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  • 平成20年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第43 国立大学法人東京大学|
  • 不当事項|
  • 役務

(592) 東京大学医学部附属病院における医療材料等の管理、搬送等業務に係る請負契約に当たり、労務費の積算を誤ったため、契約額が割高となっているもの


(592) 東京大学医学部附属病院における医療材料等の管理、搬送等業務に係る請負契約に当たり、労務費の積算を誤ったため、契約額が割高となっているもの

科目
経常費用
部局等
国立大学法人東京大学医学部附属病院
契約名
東京大学医学部附属病院物品管理及び搬送等業務請負
契約の概要
東京大学医学部附属病院で使用する医療材料等の管理、搬送等業務を請け負わせるもの
契約の相手方
株式会社エフエスユニマネジメント
契約
平成21年1月 一般競争契約
契約額
185,220,000円
 
割高になっている契約額
8,700,000円
 

1 請負契約の概要

 国立大学法人東京大学(以下「東京大学」という。)は、医学部附属病院(以下「病院」という。)で使用する医療材料等を適正な管理の下に24時間体制で医療現場に供給するなどのため、病院内に物品管理・供給センターを設置しており、平成21年2月1日から22年1月31日までの同センターにおける医療材料等の管理、搬送等の業務(以下「管理・搬送業務」という。)を、21年1月に一般競争契約により株式会社エフエスユニマネジメントに契約額185,220,000円で請け負わせている。
 請負契約の仕様書等によると、管理・搬送業務における作業時間の区分は、〔1〕 毎日の午前8時から翌日午前8時まで、〔2〕 毎日の午前8時から午後5時まで、〔3〕 月曜日から土曜日までの午前8時から午後5時まで及び〔4〕 月曜日から金曜日までの午前8時から午後5時までの4区分となっている。そして、〔1〕 については、日勤、準夜勤及び深夜勤の3交替制で行うこととしており、日勤は午前8時から午後5時まで、準夜勤は午後2時から11時まで、深夜勤は午後11時から翌日午前8時までとしている。
 東京大学は、管理・搬送業務に係る労務費の積算に当たり、厚生労働省が作成している賃金構造基本統計調査報告(賃金センサス)に記載されている所定内給与額(注) 、年間賞与額等に社会保険料等を加算するなどして1日当たりの労務単価を算出し、これに勤務ごとの年間所要日数を乗ずるなどして作業員1人当たりの年間所要額を算出している。
 そして、準夜勤のうち午後7時から11時までの4時間及び深夜勤の午後11時から翌日午前8時までの9時間から休憩時間1時間を除いた8時間の勤務については、すべての勤務が労働基準法(昭和22年法律第49号)に定める深夜の割増しの対象になるとして、深夜勤務の割増率100分の25相当額(以下「深夜割増額」という。)を加算している。
 また、土曜日の勤務については、時間外勤務の割増率100分の25相当額(以下「時間外割増額」という。)を、日曜日の勤務については、休日勤務の割増率100分の35相当額(以下「休日割増額」という。)を、それぞれ加算している。
 そして、これらの勤務の労務費については、作業員が週2日の休日を取りながら交替で勤務することとして積算している。

 所定内給与額  事業所の就業規則等で定められた給与に関する支給条件及び算定方法によって支給された基本給及び超過労働給与額を含まない諸手当

2 検査の結果

 本院は、経済性等の観点から、本件契約に係る労務費の積算が適切に行われているかなどに着眼して、東京大学において会計実地検査を行った。そして、契約書、仕様書等に基づいて検査したところ、労務費の積算における割増額の算出について、次のとおり適切でない事態が見受けられた。

ア 労働基準法等によれば割増しの基礎となる賃金に算入しないこととされている賞与を、所定内給与額等に算入して深夜割増額、時間外割増額及び休日割増額を算出していた。

イ 労働基準法等によれば深夜割増額の加算の対象とならないこととされている午後7時から10時までの3時間及び午前5時から8時までの3時間を深夜割増の対象として、準夜勤及び深夜勤の深夜割増額を算出し加算していた。

ウ 作業員は週2日の休日を取りながら交替で勤務することとして労務費を積算しているのであるから、時間外割増額及び休日割増額は考慮する必要がないのに、土曜日及び日曜日の勤務についてこれを加算していた。

 したがって、管理・搬送業務に係る労務費について、上記のアに基づき適正な割増額を算出し、必要のなかった上記イ及びウの割増額を加算しないで修正計算すると176,462,006円となり、本件契約金額185,220,000円はこれに比べて約870万円が割高になっていて不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、東京大学において、予定価格の労務費の積算に当たり、割増額の適用についての理解及び審査・確認等が十分でなかったことによると認められる。