情報通信人材研修事業費補助金は、情報通信分野における専門的な知識及び技能を有する人材の育成を図るために、電気通信設備等の効率的な利用を技術的に支援する業務等に関する知識及び技能の向上を図る研修事業を実施する法人(以下「助成対象事業者」という。)にその経費の一部を助成する団体(以下「補助事業者」という。)に対して、助成する額と同額が交付されるものである。
そして、補助事業者は、毎年度、国が定めた補助金交付要綱と同様の内容の助成金交付要綱において、助成金の交付の対象となる物品費、講師謝金等の経費の費目とその範囲を定め、これらに基づき、上記の研修事業に係る業務を実施している。このうち、講師謝金については、研修を担当する講師等への謝礼(謝金)とすることとされている。
本院が総務省、1補助事業者及び3助成対象事業者において会計実地検査を行ったところ、1助成対象事業者において次のとおり適切でない事態が見受けられた。
補助事業者
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助成対象事業者
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補助事業
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年度
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補助対象経費
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左に対する国庫補助金交付額
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不当と認める補助対象経費
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不当と認める国庫補助金相当額
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摘要
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千円
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千円
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千円
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千円
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(36)
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株式会社横須賀テレコムリサーチパーク
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株式会社長野協同データセンター(事業主体)
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情報通信人材研修事業費補助
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16、17
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53,162
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35,430
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17,013
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11,342
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補助金の過大交付
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この補助事業は、障害者に情報通信技術者としての基本知識と技術を習得させるために、株式会社長野協同データセンター(以下「長野データ」という。)が同会社の施設で実施した研修事業に要する経費について株式会社横須賀テレコムリサーチパーク(以下「YRP」という。)が助成金を交付したものである。長野データは、研修に係るすべての講師の派遣についてA会社と講師派遣出向契約を締結しており、講師謝金として、平成16年度27,048,000円(延べ216日分)、17年度11,520,000円(延べ48日分)、計38,568,000円(延べ264日分)を助成対象経費16年度37,887,490円、17年度15,275,364円、計53,162,854円に含めて実績報告を行い、YRPから助成金16年度25,249,000円、17年度10,181,000円、計35,430,000円の交付を受けていた。
しかし、上記の講師謝金のうち、16年度14,238,000円(延べ118日分)、17年度7,920,000円(延べ33日分)、計22,158,000円(延べ151日分)に係る研修については、実際にはA会社の委託を受けたB会社等の講師が担当しており、これらの講師に支払われた謝金は16年度3,660,000円、17年度1,485,000円、計5,145,000円であったことから、講師謝金は16年度10,578,000円、17年度6,435,000円、計17,013,000円が過大となっていた。
したがって、助成対象経費は上記と同額が過大となっていることから、助成金、ひいては国庫補助金16年度7,052,000円、17年度4,290,000円、計11,342,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、長野データにおいて助成金交付要綱等の理解が十分でなかったこと、YRPにおいて長野データに対する指導が十分でなかったこと、総務省においてYRPに対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。