A 決算等の状況
この機構は、預金者等の保護及び破綻金融機関に係る資金決済の確保を図るため、次のような業務を行うことなどにより、もって信用秩序の維持に資することを目的として設置されているものである。
〔1〕 金融機関が預金等の払戻しを停止した場合に必要な保険金等の支払等を行うとともに、破綻金融機関に係る合併等に対する適切な資金援助等を行う業務、金融整理管財人の業務、及び金融整理管財人の管理に係る金融機関の業務を承継する銀行の設立、当該設立された銀行の経営管理等を行う業務
〔2〕 金融危機に対応するため必要と認められた場合において、金融機関の株式等の引受け等を行う業務
〔3〕 住宅金融専門会社から財産を譲り受けてその処理等を行う会社を設立し、当該設立された会社に対して資金援助等を行う業務
〔4〕 金融機関等の資産の買取り等を行う業務
〔5〕 金融機関等が発行する株式等の引受け等を協定銀行に委託し、これに伴い必要となる財務上の支援を行う業務
〔6〕 金融機関等又は組織再編成金融機関等が発行する株式等の引受け等又は協同組織中央金融機関からの信託受益権等の買取り等を協定銀行に委託し、これに伴い必要となる財務上の支援を行う業務
〔7〕 預金等に係る債権の消滅手続の開始等に係る公告等を行う業務
その資本金は20事業年度末現在で54億5500万円(うち国の出資51億5000万円)となっている。
同機構の会計は、一般、危機対応、特定住宅金融専門会社債権債務処理、金融再生、金融機能早期健全化、金融機能強化及び被害回復分配金支払の7勘定に区分して経理されている。このうち、被害回復分配金支払勘定は、犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律(平成19年法律第133号)第26条の規定により、同機構が20事業年度から新たに上記〔7〕 の業務を行うこととなり、これに関する経理を行うために設置されたものである。
同機構の勘定別の20事業年度の収入支出決算、損益、借入金等及び主な業務実績は次のとおりである。
ア 一般勘定
(ア) 収入支出決算
収入 | 収入決定済額(千円) |
20事業年度 19事業年度 |
1,386,773,450 1,164,560,592 |
支出 | 支出予算現額(千円) | 支出決定済額(千円) | 不用額(千円) |
20事業年度 19事業年度 |
2,138,148,672 1,399,917,675 |
1,365,841,734 1,175,071,792 |
772,306,937 224,845,882 |
不用額の主なものは、借入返済金(支出予算現額8461億円)の5746億円及び協定銀行貸付金(同4323億円)の1889億円である。
(イ) 損益
区分 | 20事業年度(千円) | 19事業年度(千円) |
経常収益 うち保険料収入
経常費用うち資金援助事業費
特別損失うち国庫納付金 当期利益金 (利益金の処理) 翌事業年度に繰越欠損金の補てんに充当 (繰越欠損金) |
828,608,924 611,676,685 361,326,847 257,715,021 81,292,081 83 467,281,993 467,281,993 (1,377,784,263) |
703,539,382 566,674,015 148,656,259 1,805,736 120,934,544 201 554,882,921 554,882,921 (1,932,667,185) |
(ウ) 借入金等
区分 | 20事業年度末(千円) | 19事業年度末(千円) |
借入金残高(市中金融機関) 預金保険機構債発行残高 |
63,200,000 1,080,000,000 |
56,500,000 1,580,000,000 |
(エ) 主な業務実績
区分 | 20事業年度 千円 |
(19事業年度) 千円 |
破綻した金融機関からの買取資産(貸付金)の回収(注2) | 1,365,189 | 354,071 |
事業年度末買取資産残高 | 9,563,288 | 10,928,477 |
上記のうち民間金融機関のリスク管理債権の開示基準を参考に機構において開示している債権
破綻先債権
延滞債権 3ヵ月以上延滞債権 貸出条件緩和債権 計
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1,987,950 7,574,439 — — 9,562,390 |
2,868,131 8,056,460 — — 10,924,591 |
貸倒引当金
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9,304,425 | 10,474,003 |
(注1) 貸倒引当金に計上する金額は、破綻先、実質破綻先の債務者に係る債権については、債権額から担保の処分可能見込額等を控除した額とされている。また、破綻懸念先の債務者に係る債権については、債権額から担保の処分可能見込額等を控除し、その残額のうち債務者の支払能力を総合的に判断して必要と認める額とされている。上記以外の債務者に係る債権については、過去の一定期間における貸倒実績に基づき算出した貸倒実績率を債権額に乗じた額とされている。
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(注2)
10年2月の預金保険法(昭和46年法律第34号)の改正が行われる前までは、預金保険機構が株式会社整理回収銀行に対して破綻した金融機関の資産の買取りを委託できるのは、信用組合に限られていたため、同機構は10年1月に破綻した株式会社阪和銀行の貸付金等資産2082億余円を直接買い取っている。
