ページトップ
  • 平成21年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第2 裁判所|
  • 不当事項|
  • 役務

清掃業務請負契約において、清掃員の人工数を誤って算出したため、契約額が割高となっていたもの


(2) 清掃業務請負契約において、清掃員の人工数を誤って算出したため、契約額が割高となっていたもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)裁判所 (項)下級裁判所
    (項)裁判費
部局等 前橋地方裁判所
契約名 前橋地方・家庭・簡易裁判所合同庁舎等の清掃業務
契約の概要 前橋地方・家庭・簡易裁判所合同庁舎等に係る日常清掃作業及び定期清掃作業を行うもの
契約の相手方 キョウワプロテック株式会社
契約 平成21年4月 一般競争契約
契約額
25,725,000円
(平成21年度)

割高となっていた契約額
150万円
(平成21年度)

1 契約等の概要

(1) 清掃業務請負契約の概要

 前橋地方裁判所は、平成21年度に、前橋地方・家庭・簡易裁判所合同庁舎、管内4地方・家庭裁判所支部等合同庁舎及び5簡易裁判所庁舎に係る清掃業務を、一般競争契約により契約金額25,725,000円(予定価格31,101,000円)でキョウワプロテック株式会社に請け負わせて実施している。
 この請負契約の仕様書によると、清掃業務は、作業箇所に応じて毎日、週1回等の頻度で事務室、廊下等の床の除塵、水拭き等を行う日常清掃作業と、年1回又は2回の頻度で床の洗浄や窓ガラスの清掃等を行う定期清掃作業に分かれている。

(2) 清掃業務請負契約に係る予定価格の積算

 前橋地方裁判所は、上記の請負契約の予定価格を次の手順に基づくなどして、31,101,000円と積算していた。
〔1〕  作業箇所、床材の種類、除塵、水拭き等の作業内容、清掃回数等により清掃作業を細分化し、細分化された作業ごとの清掃対象面積を平面図等から算出する。
〔2〕  細分化された作業ごとに「建築保全業務積算基準」(国土交通省大臣官房官庁営繕部監修)から対応する清掃員の単位面積当たりの労務歩掛かりを選定する。
〔3〕  市販の表計算ソフトを用いて、細分化された作業ごとの清掃回数や人工数を計算するための計算式等を入力した人工数の計算表のひな形を作成し、これに各庁舎ごとの対象面積及び労務歩掛かりを入力するなどして、人工数を算出する。
〔4〕  〔3〕 によって算出された人工数に、清掃員の労務単価を乗ずるなどする。

2 検査の結果

(1) 検査の観点、着眼点、対象及び方法

 本院は、前橋地方裁判所において、経済性等の観点から、予定価格の積算が適切に行われているかなどに着眼して、本件請負契約を対象に、契約書、仕様書、予定価格算定調書等の書類により会計実地検査を行った。

(2) 検査の結果

 検査したところ、次のとおり適切でない事態が見受けられた。
ア 人工数の計算表のひな形を作成する際、清掃回数、対象面積及び労務歩掛かりのそれぞれを乗ずる計算式を入力する箇所に、誤って細分化された作業ごとに算出された人工数を小計するための計算式を入力していたため、これにより作成されたひな形を使用して作成したすべての人工数の計算表により算出された人工数が過大となっていた。
イ 1地方・家庭裁判所支部等合同庁舎に係る定期清掃作業の人工数の算出に当たり、労務歩掛かりを人工数の計算表の定期清掃作業の所定の欄に入力すべきところ、誤って日常清掃作業の欄に入力したため、日常清掃作業の労務歩掛かりが過大となり、この結果、清掃員の人工数が過大に算出されていた。
 したがって、適正な計算式及び労務歩掛かりにより人工数を算出すると総人工数2,105.5人日は1,595.4人日となり、この人工数を基に清掃員の労務単価を乗ずるなどして予定価格を修正計算すると24,147,900円となることから、本件契約額25,725,000円は、これに比べて約150万円割高となっていて不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、前橋地方裁判所において、請負契約に係る予定価格の積算に対する審査及び確認が十分でなかったことなどによると認められる。