会計名及び科目 | 労働保険特別会計 | (雇用勘定) | (項)業務取扱費 | ||
(徴収勘定) | (項)業務取扱費 | ||||
部局等 | 厚生労働本省 | ||||
契約名 | (1) | 雇用保険活用援助事業委託(平成16年度〜20年度) | |||
(2) | 労働保険加入促進業務委託(平成16年度〜20年度) | ||||
(平成18度以前は、労働保険適用促進業務委託) | |||||
契約の概要 | (1) | 中小零細事業主を対象とした雇用保険制度の周知、相談等のための説明会等の実施 | |||
(2) | 労働保険の加入手続をしていない事業主に関する情報の把握及び加入勧奨活動等の実施 | ||||
契約の相手方 | 社団法人全国労働保険事務組合連合会 | ||||
契約 | (1) | 平成16年4月ほか 随意契約 | |||
(2) | 平成16年4月ほか 随意契約 | ||||
支払額 | (1) | 2,927,505,669円 | (平成16年度〜20年度) | ||
(2) | 3,692,227,277円 | (平成16年度〜20年度) | |||
計 | 6,619,732,94円 | ||||
過大となっていた支払額 | (1) | 36,691,284円 | (平成16年度〜20年度) | ||
(2) | 76,033,895円 | (平成16年度〜20年度) | |||
計 | 112,725,179円 |
厚生労働本省(以下「本省」という。)は、社団法人全国労働保険事務組合連合会(以下「全国労保連」という。)に対して、雇用保険活用援助事業及び労働保険加入促進業務(平成18年度以前は労働保険適用促進業務。以下、これらを合わせて「委託事業」という。)の実施を委託している。
このうち、雇用保険活用援助事業は、中小零細事業主における雇用保険の適用を促進することなどを目的として、中小零細事業主を対象とした雇用保険制度の周知、相談等のための説明会等を実施するものである。また、労働保険加入促進業務は、中小零細事業主を中心とした労働保険の加入手続をしていない事業主に対する労働保険への加入を促進することを目的として、当該事業主に関する情報を把握し、加入勧奨活動等を実施するものである。
委託事業に係る委託費の対象経費は、人件費、旅費等の委託事業に要した経費であり、委託費の交付、精算等の手続は、委託事業の委託要綱及び委託契約書によると、おおむね次のとおりとなっている。
〔1〕 本省は、事業の実施に当たり、全国労保連から委託事業実施計画書の提出を受けて、その内容が適当と認めるときは、全国労保連との問で委託契約を締結する。そして、当該委託契約に基づき、概算払により委託費を交付する。
〔2〕 全国労保連は、事業が終了したときは、事業の成果を記載した委託事業実施結果報告書及び委託事業費精算報告書(以下、これらを合わせて「精算報告書」という。)を本省に提出する。
〔3〕 本省は、全国労保連から提出された精算報告書の内容を審査して、適正と認めるときは委託費の額を確定して精算する。
本院は、本省及び全国労保連において、合規性等の観点から、委託費が事業の目的に沿って適正に支払われているかに着眼して、16年度から20年度までの間に全国労保連に支払われた委託費を対象に、精算報告書等の書類により会計実地検査を行った。そして、適正でないと思われる事態があった場合には、更に本省及び全国労保連に調査及び報告を求めて、その報告内容を確認するなどの方法により検査を行った。
検査したところ、次のような事態が見受けられた。
本省は、本院が検査の対象とした上記の委託費について、全国労保連から提出された精算報告書等に基づき、雇用保険活用援助事業2,927,505,669円、労働保険加入促進業務3,692,227,277円、計6,619,732,946円と確定して精算していた。
しかし、全国労保連は、職員が委託事業に従事していなかった日数相当分の人件費、委託事業とは関係のない用務に係る旅費等計112,725,179円(雇用保険活用i援助事業に係るもの36,691,284円、労働保険加入促進業務に係るもの76,033,895円)を委託費から支払っていた。
したがって、適正な委託費の額は計6,507,007,767円(雇用保険活用援助事業2,890,814,385円、労働保険加入促進業務3,616,193,382円)となることから、前記の委託費の支払額との差額計112,725,179円(雇用保険活用援助事業に係る分36,691,284円、労働保険加入促進業務に係る分76,033,895円)が過大に支払われており、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、全国労保連において、委託費の適正な会計経理に対する認識が欠けていたこと、本省において、全国労保連から提出された精算報告書等の審査が十分でなかったことなどによると認められる。