科目
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営業収益
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部局等
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郵便事業株式会社
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第三種郵便物制度の概要
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国民文化の普及向上に貢献すると認められる定期刊行物の郵送料を低い水準に抑え、購読者の入手を容易にし、もって、社会・文化の発展に資するために設けられたもの
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第三種郵便物の引受通数及び営業収益
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4億4970万通
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199億円
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(平成20事業年度)
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検査の対象とした支店及び郵便局の数
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95支店及び79郵便局
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不適切な事態が1年以上是正されていない定期刊行物の件数
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307件
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上記のうち引受けを行っていた件数、通数及び収納金額
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36件
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283万通
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9680万円
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(平成20年7月〜9月)
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差出承認を行っていることが確認できない低料第三種郵便物を引き受けていた支店等の数、通数及び収納金額
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72支店等 1860万通
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6億4964万円
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(平成20年7月〜9月)
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(平成21年10月30日付け 郵便事業株式会社代表取締役社長あて)
標記について、下記のとおり、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を求め、及び同法第36条の規定により意見を表示する。
記
貴会社は、郵便法(昭和22年法律第165号)、内国郵便約款(以下「約款」という。)等に基づき、低廉な料金が設定された第三種郵便物制度を、郵便窓口業務を委託している郵便局株式会社(以下「局会社」という。)とともに運用している。この制度は、国民文化の普及向上に貢献すると認められる定期刊行物の郵送料を低い水準に抑え、購読者の負担軽減を図ることにより、その入手を容易にし、もって、社会・文化の発展に資するために設けられているものである。
第三種郵便物の承認条件は、〔1〕 毎年4回以上定期的に発行するもので、〔2〕 政治、経済、文化その他公共的な事項を報道又は論議することを目的として、あまねく発売されるものなどとされている。そして、全体の印刷部分に占める広告の割合(以下「広告掲載量の割合」という。)が100分の50を超えるもの、1回の発行部数が500部に満たないもの、1回の発行部数に占める発売部数の割合(以下「有料発売部数の割合」という。)が100分の80に満たないものなどは上記〔2〕 の承認条件を具備しないとされている。
第三種郵便物の料金は次の〔1〕 から〔3〕 の低料第三種郵便物と〔4〕 の低料第三種郵便物以外の第三種郵便物の4区分となっている。
〔1〕 毎月3回以上発行する新聞紙1部又は1日分を内容とする郵便物で発行人又は売りさばき人から差し出されるもの(以下「低料第三種郵便物(新聞)」という。)は1通40円(50g以内の場合。以下同じ。)
〔2〕 心身障害者団体が心身障害者の福祉を図ることを目的として発行する定期刊行物で発行人から差し出されるもの(以下「心身障害者用低料第三種郵便物」という。)のうち毎月3回以上発行する新聞紙に該当するもの(以下「心身障害者用低料第三種郵便物(新聞)」という。)は1通8円
