会計名及び科目 | 一般会計 | (組織)総合通信局 | (項)総合通信局共通費 |
(平成19年度以前は、 | (項)総合通信局) | ||
(項)電波利用料財源電波監視等実施費 | |||
部局等 | 5総合通信局 | ||
不適正な会計経理により支払われた経費の概要 | 物品の購入等に係る庁費等 | ||
不適正な会計経理により支払われた金額 | 30,416,001円
(平成16年度〜21年度)
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総務省の総合通信局は、一般会計において、毎年度多額の予算を執行しており、業務で使用する物品の購入等に係る経費については、庁費等の予算科目から支払っている。
そして、総合通信局における物品の購入等に係る契約、支払等の会計事務手続は、会計法(昭和22年法律第35号)、予算決算及び会計令(昭和22年勅令第165号)等の会計法令等に基づき、おおむね次のとおり行われることとなっている。
〔1〕 物品管理官(総務部長(注1)
)は、各課等からの払出請求を受けたときは、在庫を確認し、所要の物品の品目、規格、数量等を明らかにした上で、支出負担行為担当官(総合通信局長(注2)
)に物品取得請求を行い、支出負担行為担当官は競争契約による場合は入札を、また、随意契約による場合は見積合わせを行うなどした上で、契約業者を決定し、支出負担行為決議を行って契約を締結する。
〔2〕 支出負担行為担当官は、上記の契約が適正に履行されたかを確認するために、自ら又は補助者として任命した検査職員に命じて、納入された物品の品目、規格、数量、納品時期等について、契約書、仕様書等に基づき、必要な検査(以下「検収」という。)を行い検査調書を作成する。
〔3〕 官署支出官(総務部長(注1)
)は、業者から代金の支払請求を受けたときは、検収が適正に行われたことを確認した上で、請求書等に基づき支出決定決議を行い、業者に代金を支払う手続を行う。
総務部長 代行機関としての総務部財務課長を含む。
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総合通信局長 代行機関としての総務部長を含む。
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本院は、合規性等の観点から、物品の購入等は会計法令等に基づき適正に行われているかなどに着眼して、5総合通信局(注3) において、平成16年度から21年度までの間に締結した物品の購入等の契約を対象として、支出決定決議書等の書類により会計実地検査を行った。
検査したところ、5総合通信局において、16年度から21年度までの契約について、虚偽の内容の関係書類を作成するなど不適正な会計経理を行って庁費等を支払っていたものが、計133件、30,416,001円あった。
これを態様別に示すと次のとおりである(表参照)。
ア 差替え
業者に虚偽の請求書等を提出させて、契約した物品等が納入されていないのに納入されたとする虚偽の内容の関係書類を作成することなどにより庁費等を支払い、実際には契約した物品等とは異なる物品等に差し替えて納入させていたもの
2総合通信局、4件、支払額88,578円
イ 翌年度納入
物品等が翌年度に納入されているのに、検査調書等の書類に実際の納品日より前の日付を検収日として記載することなどにより、物品等が現年度に納入されたこととして庁費等を支払っていたもの
5総合通信局、25件、支払額13,570,334円
ウ 先払い
物品は年度内に納入されていたが、検査調書等の書類に実際の納品日より前の日付を検収日として記載することなどにより、実際に物品が納入されるよりも先に庁費等を支払っていたもの
1総合通信局、1件、支払額7,675円
エ 前年度納入
物品が前年度に納入されていたのに、検査調書等の書類に実際の納品日より後の日付を検収日として記載することなどにより、物品が現年度に納入されたこととして庁費等を支払っていたもの
1総合通信局、4件、支払額294,577円
オ 契約前納入
年度内において、契約手続を行わないまま物品等を納入させていたのに、検査調書等の書類に実際の納品日より後の日付を検収日として記載することなどにより、物品等が契約締結後に納入されたこととして庁費等を支払っていたもの
5総合通信局、99件、支払額16,454,837円
表 不適正な会計経理により支払われた庁費等の総合通信局別・態様別内訳
(単位:件、円)
総合通信局名
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年度
|
ア 差替え
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イ 翌年度納入
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ウ 先払い
|
エ 前年度納入
|
オ 契約前納入
|
計
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|||||||
件数
|
金額
|
件数
|
金額
|
件数
|
金額
|
件数
|
金額
|
件数
|
金額
|
件数
|
金額
|
|||
(18)
|
北海道
|
平成
17〜19 |
—
|
—
|
3
|
934,894
|
—
|
—
|
—
|
—
|
4
|
187,576
|
7
|
1,122,470
|
(19)
|
東北
|
16〜20
|
1
|
45,150
|
1
|
32,340
|
—
|
—
|
4
|
294,577
|
43
|
7,585,185
|
49
|
7,957,252
|
(20)
|
関東
|
17〜21
|
—
|
—
|
17
|
11,629,820
|
—
|
—
|
—
|
—
|
23
|
6,233,716
|
40
|
17,863,536
|
(21)
|
近畿
|
16〜20
|
3
|
43,428
|
1
|
683,741
|
1
|
7,675
|
—
|
—
|
15
|
1,470,855
|
20
|
2,205,699 |
(22)
|
九州
|
16〜20
|
—
|
—
|
3
|
289,539
|
—
|
—
|
—
|
—
|
14
|
977,505
|
17
|
1,267,044 |
計
|
4
|
88,578
|
25
|
13,570,334
|
1
|
7,675
|
4
|
294,577
|
99
|
16,454,837
|
133
|
30,416,001
|
これらのアからオまでの事態は、5総合通信局において、契約した物品等が納入されていないのに納入されたこととして虚偽の内容の関係書類を作成するなど不適正な会計経理を行って庁費等計30,416,001円を支払っていたもので、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、5総合通信局において、物品の購入等に係る会計経理を行うに当たり、会計法令等を遵守することについての認識が欠如していたこと、契約事務において職務の分担による相互牽(けん)制が十分でないなど内部統制が十分機能していなかったこと、また、総務本省において、5総合通信局の会計経理に対する実態把握や会計事務手続の適正な執行についての指導監督等が十分でなかったことなどによると認められる。