会計名及び科目 | 一般会計 | (組織)税関 | (項)税関業務費 |
部局等 | 横浜税関 | ||
契約名 | 薬物簡易試薬の購入に関する単価契約 | ||
契約の概要 | 不正薬物の簡易鑑定に用いる試薬を調達するもの | ||
契約の相手方 | 株式会社チヨダサイエンス | ||
契約 | 平成20年5月、21年6月一般競争契約(単価契約) | ||
支払額 | 19,129,660円(平成20、21両年度) | ||
過大となっていた支払額 | 530万円(平成20、21両年度) |
横浜税関は、不正薬物等の密輸に対する監視取締りを行っており、手荷物等から不審物が発見された場合に、それが不正薬物であるかを検査する5種類の簡易試薬(以下「試薬」という。)を調達する物品購入契約を、平成20、21両年度に株式会社チヨダサイエンスと締結して、20年度9,046,200円、21年度10,083,460円を支払っている。
本件契約に当たっては、試薬ごとに単価契約することとした上で、仕様書で試薬の製造方法、梱包方法、納品方法、年間購入予定数量等を示して、その総額を入札書に記載させる方法で一般競争入札を行っている。
仕様書によると、試薬は、バイアルという容器に注入し、試薬の種類ごとにバイアルを10本ずつ箱詰めにすること、また、試薬を使用する同税関及び税関支署等27か所へ直接納品することとされており、購入予定数量は20年度11,700本、21年度9,930本とされている。また、納品時に必要な物としてバイアル10本が入るバイアル入れが指定されている。そして、同税関は、この仕様書に基づいて本件契約の予定価格を算定している。
本院は、本件契約について、経済性等の観点から、予定価格の算定が適切に行われているかなどに着眼して、横浜税関において、契約書、仕様書、予定価格調書等の書類により会計実地検査を行った。
検査したところ、予定価格の算定について、次のとおり適切でない事態が見受けられた。
ア バイアル入れに係る経費の積算について
同税関は、バイアル入れについて、冷凍保存が可能な特殊加工合成樹脂製の耐冷保存用収納ケース(以下「耐冷保存用ケース」という。)の価格を見込んで積算していた。
しかし、同税関及び税関支署等においては、紙製の箱で納品されたバイアルを、箱詰めのままで冷暗所に保管して順次使用しており、冷凍保存していないことから、本件契約において耐冷保存用ケースの価格を見込んで積算する必要はないと認められた。現に、耐冷保存用ケースは納品されていなかった。
イ 配送料金の積算について
同税関は、バイアルを10本ずつ箱詰めにすることとしていることから試薬の購入予定数量の総数を10で除すなどして、箱数を20年度1,171箱、21年度993箱とし、1箱ごとにそれぞれの配送地域別の運送単価を乗じて配送料金を積算していた。
しかし、発注の実績が年2回であることから、納品先である同税関及び税関支署等27か所に複数の箱をまとめて年2回配送すればよく、上記のように1箱ごとに配送することとする積算をする必要はないと認められた。
そこで、耐冷保存用ケースに係る経費を除き、配送料金は納品先ごとに複数の箱をまとめて年2回の配送とするなどして予定価格を修正計算し、これに基づき各年度の契約単価を修正の上、支払額を計算すると、20年度6,382,720円、21年度7,304,050円となることから、両年度の支払額9,046,200円、10,083,460円は、これに比べてそれぞれ約260万円、約270万円、計約530万円が過大となっていて不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同税関において、予定価格の算定に当たり、試薬の梱包、納品等に要する経費の積算についての検討が十分でなかったことによると認められる。