〔3〕 心身障害者用低料第三種郵便物のうち〔2〕 以外のもの(以下「心身障害者用低料第三種郵便物(その他)」という。)は1通15円
〔4〕 上記〔1〕 から〔3〕 以外の第三種郵便物は1通60円
第三種郵便物制度の運用に係る各種の具体的な事務手続は、約款のほか郵便・ゆうパック等取扱マニュアル(以下「マニュアル」という。)、貴会社の本社からの指示文書等により定められている。
これらによると、定期刊行物の発行人が、その発行所の所在地を郵便物の配達区域とする貴会社の支店又は局会社の郵便局に、第三種郵便物承認請求書、有料発売部数の証明資料等を提出して、支店等はこれを貴会社の支社に送付し、支社が審査の上、第三種郵便物として承認することとなっている。当該支社及び支店は、第三種郵便物承認原簿を作成して当該定期刊行物の発行人に関する情報等を管理することとなっている。
承認後においては、定期刊行物が承認条件を具備しているか確認するために、図1のとおり、見本調査及び定期調査を行うこととなっている。
図1 見本調査及び定期調査の事務手続
見本調査は、本社の第三種郵便物調査事務センター(以下「調査事務センター」という。)が、定期刊行物の発行の都度、発行人があらかじめ指定した支店又は郵便局(以下、これらを「刊行物提出店」という。)に提出した見本により、広告掲載量の割合が承認条件を具備しているかなどについて調査を行うものである。また、定期調査は、調査事務センターが、原則として毎年1回、発行人が提出した定期刊行物の発売状況等の報告書及び添付資料(以下「発売状況報告書等」という。)により、有料発売部数の割合が承認条件を具備しているかなどについて調査を行うものである。ただし、低料第三種郵便物(新聞)のうち日刊新聞の見本調査は、本社からの指示文書により支社が行うこととなっている。
調査事務センターは、見本調査及び定期調査の結果等の報告書を毎月取りまとめて支社に送付することとなっている。そして、支社は、見本や発売状況報告書等が未提出の場合や承認条件を具備していなかった場合は、発行人に対して提出の催告や改善の要請を行い、いずれの場合も指定した期限までに提出や改善がなされなければ、第三種郵便物の承認を取り消すこととなっている。
さらに、貴会社は、見本調査や定期調査のほかに、特に必要があると認めるときに随時、特別調査を行うこととなっている。これらのうち定期調査及び特別調査の実施状況について、支社は、第三種郵便物調査原簿(以下「調査原簿」という。)を作成して管理することとなっている。
第三種郵便物を刊行物提出店以外の支店等に同時に3,000通以上差し出した場合は、図2のとおり、これを引き受けた支店等は、当該差出人に第三種郵便物差出票を提出させて、これを1か月ごとにまとめて刊行物提出店に送付することとなっている。また、自らが刊行物提出店として扱う定期刊行物を第三種郵便物として同時に3,000通以上引き受けた場合は、第三種郵便物取扱票を作成することとなっている。そして、刊行物提出店は、送付を受けた第三種郵便物差出票や第三種郵便物取扱票により把握した差出通数を第三種郵便物発行状況調査簿(以下「発行状況調査簿」という。)に記入して定期刊行物ごとの差出状況を管理し、不審な差出しがあった場合は支社に報告し、支社は特別調査の要否を検討することとなっている。
図2 第三種郵便物差出票の送付等と特別調査の事務手続
第三種郵便物のうち低料第三種郵便物については、上記に加えて、差出人は、これを刊行物提出店以外の支店等に差し出す場合には、事前にその支店等に低料第三種郵便物承認請求書等を提出して差出承認を受けておくこととなっている。そして、刊行物提出店以外の支店は、低料第三種郵便物の引受けを行う際に、差出承認に基づき作成された低料第三種郵便物承認原簿(以下「差出承認原簿」という。)等により、当該郵便物が引受け可能かを確認することとなっている。
複数の心身障害者団体が一つのグループ(以下「協会」といい、協会を構成する心身障害者団体を「構成団体」という。)を形成して、共通の題号で定期刊行物を発行している場合、各構成団体が発行している定期刊行物を一括して協会が発行する一つの定期刊行物とみなして、この定期刊行物が承認条件を具備していれば、心身障害者用低料第三種郵便物の料金の適用を受けることができる特別措置が認められている。ただし、有料発売部数の割合については、構成団体の発行する定期刊行物ごとに判断することになっている。
平成21年3月末現在、第三種郵便物として承認されている定期刊行物の件数は、低料第三種郵便物(新聞)1,856件、心身障害者用低料第三種郵便物(新聞)21件、心身障害者用低料第三種郵便物(その他)163件、これら以外の第三種郵便物9,342件、計11,382件となっている。また、20事業年度の第三種郵便物の引受通数は約4億4970万通で、営業収益は約199億円、営業費用は約304億円で、約105億円の赤字を生じているが、第一種郵便物等他の郵便物の収益で補われている。
心身障害者用低料第三種郵便物の不適正利用が20年10月に発覚したことから、貴会社は、同年12月に総務大臣からの報告の徴求を受けて、不適正利用の状況、発生原因分析、再発防止策等について同月の報告以降3か月ごとに同大臣に報告している。
