ページトップ
  • 平成21年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第4 内閣府|
  • (内閣府本府)|
  • 不当事項|
  • 予算経理

大型電子計算機システムの賃貸借等に当たり、支出負担行為等の契約手続を経ることなく前年度中にハードウェア等の移行作業を実施させ、当年度に契約を締結して、これに係る経費を含む契約金額を当年度の歳出予算で支払っていたもの


(3) 大型電子計算機システムの賃貸借等に当たり、支出負担行為等の契約手続を経ることなく前年度中にハードウェア等の移行作業を実施させ、当年度に契約を締結して、これに係る経費を含む契約金額を当年度の歳出予算で支払っていたもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)内閣本府 (項)経済社会総合研究所
部局等 経済社会総合研究所
契約名 大型電子計算機システムの賃貸借等
契約の概要 大型電子計算機及びサーバを賃借し、プログラム・プロダクトの使用権許諾を受けるとともに、移行作業等を実施させるもの
契約の相手方 富士通株式会社及び日本電子計算機株式会社
契約 平成20年4月 一般競争契約
契約額
252,156,360円
(平成20年度)

支払 平成20年6月〜21年4月 12回
会計法令に違背して支払っていた契約金額
252,156,360円
(平成20年度)

1 大型電子計算機システムの賃貸借等に係る契約の概要等

(1) 賃貸借等に係る契約の概要

 内閣府経済社会総合研究所(以下「研究所」という。)は、経済財政白書作成等の経済分析業務、国民経済計算等の統計作成業務及び各種報告書作成業務を行うために大型電子計算機システムを運用してきており、同システムを構成する新しい大型電子計算機、サーバの賃貸借及びプログラム・プロダクトの使用権許諾等に係る契約を、平成20年4月1日に富士通株式会社及び日本電子計算機株式会社と契約額252,156,360円で締結している。
 そして、研究所は、契約の締結に当たり、上記業務の多くが大型電子計算機を使用しないサーバや端末単体による処理に移行してきていることなどを踏まえ、仕様書において、新しい大型電子計算機の処理性能を従来の6割程度とするとともに、新しい大型電子計算機等の稼働に必要となるハードウェア、ソフトウェア等の移行作業を実施することとしている。

(2) 契約等に関する会計法令の規定

 国が行う契約から支払までの会計事務は、財政法(昭和22年法律第34号)、会計法(昭和22年法律第35号)等(以下「会計法令」という。)に従って処理することとなっている。財政法によると、国の会計年度は毎年4月1日から翌年3月31日までとされており、原則として、各会計年度における経費は当該年度の歳入をもって支弁しなければならないとされている。また、会計法等によると、支出負担行為(国の支出の原因となる契約その他の行為)をするに当たっては、法令又は予算の定めるところに従って行わなければならず、支出負担行為担当官は、支出官から当該支出負担行為が示達額を超過しないことの確認を受け、関係の帳簿に登記された後でなければ、支出負担行為をすることができないなどとされている。そして、契約の相手方を決定したときは、原則として、契約の目的、契約金額、履行期限等の契約内容を記載した契約書を作成しなければならないとされており、この場合においては、契約の相手方とともに契約書に記名押印しなければ、当該契約は、確定しないとされている。

2 検査の結果

(1) 検査の観点、着眼点、対象及び方法

 本院は、合規性等の観点から、契約手続等が会計法令に従って適正に行われているかなどに着眼して、研究所において、契約書、仕様書等の書類により会計実地検査を行った。

(2) 検査の結果

 検査したところ、次のとおり適正とは認められない事態が見受けられた。
 すなわち、研究所は、19年12月27日に一般競争入札を行って落札業者を決定した後、仕様書で定めていたとおり、20年4月1日からの新しい大型電子計算機等の稼働に必要となるハードウェア、ソフトウェア等の移行作業を、前年度である20年1月1日から3月31日までの間に、落札業者に実施させ、落札業者は、20年3月に移行作業を終了した旨の報告書等を研究所に提出していた。そして、研究所は、20年4月1日に本件契約について支出負担行為決議を行って契約期間を20年4月1日から21年3月31日までの間とする契約を締結し、20年6月から21年4月までの間に、この移行作業に係る経費を含む契約金額を20年度の歳出予算で支払っていた。
 したがって、研究所において、上記のとおり、前年度である19年度中に一般競争入札を行った上で落札業者を決定し、支出負担行為等の契約手続を経ることなく、落札業者に移行作業を実施させた後、20年度に契約を締結して、この経費を含む契約金額252,156,360円を20年度の歳出予算で支払っていたことは、会計法令に違背しており、不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、研究所において、契約の締結に当たり、会計法令を遵守することの認識が十分でなかったことなどによると認められる。