(平成19年度決算検査報告 参照)
(平成20年度決算検査報告 参照)
独立行政法人情報通信研究機構(以下「機構」という。)は、平成15年4月1日に通信・放送機構が基盤技術研究促進センターから承継した産業投資特別会計からの出資金188億6640万余円等を16年4月1日に承継している。承継した政府出資金等は、機構の通信・放送承継勘定において、承継した株式処分業務及び債権管理回収業務に必要な資金に充てるべきものとされている。そして、株式処分業務は18年6月に終了して、債権管理回収業務についても承継時38億0360万円の貸付金元本残高が19年度末時点で5億2809万円まで減少している。このように承継した業務の規模が年々縮小して、出資金の額は承継した業務量に比べて過大となっていくことが明らかであるにもかかわらず、多額の出資金を投資有価証券の形で保有して承継業務の経常費用を大きく上回る財務収益を計上し続けている事態が見受けられた。
したがって、総務省において、機構の通信・放送承継勘定における出資金の額の適切な規模を検討して、出資金の減資を行うことにより生ずる資金の国庫返納を可能とする検討を行うよう、総務大臣に対して20年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。
本院は、総務本省及び機構本部において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、総務省は、本院指摘の趣旨に沿い、通信・放送承継勘定における出資金の額の適切な規模を検討するために、業務に必要な経費の額を機構に試算させている。そして、試算の際には、業務量に応じた人員体制の在り方や経費を精査しつつ、債権の最新の査定結果等を反映させるよう指導、助言を行っている。
また、不要な資金を国庫に返納させる制度の整備については、「独立行政法人通則法の一部を改正する法律」(平成22年法律第37号)が22年5月28日に公布され、6か月以内に施行されることとなったことを受けて、不要財産を国庫返納するための処理方法等について検討を行っている。