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  • 平成21年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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芸術団体人材育成支援事業等の契約等において、実際に事業の実施に要した経費に基づかない収支計算書等により精算していたため、支払額が過大となっていたもの


(90) 芸術団体人材育成支援事業等の契約等において、実際に事業の実施に要した経費に基づかない収支計算書等により精算していたため、支払額が過大となっていたもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)文化庁 (項)文化振興費
部局等 文化庁
契約名等 平成19年度芸術団体人材育成支援事業日本オペラ連盟人材育成オペラ公演「ポッペアの戴冠」等12契約等
契約等の概要 芸術家・芸術団体を幅広く構成員とする協会、連盟等の団体等が行う芸術家等の育成等の事業等を請け負わせるなどのもの
契約等の相手方 日本オペラ連盟(平成19年6月12日以前は日本オペラ団体連盟)、株式会社電通ミュージック・アンド・エンタテインメント(再委託先日本オペラ団体連盟)
契約等 平成16年6月ほか 随意契約等
支払額 1,133,745,876円 (平成16年度〜20年度)
過大となっていた支払額 62,727,185円 (平成16年度〜20年度)

1 契約等の概要

(1) 芸術団体人材育成支援事業等の概要

 文化庁は、芸術家・芸術団体を幅広く構成員とする協会等団体が行う芸術家等の育成事業等を支援することにより、芸術家等の養成に資することを目的として、若手芸術家の育成公演等に対して支援を行う芸術団体人材育成支援事業等を実施している。そして、文化庁は、これらの事業を実施するため、平成16年度から20年度までに、日本オペラ連盟(19年6月12日以前は日本オペラ団体連盟。以下「連盟」という。)及び株式会社電通ミュージック・アンド・エンタテインメント(以下「会社」という。)と、「平成19年度芸術団体人材育成支援事業日本オペラ連盟人材育成オペラ公演「ポッペアの戴冠」」等12契約等(注) を締結するなどして、これらに係る請負代金等として計1,133,745,876円を支払っている。

 12契約等  12契約等の内訳は、連盟を相手方とするもの11契約等及び会社を相手方とするもの1契約であるが、後者の1契約についても、連盟が業務の一部について再委託を受けている。

(2) 請負代金等の支払

 文化庁は、事業ごとに出演費、会場費、舞台費等を支援対象経費として定め、これに支援対象外となる経費を加えた経費の総額から収入を差し引いた自己負担金の額を限度として、それぞれの事業に応じて支援対象経費の全額又は2分の1以内の額を負担するなどとしている。そして、それぞれ事業の終了後に、連盟等から事業の収支計算書等を提出させて、事業の実施に要した経費の調査を行い、請負代金等の額を確定し、支払うこととしている。

2 検査の結果

(1) 検査の観点、着眼点、対象及び方法

 本院は、文化庁及び連盟において、合規性等の観点から、事業の経理及び事業の実施に要したとする経費は適正かなどに着眼して、前記の12契約等を対象として、収支計算書、領収書等の書類により会計実地検査を行った。

(2) 検査の結果

 検査したところ、次のような事態が見受けられた。
 すなわち、連盟は、発注元である文化庁及び受託先である会社に提出する収支計算書等の作成に当たって、実際に当該事業に支出していないのに支払ったとして事業の実施に要した経費を水増しするなどしていた。このため、文化庁が請負代金等の額の算定の基礎とした収支計算書等の内容は、実際に事業の実施に要した経費を上回るものとなっていた。
 したがって、本件12契約等について、実際に事業の実施に要した経費に基づいて適正な請負代金等の額を算定すると、計1,071,018,691円となることから、前記の支払額との差額計62,727,185円が過大に支払われていて、不当と認められる。
 上記の事態について、事例を示すと、次のとおりである。

<事例>

 文化庁は、「平成19年度芸術団体人材育成支援事業日本オペラ連盟人材育成オペラ公演「ポッペアの戴冠」」について、自己負担金62,725,000円、事業の実施に要する経費76,400,000円(支援対象経費同額)とする連盟が提出した事業計画申請書に基づき、支援対象経費の1/2である38,200,000円を請負代金額とする契約を連盟と締結していた。  そして、文化庁は、公演終了後、事業の実施に要した経費を76,797,516円とする連盟が提出した収支計算書に基づいて、請負代金の額を38,200,000円と確定して支払っていた。  しかし、収支計算書に事業の実施に要した経費として計上された出演費等は水増しされたものであり、実際に事業の実施に要した経費は41,311,038円であった。  したがって、適正な請負代金の額を算定すると、20,655,519円となり、前記の支払額との差額17,544,481円が過大に支払われていた。

 このような事態が生じていたのは、連盟において、適正な会計経理に関する認識が欠けていたこと、文化庁において、審査及び確認が十分でなかったことなどによると認められる。