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  • 平成21年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第7 外務省|
  • 平成20 年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

政府開発援助の効果の発現について


政府開発援助の効果の発現について

(平成20年度決算検査報告 2か所参照 1  2

1 本院が表示した意見

 外務省、独立行政法人国際協力機構(以下「機構」という。)等の援助実施機関が行う政府開発援助について、〔1〕 フィリピン共和国(以下「フィリピン」という。)等で実施された技術協力事業と円借款事業との連携を図るための開発調査スキームにおいて、実施設計調査の成果品がその後に実施される円借款事業の入札関係図書として十分に活用されていない事態、〔2〕 フィリピンに対する無償資金協力事業において、建設された浄水施設等が使用されていない事態、フィリピンに対する円借款事業において、修復等された鉄道が運行されていない事態が見受けられた。
 したがって、外務省及び機構において、援助の効果が十分に発現するよう、〔1〕 従来の開発調査スキームに代わり新しいスキームで実施される詳細設計業務について、相手国の事業実施機関に対して同業務の目的、趣旨等を十分に説明したり、〔2〕 浄水施設を建設するなどの事業について、計画策定時に事業の持続可能性を十分に検討するなどしたり、〔3〕 鉄道の修復等の事業について、事後モニタリング等により維持管理体制等についての提言等がなされた場合は、それらを踏まえた対応を事業実施機関と十分に協議・検討したりするよう、外務大臣及び独立行政法人国際協力機構理事長に対して平成21年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。

2 当局が講じた処置

 本院は、外務本省及び機構本部において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
 検査の結果、外務省は、本院指摘の趣旨に沿い、21年12月に、機構に対して通知を発して、指摘を受けた改善を要する案件の事業効果の早期発現に向けたフォローアップの徹底等を求めていた。また、外務省及び機構は、本院指摘の趣旨に沿い、類似の案件における同様の事態の再発防止のために次のような処置を講じていた。
ア 従来の開発調査スキームに代わり新しいスキームで実施される詳細設計業務について、機構は、22年4月に、関係部に文書を発して、成果品を円借款事業の入札関係図書として確実に活用することや、事業実施機関の意向を適切に詳細設計に反映させるために技術支援委員会を設立することなどを事業実施機関との間で文書で合意した上で実施するよう指示した。
イ 浄水施設を建設するなどの事業について、外務省は、22年7月に、在外公館に文書を発して、案件形成の際に必要となる情報等をできる限り収集して事業の持続可能性を検討するよう指示した。また、機構は、同年6月に、無償資金協力に係る報告書等を作成するためのガイドラインを改訂して、無償資金協力の計画策定時に事業の持続可能性等を十分に検討することとするとともに、同年7月に、在外事務所に通知を発して、事業化調査報告書等の提言をいかすため、事業実施機関に対して積極的に協議・助言を行うよう指示した。
ウ 鉄道の修復等の事業について、機構は、22年7月に、在外事務所等に通知を発して、事後モニタリング等により維持管理体制等についての提言等がなされた場合は、それらを踏まえた対応について事業実施機関と十分に協議・検討を行うよう指示した。