イ(イ)により占用料を算定して徴収すべきであったと認められる。
中会社は、平成18年3月に、機構から高速自動車国道中央自動車道富士吉田線烏山高架橋の高架下の占用許可を受けて、駐車場(960m2
)及びコイン洗車場(996m2
)を設置し運営している。そして、機構は、駐車場及びコイン洗車場を前記イ(イ)の駐車場に該当するとして占用料を算定し、18年度から21年度までに計11,515,657円の占用料を徴収していた。
しかし、コイン洗車場は駐車場とは認められないことから、コイン洗車場を前記イ(イ)の駐車場に該当するとして占用料を算定していることは適切ではなく、施行令で定める方法により算定される額を徴収すべきであったと認められる。
したがって、上記(1)、(2)及び(3)の占用許可物件等について、17年10月の民営化以降21年度までに機構が徴収すべきであった占用料を申請書等の占用面積に固定資産税路線価等を乗ずるなどして算定すると、(1)57,557,733円、(2)91,430,492円、(3)13,878,178円、計162,866,403円となり、151,350,746円が徴収不足となっていて、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、機構において、申請書の内容についての審査を適切に行っていなかったことなどによると認められる。