会計名及び科目 | 一般会計 | (組織)法務本省 | (項)訟務費 等 |
(組織)法務総合研究所 | (項)法務総合研究所 | ||
(組織)検察庁 | (項)検察官署共通費 等 | ||
(平成19年度以前は、(項)検察官署等) | |||
(組織)矯正官署 | (項)矯正官署共通費 等 | ||
(平成19年度以前は、(項)矯正官署等) | |||
(組織)更生保護官署 | (項)更生保護官署共通費 等 | ||
(平成19年度以前は、(項)更生保護官署) | |||
(組織)法務局 | (項)法務局共通費 等 | ||
(平成19年度以前は、(項)法務局) | |||
(組織)地方入国管理官署 | (項)出入国管理業務費 | ||
(平成19年度以前は、(項)地方入国管理官署 等) | |||
登記特別会計 | (項)事務取扱費等 | ||
部局等 | 2刑務所、2少年院、1少年鑑別所、2検察庁、1地方更生保護委員会、4法務局、2地方法務局、3地方入国管理局 | ||
不適正な会計経理により支払われた経費の概要 | 物品の購入等に係る庁費等 | ||
不適正な会計経理により支払われた金額 | 218,041,967円(平成15年度〜21年度) |
法務省は、基本法制の維持及び整備、法秩序の維持、国民の権利擁護、国の利害に関係のある争訟の統一的かつ適正な処理並びに出入国の公正な管理を図ることを任務としていて、施設等機関として刑務所、少年院等を、特別の機関として検察庁を、地方支分部局として地方更生保護委員会、法務局等を、また、外局として公安調査庁等(以下、これらを合わせて「法務官署」という。)をそれぞれ設置している。
そして、法務官署における事務で使用する物品の購入等に係る経費は、法務官署の官署支出官(法務官署の長)から庁費等として支払われている。
また、法務官署の物品の購入等に係る契約、支払等の会計事務手続については、会計法(昭和22年法律第35号)、予算決算及び会計令(昭和22年勅令第165号)等の会計法令等に基づき、おおむね次のとおり行われることとなっている。
〔1〕 物品管理官(法務官署の会計課長等)は所要の物品の品目、規格、数量等を明らかにした上で、支出負担行為担当官(法務官署の長)に物品取得請求を行い、支出負担行為担当官は競争契約による場合は入札を、また、随意契約による場合は見積合わせを行うなどした上で、契約業者を決定し、支出負担行為決議を行って契約を締結する。
〔2〕 支出負担行為担当官は、上記の契約が適正に履行されたかを確認するために、自ら又は補助者として任命した検査職員に命じて、納入された物品の品目、規格、数量、納品時期等について、契約書、仕様書等に基づき、必要な検査(以下「検収」という。)を行う。
〔3〕 官署支出官は、業者から代金の支払請求を受けたときは、検収が適正に行われたことを確認した上で、請求書等に基づいて支出決定決議を行い、業者に代金を支払う手続を行う。
本院は、合規性等の観点から、物品の購入等は会計法令等に基づき適正に行われている かなどに着眼して、法務本省及び186法務官署(注) において、平成15年度から21年度までの間に締結した物品の購入等に係る契約を対象として、契約書等の書類により会計実地検査を行った。
検査したところ、17法務官署において、15年度から21年度までの契約について、虚偽の内容の関係書類を作成するなど不適正な会計経理を行って庁費等を支払っていたもの が、計308件、218,041,967円あった。
これを態様別に示すと次のとおりである(表参照)
。
ア | 差替え |
業者に虚偽の請求書等を提出させて、契約した物品が納入されていないのに納入されたとする虚偽の内容の関係書類を作成することなどにより庁費等を支払い、実際には契約した物品とは異なる物品に差し替えて納入させるなどしていたもの | |
2法務官署、12件、支払額105,196円 | |
イ | 翌年度納入 |
物品が翌年度に納入されているのに、支出決定決議書等の書類に実際の納品日より前の日付を検収日として記載することなどにより、物品が現年度に納入されたこととして庁費等を支払っていたもの | |
17法務官署、276件、支払額214,092,607円 | |
ウ | 前年度納入 |
物品が前年度に納入されていたのに、支出決定決議書等の書類に実際の納品日より後の日付を検収日として記載することなどにより、物品が現年度に納入されたこととして庁費等を支払っていたもの | |
4法務官署、20件、支払額3,844,164円 |
表 不適正な会計経理により支払われた庁費等の法務官署別・態様別内訳 | (単位:件、円) |
法務官署名 | 年度 | ア 差替え | イ 翌年度納入 | ウ 前年度納入 | 計 | |||||
件数 | 金額 | 件数 | 金額 | 件数 | 金額 | 件数 | 金額 | |||
(68) | 横浜刑務所 | 平成20 | — | — | 5 | 1,280,791 | — | — | 5 | 1,280,791 |
(69) | 富山刑務所 | 16〜20 | 9 | 31,171 | 21 | 5,895,903 | 5 | 639,377 | 35 | 6,566,451 |
(70) | 瀬戸少年院 | 17〜20 | — | — | 22 | 1,049,843 | — | — | 22 | 1,049,843 |
(71) | 丸亀少女の家 | 16、17、20 | — | — | 9 | 2,578,624 | 1 | 9,208 | 10 | 2,587,832 |
(72) | 名古屋少年鑑別所 | 16〜20 | — | — | 6 | 415,225 | — | — | 6 | 415,225 |
(73) | 宇都宮地方検察庁 | 17〜20 | — | — | 9 | 1,098,007 | — | — | 9 | 1,098,007 |
(74) | 岡山地方検察庁 | 19、20 | — | — | 11 | 2,308,966 | — | — | 11 | 2,308,966 |
(75) | 北海道地方更生保護委員会 | 17、20 | — | — | 8 | 1,591,940 | — | — | 8 | 1,591,940 |
(76) | 東京法務局 | 18、20 | — | — | 6 | 48,310,521 | — | — | 6 | 48,310,521 |
(77) | 名古屋法務局 | 16〜20 | — | — | 27 | 11,319,350 | — | — | 27 | 11,319,350 |
(78) | 大阪法務局 | 15〜19 | — | — | 18 | 59,021,330 | — | — | 18 | 59,021,330 |
(79) | 福岡法務局 | 18、19 | — | — | 7 | 14,129,272 | — | — | 7 | 14,129,272 |
(80) | 横浜地方法務局 | 16、18〜21 | 3 | 74,025 | 45 | 35,623,328 | 13 | 2,355,789 | 61 | 38,053,142 |
(81) | 長野地方法務局 | 18〜20 | — | — | 12 | 17,637,753 | — | — | 12 | 17,637,753 |
(82) | 仙台入国管理局 | 16〜19 | — | — | 39 | 4,357,648 | — | — | 39 | 4,357,648 |
(83) | 大阪入国管理局 | 19、20 | — | — | 2 | 3,034,815 | 1 | 839,790 | 3 | 3,874,605 |
(84) | 高松入国管理局 | 16〜19 | — | — | 29 | 4,439,291 | — | — | 29 | 4,439,291 |
計 | 12 | 105,196 | 276 | 214,092,607 | 20 | 3,844,164 | 308 | 218,041,967 |
これらのアからウの事態は、17法務官署において、契約した物品が納入されていないのに納入されたこととして虚偽の内容の関係書類を作成するなど不適正な会計経理を行って庁費等計218,041,967円を支払っていたもので、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、17法務官署において、物品の購入等に係る会計経理を行うに当たり、会計法令等を遵守することの認識が欠如していたことなどによると認められる。