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イ 危機対応勘定
(ア) 収入支出決算
収入 | 収入決定済額(千円) |
20事業年度 19事業年度 |
1,235,133,997 348,111,253 |
支出 | 支出予算現額(千円) | 支出決定済額(千円) | 不用額(千円) |
20事業年度 19事業年度 |
1,389,107,578 444,392,505 |
1,209,247,210 347,991,179 |
179,860,367 96,401,325 |
不用額の主なものは、借入返済金(支出予算現額5682億余円)の1731億余円である。
(イ) 損益
区分 | 20事業年度(千円) | 19事業年度(千円) |
経常収益 うち取得株式等事業収入
経常費用 うち事業外費用
当期利益金(利益金の処理) 翌事業年度に積立金として整理 (積立金) |
95,122,181 94,962,906 16,023,342 15,996,361 79,098,839 79,098,839 (26,733,939) |
19,711,244 19,688,698 16,142,607 16,131,734 3,568,637 3,568,637 (23,165,302) |
(ウ) 借入金等
区分 | 20事業年度末(千円) | 19事業年度末(千円) |
借入金残高(市中金融機関) 預金保険機構債発行残高 |
1,041,300,000 800,000,000 |
328,400,000 1,600,000,000 |
ウ 特定住宅金融専門会社債権債務処理勘定
(ア) 収入支出決算
収入 | 収入決定済額(千円) |
20事業年度 19事業年度 |
12,834,443 13,586,087 |
支出 | 支出予算現額(千円) | 支出決定済額(千円) | 不用額(千円) |
20事業年度 19事業年度 |
13,409,776 13,805,847 |
12,854,953 13,615,881 |
554,822 189,965 |
(イ) 損益
区分 | 20事業年度(千円) | 19事業年度(千円) |
経常収益 うち金融安定化拠出基金戻入
経常費用 うち資産運用収入 うち債権処理会社助成事業費
特別損失当期損失金 (損失金の処理) 翌事業年度に繰越欠損金として整理 (繰越欠損金) |
25,138,224 12,604,124 12,278,250 67,385,070 54,850,977 7 42,246,853 42,246,853 (363,438,054) |
27,036,479 13,375,476 13,416,429 49,247,400 35,586,482 84 22,211,005 22,211,005 (341,227,048) |
(ウ) 金融安定化拠出基金
区分 | 20事業年度末(千円) | 19事業年度末(千円) |
金融安定化拠出基金残高 | 908,796,037 | 909,121,912 |
(エ) 主な業務実績
区分 | 20事業年度 千円 |
(19事業年度) 千円 |
債権処理会社への業務推進助成金の交付 | 12,604,124 | 13,375,476 |
エ 金融再生勘定
(ア) 収入支出決算
収入 | 収入決定済額(千円) |
20事業年度 19事業年度 |
823,533,249 659,301,345 |
支出 | 支出予算現額(千円) | 支出決定済額(千円) | 不用額(千円) |
20事業年度 19事業年度 |
1,248,430,629 1,274,556,856 |
831,051,686 726,358,469 |
417,378,942 548,198,386 |
不用額の主なものは、借入返済金(支出予算現額4898億余円)の3965億余円及び資産買取事業費(同382億余円)の162億余円である。
(イ) 損益
区分 | 20事業年度(千円) | 19事業年度(千円) |
経常収益 うち特定協定銀行納付金収入
経常費用うち協定銀行納付金収入 うち資産買取事業費
特別損失当期利益金 (利益金の処理) 翌事業年度に繰越欠損金の補てんに充当 (繰越欠損金) |
147,632,941 29,682,082 90,446 133,112,377 76,549,425 — 14,520,563 14,520,563 (323,664,778) |
302,229,749 54,491,091 65,947,363 149,398,756 39,360,285 6 152,830,986 152,830,986 (476,495,765) |
(ウ) 借入金等
区分 | 20事業年度末(千円) | 19事業年度末(千円) |
借入金残高(市中金融機関) 預金保険機構債発行残高 |
250,500,000 1,670,000,000 |
93,300,000 1,870,000,000 |
オ 金融機能早期健全化勘定
(ア) 収入支出決算
収入 | 収入決定済額(千円) |
20事業年度 19事業年度 |
648,136,989 977,288,482 |
支出 | 支出予算現額(千円) | 支出決定済額(千円) | 不用額(千円) |
20事業年度 19事業年度 |
740,492,731 1,740,983,712 |
555,151,734 1,521,135,694 |
185,340,996 219,848,017 |
不用額の主なものは、協定銀行貸付金(支出予算現額3303億余円)の1853億余円である。
(イ) 損益
区分 | 20事業年度(千円) | 19事業年度(千円) |
経常収益 うち事業外収益
