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  • 平成21年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第7 外務省|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

通話実績に比べて著しく高額な料金になっている電話契約を解約することなどにより、電話料金の支払を経済的なものとするよう改善させたもの


(4)  通話実績に比べて著しく高額な料金になっている電話契約を解約することなどにより、電話料金の支払を経済的なものとするよう改善させたもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)在外公館 (項)在外公館共通費
         (平成19年度は、(項)在外公館)
部局等 在ロシア日本国大使館
契約の概要 大使公邸の固定電話から外部と通話等を行ったり、旧大使館事務所の 電話番号への着信に対して事務所が移転した旨を自動で音声案内したりするための電話回線の使用
電話料金の支払額 1172万余円(273万余ルーブル)(平成19年度〜21年度)
節減できた電話料金の額    1086万円(253万ルーブル)(平成19年度〜21年度)

1 在ロシア日本国大使館大使公邸の電話契約の概要

 在ロシア日本国大使館(以下「大使館」という。)は、モスクワ市カラシヌィ通りの土地及び建物を大使館事務所(以下「事務所」という。)及び大使公邸(以下「公邸」という。)として使用していたが、平成19年3月に、事務所を同市内の別の地区に移転したことから、その後は公邸としてのみ使用している。
 大使館は、事務所を移転する前は、事務所及び公邸の固定電話について、通話等に係る契約(以下「電話契約」という。)を用途に応じてそれぞれ別の電話会社と締結して、外部と通話等を行っていた。
 これらの電話契約のうち、公邸の固定電話からの発信用等に使用していた電話会社との電話契約に係る1か月当たりの電話料金は、次のとおり、100米ドル相当(100米ドルのルーブル換算額をいう。以下同じ。)の電話番号使用料(1電話番号分の使用料を1か月当たり20米ドル相当とする5電話番号分の使用料)、通話実績に応じて計算する市内電話、市外電話及び携帯電話への各通話料並びに基本料差額(1か月当たり2,500米ドル相当の基本料から市外電話への通話料を差し引いた額)を合計して算出することとなっていた。このうち、基本料差額は、市外電話への通話料(以下「市外通話料」という。)が基本料を上回った場合には、無料になることとなっていた。

在ロシア日本国大使館大使公邸の電話契約の概要

 この電話契約に基づき、大使館は、19年度から21年度までの3年間で、電話料金を計273万余ルーブル(邦貨換算額1172万余円)支払っていた。

2 検査の結果

(検査の観点、着眼点、対象及び方法)

 本院は、経済性等の観点から、事務所移転後の公邸の電話契約が経済的なものとなっているかなどに着眼して、大使館において契約書等の提示を受けるなどして会計実地検査を行った。

(検査の結果)

 検査したところ、次のような事態が見受けられた。
 前記の公邸の固定電話からの発信用等に使用していた電話契約(以下「本件契約」という。)は、事務所移転前に旧事務所の直通の電話番号(以下、単に「番号」という。)として使用していた26番号のうち5番号分について、事務所が移転した旨を自動で音声案内するとともに公邸の固定電話からの発信用としても使用するため、事務所移転後も継続していた。そして、電話番号使用料については、番号の数を減らしたことに伴い、1か月当たり520米ドル相当から100米ドル相当に減額されていたが、基本料については、電話契約において、番号の数や通話時間の多寡にかかわらず1か月当たり2,500米ドル相当とされていたため、従前の料金を見直すことができないこととなっていた。
 また、19年3月の事務所移転後は、市外電話への通話時間が大幅に減ったため、基本料に対して市外通話料が著しく少額となっていた。
 これらの結果、前記の19年度から21年度までの3年間における本件契約に係る電話料金支払額計273万余ルーブル(同1172万余円)のうち、基本料差額の支払額が計239万余ルーブル(同1024万余円)と大部分を占めていた。
 しかし、事務所移転の案内は大使館のホームページ等や他の電話会社との電話契約による旧事務所の代表電話番号でも実施していること、公邸の固定電話からの発信用としては事務所移転前から電話契約を継続している他の電話会社の回線を使用することができることなどから、事務所移転に伴い大幅に減った通話実績に比べて著しく高額な料金を支払ってまで、本件契約を継続する必要はなかったと認められた。
 したがって、公邸の電話契約が通話実績に比べて著しく高額な料金になっていて、経済的なものとなっていない事態は適切とは認められず、改善の必要があると認められた。

(節減できた電話料金)

 事務所移転と同時に本件契約を解約して、その後の通話等は事務所移転前から電話契約を継続している他の電話会社の回線を使用したこととしてその電話料金を計算すると、19年度から21年度までの3年間で計20万余ルーブル(同86万余円)となり、前記の電話料金との差額、計253万余ルーブル(同1086万余円)を節減できたと認められた。

(発生原因)

 このような事態が生じていたのは、大使館において、公邸の電話契約について、固定電話の使用状況等に応じた経済的なものとするよう見直していなかったことなどによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

 上記についての本院の指摘に基づき、大使館は、22年6月末に本件契約を解約して、同年7月1日からは、事務所移転前から電話契約を継続している他の電話会社の回線を使用して通話等を行うこととする処置を講じた。