会計名及び科目 | 一般会計 | (組織)検疫所
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(項)検疫所施設費 |
部局等 | 横浜検疫所 | ||
工事名 | 国立駿河療養所 | ||
契約名 | 横浜検疫所輸入食品・検疫検査センター宿泊室改修その他工事 | ||
工事の概要 | 輸入食品・検疫検査センター宿泊室の検査室への改修、車路の新設等を行うもの | ||
契約額 | 133,980,000円 | ||
請負人 | 国際ビルサービス株式会社 | ||
契約 | 平成20年12月 一般競争契約 | ||
支払 | 平成21年2月、4月 2回 | ||
割高になっていた契約額 | 350万円 |
横浜検疫所は、平成20年度に中国産冷凍鮫子による薬物中毒事案を受けて、輸入食品等の検査件数が増加したため、それに見合った検査室数を確保する必要が生じたことなどから、20年12月に、横浜検疫所輸入食品・検疫検査センター宿泊室改修その他工事契約を、国際ビルサービス株式会社と一般競争契約により契約額133,980,000円で締結し、同センター宿泊室の検査室への改修、車路の新設等の工事を施行している。
そして、横浜検疫所は、本件工事の予定価格の積算に当たり、直接工事費を103,741,506円、共通費(注)
を26,818,936円として、これらの合計130,560,442円に消費税等相当額6,528,022円を加えて137,088,464円と算定していた。
厚生労働省は、建築工事、電気設備工事、機械設備工事等の積算については、「公共建築工事積算基準」、「公共建築工事共通費積算基準」(国土交通省大臣官房官庁営繕部監修)等(以下「積算基準等」という。)によることとしている。
積算基準等によると、共通仮設費は、直接工事費に共通仮設費率を乗じて算定した額に共通仮設費率を用いて算定する費用に含まれない費用を必要に応じて別途積み上げにより算定して加算することとされており、現場事務所の設置に係る費用や廃材処分費(以下、これらの費用を合わせて「現場事務所費等」という。)は、上記の共通仮設費率により算定した額に含まれることとされている。
本院は、経済性等の観点から、予定価格の積算が適切に行われているかなどに着眼して、横浜検疫所において、本件工事について、契約書、仕様書、予定価格の積算内訳書等の書類により会計実地検査を行った。
検査したところ、予定価格の積算が、次のとおり、積算基準等に沿ったものとなっておらず、直接工事費のうち中庭基礎工事費及び共通費のうち共通仮設費が過大に積算されていた。
ア 中庭基礎工事費について、検疫所中庭の車両の通行を可能とするために行われた車路工事については、車路の面積を110m2 とすべきところを誤って21,000m2 としたことなどから、30,498,725円が過大に積算されていた。
イ 共通仮設費について、工事の概算の見積額(根拠が明確でない直接工事費相当額)に適切でない共通仮設費率を乗じて、その額に別途現場事務所費等を加算していたことなどから、5,222,506円が過大に積算されていた。
その一方で、直接工事費のうち、前記の中庭基礎工事費を除く建築工事費等について、計上すべき排気設備工事費、給排水設備工事費等を計上していなかったことなどから、建築工事費等が27,708,149円過小に積算されていた。また、共通費のうち、現場管理費及び一般管理費等について、根拠が明確でない現場管理費率及び一般管理費等率により算定したことなどから、現場管理費及び一般管理費等が1,690,736円過小に積算されていた。
したがって、本件工事費を修正計算すると、直接工事費は100,950,930円となり、これに所定の率を乗ずるなどして算定した共通費23,287,166円及び消費税等相当額6,211,904円を加えた工事費の総額は130,450,000円となることから、本件契約額133,980,000円はこれに比べて約350万円割高になっていて不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、横浜検疫所において、適切な予定価格の積算を行うという認識が欠けていたこと、予定価格の積算における審査、確認が十分でなかったことなどによると認められる。