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  • 平成21年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
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特別交付税の交付の対象となる経費の算定に当たり、国庫補助金、県費補助金等の特定財源を控除しないで計算していたなどのため、特別交付税が過大に交付されていたもの


(41)—(66) 特別交付税の交付の対象となる経費の算定に当たり、国庫補助金、県費補助金等の特定財源を控除しないで計算していたなどのため、特別交付税が過大に交付されていたもの

会計名及び科目 交付税及び譲与税配付金特別会計 (交付税及び譲与税配付金勘定)
      (項)地方交付税交付金
部局等 総務本省
交付の根拠 地方交付税法(昭和25年法律第211号)
交付先 市20、町6
特別交付税交付額
50,715,422,000円
(平成17年度〜21年度)

過大に交付された特別交付税の額
383,089,000円
(平成17年度〜21年度)

1 特別交付税の概要

 総務省は、地方交付税法(昭和25年法律第211号)に基づき、普通交付税の算定方法によっては捕そくされなかった特別の財政需要がある地方団体に特別交付税を交付している。
 特別交付税の額の算定方法は、特別交付税に関する省令(昭和51年自治省令第35号。以下「省令」という。)により、算定の対象となる財政需要の事項(以下「算定事項」という。)ごとに定められている。
 市町村は、算定事項ごとに作成した財政需要に関する基礎資料(以下「算定資料」という。)等を都道府県に提出し、都道府県は、算定資料等を審査して、総務省に送付することとされている。そして、総務省は、送付された算定資料等の金額に所定の係数を乗ずるなどして地方団体に交付すべき特別交付税の額を算定することとされている。
 省令及び算定資料の記載要領(以下「省令等」という。)によれば、特別交付税の算定事項の経費の算定に当たっては、国庫補助金、県費補助金等の特定財源を控除することとされている。

2 検査の結果

 本院は、合規性等の観点から、特別交付税の額が適正に算定されているかに着眼して、総務本省及び23府県の222市町村において、平成17年度から21年度までの間に交付された特別交付税計50,715,422,000円を対象として、特別交付税の算定資料等により会計実地検査を行った。
 検査したところ、8県の26市町において、算定事項の経費の算定に当たり、国庫補助金、県費補助金等の特定財源を控除しないで算定していたなどのため、特別交付税計383,089,000円が過大に交付されていて不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、上記の26市町において省令等の理解が十分でなかったこと、上記の8県において省令等の理解が十分でなく、算定資料等の審査が十分でなかったこと、総務省において地方団体に対する省令等の周知徹底が十分でなかったことなどによると認められる。
 以上の事態について、事例を示すと次のとおりである。

<事例>

 福井県福井市は、平成19年度に、地方バス路線の運行維持を目的として民営バス事業者に補助金を交付するなどのため、特別の財政需要が生ずるとして、その経費を180,663,000円とする算定資料等を福井県に提出するなどして、特別交付税144,529,000円の交付を受けていた。
 しかし、同市は、上記の経費を算定する際、同年度に民営バス事業者への補助金として交付を受けた県費補助金27,221,000円を控除していなかった。
 したがって、これにより適正な特別交付税を算定すると122,754,000円となることから、特別交付税21,775,000円が過大に交付されていた。

 これを県別・交付先別に示すと次のとおりである。

 
県名
交付先
算定事項
年度
特別交付税交付額
過大に交付された特別交付税の額
摘要
 
 
 
 
 
千円
千円
 
(41)
青森県
八戸市
地方バス
19
1,522,164
5,600
国庫補助金を控除していなかったもの
(42)
十和田市
21
1,006,495
2,062
財政需要が生じないものを含めていたもの
(43)
富山県
富山市
地理情報システム
19
1,907,100
11,155
国庫補助金を控除していなかったものなど
(44)
石川県
能美市
地方バス
19
679,187
83,131
国庫補助金を控除していなかったもの
(45)
福井県
福井市
19
1,697,205
21,775
県費補助金を控除していなかったもの
(46)
大野市
19、20
2,496,734
4,749
(47)
勝山市
19
742,114
2,584
(48)
越前市
19
1,139,174
2,947
(49)
坂井市
19
934,063
4,375
(50)
南条郡南越前町
19
678,067
1,466
(51)
丹生郡越前町
19、20
1,900,725
12,977
県費補助金等を控除していなかったもの
(52)
奈良県
奈良市
17〜20
3,236,088
9,912
算定方法を 誤っていたものなど
(53)
徳島県
阿南市
20
815,661
8,517
県費補助金を控除していなかったもの
(54)
阿波市
18〜20
2,495,703
5,518
(55)
徳島県
美馬市
地方バス
18〜20
2,318,150
25,170
県費補助金等を控除していなかったもの
(56)
三好市
18〜20
3,205,069
11,073
県費補助金を控除していなかったもの
(57)
那賀郡那賀町
19、20
1,378,384
15,761
(58)
海部郡美波町
19、20
880,084
4,836
(59)
佐賀県
佐賀市
18〜20
4,983,547
5,945
(60)
唐津市
18〜20
5,798,049
16,108
(61)
伊万里市
18〜20
2,818,729
18,891
(62)
武雄市
18〜20
2,967,121
8,896
(63)
嬉野市
18〜20
1,521,548
4,227
(64)
神埼郡吉野ヶ里町
20
317,789
6,400
県費交付金を控除していなかったもの
(65)
杵島郡白石町
18〜20
1,867,942
53,950
県費補助金等を控除していなかったもの
(66)
鹿児島県
曽於市
19、20
1,408,530
35,064
国庫補助金を控除していなかったもの
(41)—(66)の計
50,715,422
383,089