貴会社が21年6月までに同大臣に提出した報告書によると、貴会社は、21年3月までに、心身障害者用低料第三種郵便物全216件に対して特別調査を実施して、このうち、年間差出通数が際立って大量(100万通以上)と推計されるなどした21件は、いずれも有料発売部数の割合が承認条件を具備していなかったとして、14件は承認を取り消し、7件は廃刊届を受理した。そして、貴会社は、21年3月までに、心身障害者用低料第三種郵便物の不適正利用による収納金額の不足分として、上記21件の定期刊行物の発行人である心身障害者団体19団体に総額約49億円、また、不適正利用に関与した企業4社に対して総額約29億円の請求を行った。
心身障害者用低料第三種郵便物の不適正利用の発覚により、貴会社は、前記のとおり、総務大臣に対して報告書を提出しているが、その中で、定期調査等の実施に問題点があったことが発生原因の一つであるとしている。
一方、本院は、第三種郵便物制度の運用について、昭和55年に、認可の際の審査及び認可後の監査体制の整備に係る是正改善の処置を旧郵政省に要求しており、また、平成3年にも、引受時の検査の充実及び認可後の監査体制の見直しに係る改善の意見を表示している。そして、これらの本院の指摘に対して、旧郵政省において、引受時の検査を充実させるために、前記の第三種郵便物差出票の送付の事務手続を設けたり、認可後の監査体制の見直しの一環として、指定調査機関(現在は調査事務センター)が見本調査や定期調査の業務を行うこととしたりする改善が図られたところである。
しかし、前記報告書の中で定期調査等に係る問題点として上げられているものの中には、本院の指摘により執られた処置である第三種郵便物差出票の送付を行っていなかった事態が含まれていることから、この事態のほかにも本院の指摘により執られた処置が実施されていない事態が生じていることが想定された。
さらに、定期調査等が行われていない郵便物があった場合には、承認条件を具備していない第三種郵便物が引き受けられることにもなりかねず、国民文化の普及向上等のために低廉な料金を設定している第三種郵便物制度の趣旨が損なわれるおそれがある。
そこで、本院は、貴会社の本社、12支社及び86支店並びに局会社の本社、12支社及び79郵便局において、合規性等の観点から、第三種郵便物制度の運用に当たり、本院の指摘により執られた処置が適切に実施されているか、定期調査等が適切に実施されているかなどに着眼して、調査原簿、調査事務センターからの報告書等を基に会計実地検査を行った。
また、上記の86支店を含む95支店及び79郵便局に作成を求めた調書により低料第三種郵便物の引受状況等について検査した。
昭和55年及び平成3年の本院の指摘により、旧郵政省において執られた処置の実施状況について検査したところ、次のとおり、本院の指摘によりマニュアル等に定められた事務手続が遵守されていない事態及び特定の郵便物について定期調査等が十分に実施されていない事態が見受けられた。
ア マニュアル等に定められた事務手続が遵守されていない事態
(ア) 低料第三種郵便物の第三種郵便物差出票の送付等に係る事態
前記1(5)のとおり、貴会社は、支社が特別調査の要否を検討するなどのために、発行状況調査簿による差出状況の管理に必要な第三種郵便物差出票の送付や第三種郵便物取扱票の作成を行うこととしている。
しかし、前記の95支店及び79郵便局を対象に、20年7月から9月までにおける低料第三種郵便物に係る第三種郵便物差出票の送付等の状況について調書の提出を求め検査したところ、表1のとおり、同時に3,000通以上の引受けを行った47支店等のうち29支店等は、引き受けたうちの約3225万通(82.0%)について第三種郵便物差出票の送付等を行っておらず、上記の送付等の事務手続が、特別調査を発動するための方策として機能していなかった。
区分 | 同時に3,000通以上の引受けを行った支店等の数 | (A)に係る引受通数 (通)
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第三種郵便物差出票の送付等を行っていなかった支店等の数 | (C)に係る引受通数 (通)
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通数の割合(%) | |
(A) | (B) | (C) | (D) | (D)/(B) | ||
心身障害者用低料第三種郵便物(新聞) | 支店 | 16 | 10,737,265 | 11 | 8,485,700 | 79.0 |
郵便局 | 2 | 55,598 | 2 | 55,598 | 100 | |
心身障害者用低料第三種郵便物(その他) | 支店 | 13 | 3,204,264 | 5 | 321,618 | 10.0 |
郵便局 | 0 | 0 | 0 | 0 | — | |
低料第三種郵便物(新聞) | 支店 | 30 | 25,287,242 | 17 | 23,391,548 | 92.5 |
郵便局 | 1 | 5,483 | 0 | 0 | 0 | |
計 | 支店 | 44 | 39,228,771 | 27 | 32,198,866 | 82.0 |
郵便局 | 3 | 61,081 | 2 | 55,598 | 91.0 | |
合計 | 47 | 39,289,852 | 29 | 32,254,464 | 82.0 |
(イ) 見本調査及び定期調査に係る事態
調査事務センターが19年10月から20年3月までに行った見本調査及び定期調査の結果等の報告書により検査したところ、第三種郵便物全体で、見本や発売状況報告書等が未提出となっているなどの不適切な事態が計26,699回(同一の定期刊行物が複数の事態又は複数の回に報告されている場合がある。以下同じ。)あったとされている。
