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  • 平成21年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第8 財務省|
  • 平成20年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

賃貸マンション等の取得に係る消費税額の納付について


(1) 賃貸マンション等の取得に係る消費税額の納付について

平成20年度決算検査報告 参照)

1 本院が表示した意見

 消費税法(昭和63年法律第108号)では、消費税が二重、三重に累積的に課税されないように仕入税額控除制度を採っており、仕入控除税額が課税売上げに係る消費税額より多額となる場合は、差額を事業者に還付することとなっている。賃貸マンション等の取得に当たり、免税事業者が課税事業者になることを選択した上で、自動販売機を設置するなどして、取得した課税期間における課税売上割合を95%以上にすることにより、家賃収入が非課税売上げであるため通常であれば仕入控除税額とならない賃貸マンション等の取得に係る消費税額の全額を仕入控除税額として還付を受けているのに、建物等の一定の固定資産を取得した後に課税売上割合が著しく減少した場合の消費税額の調整を免れて、調整額に相当する額が国に納付されていない事態が見受けられた。
 したがって、財務省において、賃貸マンション等の取得に係る消費税額のうち非課税売上げである家賃収入に対応する部分の額が、国に適切に納付されることとなるための措置を講ずるよう、財務大臣に対して平成21年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。

2 当局が講じた処置

 本院は、財務本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
 検査の結果、財務省は、本院指摘の趣旨に沿い、消費税額の納付に係る適正化のため、免税事業者が課税事業者になることを選択した上で建物等の一定の固定資産を取得した場合においては、その取得後に課税売上割合が著しく減少した場合の消費税額の調整を行い、消費税額の納付の適正を確保することを目的とした消費税法の一部改正を含む所得税法等の一部を改正する法律案を作成した。そして、消費税法の一部改正を含む所得税法等の一部を改正する法律(平成22年法律第6号)は、22年3月31日に公布され、消費税法の一部改正に係る当該改正部分については同年4月1日から施行された。