大学改革推進等補助金(大学改革推進事業)は、我が国の高等教育の活性化及び高度な人材育成に資することを目的として、大学等において組織的に行われている教育改革を推進するための事業のうち、特に優れた取組として特色ある大学教育支援プログラムに選定された事業を行う大学等に対して、当該事業に要する経費の一部を国が補助するものである。
この補助金の交付額は、補助事業を実施するために必要な経費のうち文部科学大臣が認める経費を補助対象経費とし、これに対して予算の範囲内で定額を交付することとなっている。
そして、補助事業の実施に要する委託業務等については、交付決定のなされた国の会計年度中に終了したものに限られることから、年度内に終了しない委託業務等に係る経費は補助の対象とはならないこととされている。
本院が、1国立大学法人、2学校法人計3法人において会計実地検査を行ったところ、次のような事態が見受けられた。
部局等 | 事業主体 | 補助事業 | 年度 | 補助対象経費 | 左に対する国庫補助金交付額 | 不当と認める補助対象経費 | 不当と認める国庫補助金 | 摘要 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(92) | 文部科学本省 | 学校法人慶應義塾 | 大学改革推進事業(特色ある大学教育支援プログラム) | 19 | 16,000 | 16,000 | 1,500 | 1,500 | 補助の対象外 |
学校法人慶應義塾は、上記の事業として平成19年度に実施した授業方法の改善向上や教材作成等に係る補助対象経費を16,000,000円(国庫補助金同額)としていた。
しかし、同法人は、19年10月に業者に委託した教材作成業務が年度内に終了していないにもかかわらず、委託費1,500,000円を業者に支払って委託業務が年度内に終了したこととして、委託業務に係る経費1,500,000円を補助対象経費に含めていた。
したがって、適正な補助対象経費は14,500,000円(国庫補助金同額)となり、国庫補助金1,500,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同法人において補助事業の実施に要した委託業務の履行の確認が十分でなかったこと、文部科学省において同法人から提出された実績報告書等の審査が十分でなかったことなどによると認められる。