職員に対する食事手当の現金の支給について
(平成20年12月17日付け 独立行政法人国民生活センター理事長あて)
標記について、会計検査院法第36条の規定により、下記のとおり改善の処置を要求する。
記
1 職員給与の概要
独立行政法人は、独立行政法人通則法(平成11年法律第103号。以下「通則法」という。)第3条の規定により、適正かつ効率的にその業務を運営するよう努めなければならないとされている。
そして、貴センター(平成15年9月30日以前は国民生活センター)のような特定独立行政法人(注)
以外の法人の職員給与の支給基準については、通則法第63条第3項の規定により、当該独立行政法人の業務の実績を考慮し、かつ、社会一般の情勢に適合したものになるように定められなければならないとされている。
また、行政のスリム化・効率化を一層徹底するために、独立行政法人整理合理化計画(平成19年12月閣議決定)において、独立行政法人の事業運営の効率化に関する措置の一環として、主務大臣は国家公務員と比べて給与水準の高い法人に対して社会的に理解が得られる水準とするよう要請するほか、独立行政法人は人件費総額について着実に削減に取り組むことが求められている。
2 本院の検査結果
(検査の観点、着眼点、対象及び方法)
本院は、経済性等の観点から、貴センターの職員に対する給与が、社会一般の情勢に適合したものとなっているか、また、国家公務員の給与の動向を考慮したものとなっているかなどに着眼して、貴センターにおいて会計実地検査を行い、給与台帳、給与明細書等の関係書類により検査した。
(検査の結果)
検査したところ、貴センターが、特殊法人から独立行政法人に移行した15年10月から20年9月までの間に職員に対して支給した給与において、次のような事態が見受けられた。
すなわち、貴センターはすべての職員に対して、職員に支払う基本給及び諸手当のほか、その職員給与に係る内規に定めて食事手当として月ごとに1人当たり7,300円を現金で支給しており、15年10月から20年9月までの食事手当の支給額は計4947万円となっていた。また、貴センターが公表している職員の給与の支給水準は国家公務員の給与水準と比べて高くなっていた。
上記の食事手当について、貴センターは、特殊法人であったときから引き続き、職員の健康と福祉を確保することを目的として昼食代として支給しているものであるとしている。
しかし、このような食事手当の現金の支給は、貴センター以外の大多数の独立行政法人においては、独立行政法人への移行時には既に支給していなかったり、その後廃止していたりなどしている状況となっている。また、国においても食事手当等の現金の支給は行われていない。
(改善を必要とする事態)
このように、貴センターが食事手当の現金の支給について、通則法の規定の趣旨を踏まえて社会一般の情勢に適合したものであるかなどの検討を十分に行わないまま現在もこれを支給し続けている事態は適切とは認められず、改善を図る要があると認められる。
(発生原因)
このような事態が生じているのは、貴センターにおいて、給与の支給の基準を社会一般の情勢に適合したものとする検討が十分でなかったこと、大多数の独立行政法人等においては食事手当等と同種の現金を支給していないことについての調査・検討が十分でなかったことなどによると認められる。
3 本院が要求する改善の処置
貴センターは、今後も引き続き、行政のスリム化・効率化を一層徹底するために人件費の削減や見直しに取り組むことや職員給与の支給を含めて適正かつ効率的にその業務を運営することが求められている。
ついては、貴センターにおいては、職員に対する食事手当の現金の支給について、通則法の規定の趣旨を踏まえて支給の適否等を十分に検討することにより、食事手当に係る内規を廃止するなどするよう改善の処置を要求する。