上記26,699回のうち、低料第三種郵便物に係る報告2,980回について検査したところ、これらに係る定期刊行物823件のうち307件(37.3%)については、見本等の提出を促すための催告書の送付等の措置を講ずるなどして上記の事態の是正を図ることとなっているのにこれらの措置が講じられていないため、少なくとも1年以上(東京支社は19年10月から20年3月までの間)是正されていない状況となっていた。
上記の定期刊行物307件について、95支店及び79郵便局を対象として、20年7月から9月までの3か月間における引受通数等を検査したところ、表2のとおり、引受けを行っていた36件の定期刊行物に係る引受通数は約283万通、収納金額は9680万余円となっていた。
態様 | 件数 (件)
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(A)のうち引受けを行っていた定期刊行物の件数 (件)
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(B)に係る引受通数 (通)
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(C)に対応する収納金額 (円)
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(A) | (B) | (C) | (D) | |
(ア) 見本が提出されていないため見本調査が実施されていないもの | 160 | 9 | 1,566,922 | 49,464,700 |
(イ) 見本調査の結果、広告掲載量の割合が50%を超えているなどの事態が継続しているもの | 4 | 1 | 36,762 | 1,672,065 |
(ウ) 発売状況報告書等が提出されていないため定期調査が実施されていないもの | 142 | 20 | 691,051 | 26,613,923 |
(エ) 提出された発売状況報告書等に不備があるなどのため定期調査が完了していないもの | 49 | 8 | 559,434 | 20,041,967 |
計 | 307 | 36 | 2,830,714 | 96,807,343 |
また、関東、東京、南関東、東海、近畿、中国各支社は、定期調査及び特別調査の実施状況を記録することとなっている調査原簿を整備しておらず、定期調査等の管理が十分に行われていなかった。
なお、表2には含まれていないが、前記1(8)の心身障害者用低料第三種郵便物の不適正利用により承認を取り消すなどした21件の中には、見本や発売状況報告書等が未提出であるものが見受けられた。
イ 特定の郵便物について定期調査等が十分に実施されていない事態
定期調査等に係る事務手続が明確に定められていないなどのため、特定の郵便物について定期調査等が十分に実施されていない事態が次のとおり見受けられた。
(ア) 協会が発行する定期刊行物に対する定期調査等に係る事態
協会が発行する定期刊行物に対する有料発売部数の割合が承認条件を具備しているかなどについての定期調査の実施状況について検査したところ、21年3月末現在、全国で26の協会が発行する39件の定期刊行物が心身障害者用低料第三種郵便物の料金の適用を受けていた。そして、貴会社は、この39件の定期刊行物ごとに、定期調査実施月の直近に発行された1構成団体(21年3月以降は2又は3構成団体)の定期刊行物を定期調査の対象としていた。しかし、上記26の協会を形成している構成団体は1,742に上っていて、それぞれが定期刊行物を発行していることになっていることから、このような1構成団体のみを調査の対象とする定期調査の方法では、定期調査が十分な意味のあるものになっているとは認められない。
また、協会に新たな構成団体が加わる場合、貴会社は、協会に構成団体の一覧表の提出を求めるのみで、一般の定期刊行物を第三種郵便物として新たに承認する際と同様の審査は行っておらず、その後の見本調査や定期調査にゆだねている状況となっていた。
これらの結果、貴会社において承認条件を具備しているかの調査が行われないまま、多数の定期刊行物が心身障害者用低料第三種郵便物として引き受けられている状況となっていた。
(イ) 日刊新聞の見本調査に係る事態
日刊新聞の見本調査については、前記1(4)のとおり、支社が行うこととなっている。しかし、マニュアルにおいて、刊行物提出店が受け付けた日刊新聞の見本を支社へ送付することになっておらず、また、支社が実施する見本調査の方法が本社からの指示文書において明確に定められていないことなどのため、支社が見本調査を実施していない事態が見受けられた。
この結果、貴会社において承認条件を具備しているかの調査が行われないまま、多数の日刊新聞が低料第三種郵便物として引き受けられている状況となっていた。
低料第三種郵便物を刊行物提出店以外の支店等が引き受ける場合には、前記1(5)のとおり、当該支店等が事前に差出承認を行った上で、差出しのある都度、引受け可能なものであるかを確認することになっている。
しかし、前記の95支店及び79郵便局を対象に、20年7月から9月までに低料第三種郵便物として引き受けていた約3620万通について調書の提出を求め検査したところ、差出承認原簿が作成されていなかったり、保存されていなかったりなどしているため、差出承認を行った上で引き受けているものか確認できないものが、表3のとおり、72支店等において約1860万通(51.3%)あり、これに係る収納金額は6億4964万余円となっていた。
