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  • 国会及び内閣に対する報告(随時報告)|
  • 会計検査院法第30条の2の規定に基づく報告書|
  • 平成21年10月

利用が低調となっていて整備・運用等に係る経費に対してその効果が十分発現していない電子申請等関係システムについて、システムの停止、簡易なシステムへの移行など費用対効果を踏まえた措置を執るよう内閣官房等11府省等の長に対して意見を表示したもの


利用が低調となっていて整備・運用等に係る経費に対してその効果が十分発現していない電子申請等関係システムについて、システムの停止、簡易なシステムへの移行など費用対効果を踏まえた措置を執るよう意見を表示したもの

部局等
内閣官房、内閣府本府、公正取引委員会、警察庁、総務本省、財務本省、国税庁、厚生労働本省、農林水産本省、経済産業本省、国土交通本省
電子申請等関係システムの概要
国民が国の行政機関とこれまで書面を用いてやり取りしてきた申請・届出等について、インターネット等を経由した電子的な申請等によっても行うことができるようにするためのシステム
効果が十分発現していない10府省等の12電子申請等関係システムの整備・運用等に係る経費
118億7519万円(背景金額)(平成17年度〜20年度)

1 電子申請等関係システムの概要

(1) 電子申請等関係システムの整備・運用

 政府は、高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(平成12年法律第144号)に基づいて、13年1月、内閣に、内閣総理大臣を長とした高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(以下「IT戦略本部」という。)を設置し、高度情報通信ネットワーク社会の形成に関するe-Japan重点計画を作成するなどして、国民の利便性の向上を図るとともに、行政運営の簡素化、効率化及び透明性の向上に資するため、国及び地方公共団体の事務におけるインターネットその他の高度情報通信ネットワークの利用の拡大等行政の情報化を積極的に推進することとしている。
 そして、各府省等は、その一環として、国民が国の行政機関とこれまで書面を用いてやり取りしてきた申請、届出等(以下「申請等」という。)について、インターネット等を経由した電子的な申請等を行うための電子申請等関係システムを整備・運用してきている。

(2) 電子申請等関係システムに関する施策

 IT戦略本部は、高度情報通信ネットワーク社会の形成に関する重点計画を毎年度策定するとともに、必要に応じて行政の情報化を推進するための施策等を策定するなどしており、近年における電子申請等関係システムに係る行政の情報化を推進するための主な施策は、以下のとおりとなっている。

ア IT新改革戦略

 IT戦略本部が18年1月に策定した「IT新改革戦略」の施策において、申請等における「オンライン利用率」を22年度までに50%以上とすることを目標とし、また、国の扱うほとんどの手続においてインターネットによる申請等が可能となっている一方で国民・企業等による電子政府の利用が進んでいないなどの状況を踏まえ、利用者の視点に立って添付書類の電子化、省略・廃止、手続自体の廃止等を図るなどとしている。

イ オンライン利用促進のための行動計画

 各府省等は、上記のIT新改革戦略を受け、18年3月に、オンライン利用促進のため、年間申請件数10万件以上の手続、オンライン利用に関する企業ニーズの高い登記、国税、社会保険等の手続をオンライン利用促進対象手続(18年3月時点で175手続。19年3月の改定により165手続)として、「オンライン利用促進のための行動計画」を定めており、これにより原則として添付書類を省略すること、電子署名を簡略化すること、システムを改修することなどの取組を進めることとしている。

ウ オンライン利用拡大行動計画

 IT戦略本部は、20年9月に、IT新改革戦略に掲げた目標を達成するとともに、オンライン利用を飛躍的に拡大させていく必要があるなどとして、「オンライン利用拡大行動計画」を策定している。この計画によると、オンライン化された申請等の手続のうち、国民や企業による利用頻度が高い年間申請等件数が100万件以上の手続及び100万件未満であっても主として企業等が反復的又は継続的に利用する見込みのある手続を「重点手続」(71手続)とし、重点手続全体で25年度末に「オンライン利用率」72%以上の実現を目指すとしている。
 また、同計画の実行に当たっては、オンライン利用の飛躍的拡大を図る一方で、利用率が極めて低調であるなどの手続についてはシステムの停止も含めて見直しを図るなどとしている。そして、内閣官房及び総務省は、利用率が極めて低調で、今後とも改善の見込みがない手続については、今後の利用者ニーズや費用対効果、代替措置の有無等を総合的に勘案して、停止すべきシステムの範囲をIT戦略本部に置かれている電子政府評価委員会に対して報告し、その評価や国民からの意見も踏まえた上で、システム停止の是非について結論を得るものとしている。また、停止すべきシステムの範囲は、内閣官房及び総務省において必要に応じて毎年見直していくこととしている。