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  • 国会及び内閣に対する報告(随時報告)|
  • 会計検査院法第30条の2の規定に基づく報告書|
  • 平成20年12月

独立行政法人における食事手当等の現金の支給について


2 検査の結果

(検査の観点、着眼点、対象及び方法)

 会計検査院は、経済性等の観点から、各独立行政法人の職員に対する給与が、社会一般の情勢に適合したものとなっているか、また、国家公務員の給与の動向を考慮したものとなっているかなどに着眼して、すべての独立行政法人(20年4月1日現在における101法人)を対象として、給与の支給状況に係る調書を徴することにより検査を行った。
 その結果、給与の内容について更に詳細に把握する必要があると認められた特定独立行政法人以外の法人である独立行政法人国民生活センター(以下「国民生活センター」という。)、独立行政法人科学技術振興機構(以下「科学技術振興機構」という。)、独立行政法人農畜産業振興機構(以下「農畜産業振興機構」という。)、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下「新エネルギー・産業技術総合開発機構」という。)、独立行政法人日本貿易振興機構(以下「日本貿易振興機構」という。)、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「石油天然ガス・金属鉱物資源機構」という。)、独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下「中小企業基盤整備機構」という。)及び独立行政法人都市再生機構(以下「都市再生機構」という。)の8独立行政法人(以下「8独立行政法人」という。)において会計実地検査を行い、給与台帳、給与明細書等の関係書類により検査した。

(検査の結果)

 検査したところ、8独立行政法人が、特殊法人等から独立行政法人に移行した15年10月(石油天然ガス・金属鉱物資源機構については16年2月。中小企業基盤整備機構及び都市再生機構については16年7月。以下同じ。)から20年9月までの間に、職員に対して支給した給与において、次のような事態が見受けられた。
 すなわち、8独立行政法人は、全部又は一部の職員に対して、職員に支払う基本給、諸手当等のほか、次表のとおり、その職員給与に係る内規に定めるなどして食事手当等の名称で月ごとに一定額を現金で支給していた。そして、8独立行政法人における15年10月から20年9月までの間における食事手当等の支給額の合計は12億9754万円となっていた。
 また、8独立行政法人が公表している職員の給与の支給水準はいずれも国家公務員の給与水準と比べて高くなっていた。

 8独立行政法人における食事手当等の現金の支給状況

法人名 手当等の名称 支給月額 平成15年10月から20年9月までの間の支給額の合計
注(1)
国民生活センター 食事手当
7,300円
 

4947万円
科学技術振興機構 食事補助
6,750円 (管理職)
9,150円 (非管理職)
1121万円
支所手当
3,600円
 

農畜産業振興機構 食事手当
4,900円 (管理職)
5,600円 (非管理職)
5974万円
新エネルギー・産業技術総合開発機構 食堂施設利用代
7,000円
 

2億9839万円
日本貿易振興機構 食事補助
5,500円 (管理職)
7,100円 (非管理職)
3億2507万円
福祉費
5,500円 (管理職)
7,100円 (非管理職)
住宅費補助
27,000円
(支給限度額)

石油天然ガス・金属鉱物資源機構 食事手当
7,000円
 

1億3664万円
中小企業基盤整備機構 食事費用補助費
7,150円
 

2億7982万円
都市再生機構 昼食費補助 2,000円又は2,500円 注(2)
1億3720万円
    12億9754万円
注(1)  石油天然ガス・金属鉱物資源機構は平成16年2月から20年9月までの間の、また、中小企業基盤整備機構及び都市再生機構は16年7月から20年9月まで間の支給額の合計である。
注(2)  都市再生機構の支給額合計のうち16年度の昼食費補助に係る支給額は、16年度昼食費補助の総額に16年7月の昼食費補助の額に対する現金支給額の割合を乗じて得た額である。また、17年度の昼食費補助に係る支給額は、17年度昼食費補助の総額に17年4月の昼食費補助の額に対する現金支給額の割合を乗じて得た額である。

 上記の食事手当等について、8独立行政法人は、特殊法人等であったときから引き続き、職員の福利厚生のために昼食代等として現金を支給しているものであるとしている。
 しかし、20年9月時点において食事手当等の現金を支給しているのは上記の8独立行政法人のみで、それ以外の93独立行政法人は、独立行政法人への移行時には既にこれを支給していなかったり、その後廃止していたりなどしている状況となっている。また、国においても食事手当等の現金の支給は行われていない。

(改善を必要とする事態)

 このように、8独立行政法人が独立行政法人への移行時及び移行後において、食事手当等の現金の支給について、通則法の規定の趣旨を踏まえて社会一般の情勢に適合したものであるかなどの検討を十分に行わないままこれを支給し続けている事態は適切とは認められず、改善を図る必要があると認められる。

(発生原因)

 このような事態が生じているのは、8独立行政法人において、給与の支給の基準を社会一般の情勢に適合したものとする検討が十分でなかったこと、大多数の独立行政法人等においては食事手当等と同種の現金を支給していないことについての調査・検討が十分でなかったことなどによると認められる。