区分 | 差出承認が必要な低料第三種郵便物を引き受けていた支店等の数 | (A)に係る引受通数 (通)
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差出承認が行われていることが確認できない低料第三種郵便物を引き受けていた支店等の数 | (C)に係る引受通数 (通)
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(D)に対応する収納金額 (円)
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通数の割合 (%)
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(A) | (B) | (C) | (D) | (E) | (D)/(B) | ||
心身障害者用低料第三種郵便物(新聞) | 支店 | 33 | 10,766,247 | 12 | 2,426,478 | 18,517,952 | 22.5 |
郵便局 | 41 | 102,492 | 10 | 10,302 | 86,564 | 10.0 | |
心身障害者用低料第三種郵便物(その他) | 支店 | 35 | 3,192,842 | 10 | 247,845 | 2,288,055 | 7.7 |
郵便局 | 41 | 44,852 | 9 | 4,359 | 88,835 | 9.7 | |
低料第三種郵便物(新聞) | 支店 | 67 | 21,565,774 | 31 | 15,864,419 | 626,609,857 | 73.5 |
郵便局 | 70 | 534,014 | 31 | 49,422 | 2,050,068 | 9.2 | |
計 | 支店 | 77 | 35,524,863 | 37 | 18,538,742 | 647,415,864 | 52.1 |
郵便局 | 76 | 681,358 | 35 | 64,083 | 2,225,467 | 9.4 | |
合計 | 153 | 36,206,401 | 72 | 18,602,825 | 649,641,331 | 51.3 |
前記のとおり、貴会社が20年12月以降に総務大臣に提出した報告書において、定期調査等の実施に問題点があったとしているが、本院が検査した結果においても、前記2(1)のとおり、特別調査を行う際の基礎となる第三種郵便物差出票が送付されていなかったり、調査結果が業務に反映されていなかったり、調査対象が限定されていたりなどしていて、本院の指摘により執られた定期調査等の処置が十分に機能していなかったと認められた。
また、貴会社は、発覚した心身障害者用低料第三種郵便物の不適正利用に係る収納金額の不足額について、前記のとおり請求を行ったものの、今後の詳細な事実関係が判明した場合には、その状況に応じてその金額を見直すとともに、法的責任が認められる企業を特定し請求先を拡大していくこととしている。
本院は、貴会社が不適正利用のあった21件の定期刊行物に係る請求先及び収納金額の不足額を確定した際には、改めてこれを検査することとする。
貴会社は、心身障害者用低料第三種郵便物の不適正利用の発覚後、総務大臣の命令に基づくなどして、現在までに心身障害者用低料第三種郵便物を主な対象として各種の再発防止策を講じてきている。
しかし、(1)ア及び(2)のとおり、マニュアル等に定められた事務手続が遵守されていないため、特別調査を発動するための方策として機能していなかったり、見本が提出されていないため見本調査が実施されていないなどの不適切な事態が是正されないまま定期刊行物の引受けを行っていたりしている事態は適切とは認められず、是正改善の要があると認められる。
また、(1)イのとおり協会が発行する定期刊行物に対する定期調査などが十分に実施されていない事態は、国民文化の普及向上等のために低廉な料金設定をしている第三種郵便物制度の趣旨が損なわれることにもつながりかねず、改善の要があると認められる。
このようにマニュアル等に定められた事務手続が遵守されていなかったり、定期調査等が十分に実施されていなかったりしている事態が生じているのは、第三種郵便物制度の適正な運用が確保できなくなるリスクを軽減するための対策の検討が十分でなく、事務手続を遵守させるのに有効な相互牽(けん)制の事務手続の整備や事務手続の明確化が行われていないなど、法令遵守等を目的として構築されるべき内部統制のシステムが十分整備されていないことによると認められた。
第三種郵便物制度は、定期刊行物の郵便料金を低い水準に抑え、社会・文化の発展に資することを目的として運用されており、他の郵便物の利用者の負担の下に成り立っているものであることから、貴会社は同制度を適正に運用することが求められている。
ついては、貴会社において、郵便窓口業務の委託先である局会社とも連携して、第三種郵便物制度の適正な運用を確保するよう、次のとおり新たな是正改善の処置を求め及び意見を表示する。
ア 第三種郵便物差出票の送付、見本等を提出していない発行人に対する催告、差出承認の確認等の事務手続が遵守されているかを確認する相互牽制の事務手続を業務の過程に組み込むような規定を定めることなどにより事務手続の遵守の徹底を図ること(会計検査院法第34条による是正改善の処置を求めるもの)
イ 協会が発行する定期刊行物に対する定期調査等及び日刊新聞の見本調査の実施に必要な事務手続を明確に規定すること(同法第36条による意見を表示するもの)