経常費用 うち協定銀行納付金収入 うち事業外費用
特別損失当期利益金 (利益金の処理) 翌事業年度に積立金として整理 (積立金) |
29,087,068 13,810,110 5,980,146 10,035,495 9,974,322 — 19,051,573 19,051,573 (1,461,170,804) |
735,287,422 13,426,524 711,120,067 12,799,734 12,735,961 11 722,487,675 722,487,675 (738,683,128) |
(ウ) 預金保険機構債発行残高
区分 | 20事業年度末(千円) | 19事業年度末(千円) |
預金保険機構債発行残高 | 1,000,000,000 | 1,400,000,000 |
カ 金融機能強化勘定
(ア) 収入支出決算
収入 | 収入決定済額(千円) |
20事業年度 19事業年度 |
196,403,804 75,112,768 |
支出 | 支出予算現額(千円) | 支出決定済額(千円) | 不用額(千円) |
20事業年度 19事業年度 |
12,070,185,159 2,076,009,299 |
190,341,543 75,099,943 |
11,879,843,615 2,000,909,355 |
不用額の主なものは、協定銀行貸付金(支出予算現額12兆0004億円)の11兆8477億円及び借入返済金(同691億円)の319億円である。
(イ) 損益
区分 | 20事業年度(千円) | 19事業年度(千円) |
経常収益 うち協定銀行貸付金利息収入
経常費用 うち事業外費用
当期利益金(利益金の処理) 翌事業年度に積立金として整理 (積立金) |
561,438 311,849 423,031 331,765 138,406 138,406 (557,786) |
571,804 343,980 460,359 343,427 111,445 111,445 (446,340) |
(ウ) 借入金
区分 | 20事業年度末(千円) | 19事業年度末(千円) |
借入金残高(市中金融機関) | 167,200,000 | 46,200,000 |
(エ) 主な業務実績
区分 | 20事業年度 | (19事業年度) | |
協定銀行への資本増強の委託 | 金融機関数 金額 |
3金融機関 121,000,000千円 |
— — |
キ 被害回復分配金支払勘定
(ア) 収入支出決算
収入 | 収入決定済額(千円) |
20事業年度 | 474,203 |
支出 | 支出予算現額(千円) | 支出決定済額(千円) | 不用額(千円) |
20事業年度 | 522,536 | 451,319 | 71,216 |
(イ) 損益
区分 | 20事業年度(千円) |
経常収益 うち被害回復分配金残余納付金
経常費用 うち一般管理費
当期損失金(損失金の処理) 翌事業年度に繰越欠損金として整理 |
14,203 14,176 200,897 200,319 186,694 186,694 |
(ウ) 借入金
区分 | 20事業年度末(千円) |
借入金残高(市中金融機関) | 210,000 |
(エ) 主な業務実績
区分 | 20事業年度 | |
主な公告の実施 | ||
対象預金等債権の消滅手続が開始された旨等の公告 | 16回 | |
消滅預金等債権について被害回復分配金の支払手続が開始された旨等の公告 | 11回 | |
被害回復分配金の支払手続が終了した旨等の公告 | 9回 |
B 金融機関の資本の増強のために使用された公的資金の状況
機構では、預金保険法、金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律(平成10年法律第143号)等に基づき、直接又は協定銀行に委託して金融機関等の資本増強に関する業務を行っており、10年3月から21年3月までに、40金融機関(資本増強時の金融機関数)に対して計12兆5484億余円に及ぶ公的資金(政府保証を付して資金の借入れ又は債券の発行により調達した資金)を使用して資本増強を実施した。
このうち、20事業年度末現在までに計9兆4429億余円が返済され、同事業年度末における未返済残高は15金融機関(現在の金融機関数)で計3兆1054億余円となっている。
これらの状況を金融機関別に整理して示すと、次表のとおりとなっている。
表 公的資金による資本増強の対象とされた金融機関(平成20事業年度末現在) | (単位:億円) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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注(1)
旧(株)大和銀行は合併等により(株)りそな銀行となったが、旧(株)大和銀行が存続会社であることから(株)りそな銀行と同一法人として整理している。
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注(2)
(株)あしぎんフィナンシャルグループは、子会社の(株)足利銀行が15年11月29日に特別危機管理銀行になったことにより、会社更生手続を経て17年12月26日に解散した。
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注(3)
(株)九州親和ホールディングスは、子会社の(株)親和銀行(旧(株)九州銀行)が別の銀行持株会社の完全子会社として経営統合されることに伴い19年8月29日に解散した。
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