地方改善事業費(隣保館運営費等)補助金(隣保館運営等事業に係る分。以下「補助金」という。)は、生活環境等の安定向上を図る必要がある地域及びその周辺地域の住民の社会的、経済的、文化的改善向上を図るとともに、生活上の課題や様々な人権課題の速やかな解決に資することを目的として、政令指定都市及び中核市(以下、これらを「指定都市等」という。)並びにその他の市町村が行う隣保館(注) 運営等事業に要する給与等の人件費、需用費等の費用について、その一部を指定都市等に対しては直接、その他の市町村に対しては都道府県を経由して、それぞれ国が補助するものである。
補助金の交付額は、交付要綱等に基づき、隣保館運営等事業における隣保館運営費等の種目ごとに次のように算定することとなっている。
ア 指定都市等が行う事業について補助する場合
所定の方式によって算出した基準額と対象経費の実支出額とを比較して少ない方の額と、総事業費から寄附金その他の収入額を控除した額とを比較して少ない方の額を選定して、選定された額に2分の1を乗じて得た額とする。
イ 指定都市等以外の市町村の行う事業に対して都道府県が助成する事業について補助する場合
所定の方式によって算出した基準額と対象経費の実支出額とを比較して少ない方の額と、総事業費から寄附金その他の収入額を控除した額とを比較して少ない方の額を選定して、選定された額に2分の1を乗じて得た額と都道府県が助成した額に3分の2を乗じて得た額とを比較して少ない方の額とする。
そして、基準額は、ア、イいずれの場合も、隣保館の館長が他の施設の長等を兼務する場合は1隣保館当たりの基準単価を兼職数で除したり、専任指導職員を配置している場合はその人数に応じて定められた額を加算したりして算出することなどとなっている。
本院が、補助金について、8府県の19市町において会計実地検査を行ったところ、2府県の3市町において、基準額の算出に当たり、隣保館の館長が兼務していることを考慮していなかったり、専任指導職員の配置人数を過大に計上したりしたことなどにより、基準額が過大に算出されていたため、補助金計35,269,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、3市町において、補助制度の内容についての理解が十分でなかったこと、厚生労働省及び熊本県において、事業実績報告書の審査、確認が十分でなかったことなどによると認められる。
前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。
京都市は、平成16年度から20年度までの基準額の算出に当たり、隣保館の館長が他の隣保館の館長を兼務しているのに基準単価を兼職数で除していなかったり、専任指導職員の配置人数を過大に計上して加算額が過大になっていたりしたことなどのため、基準額を計65,886,184円過大に算出していた。
したがって、適正な基準額に基づいて16年度から20年度までの補助金を算定すると、計32,945,000円が過大となっていた。
以上を府県別・事業主体別に示すと次のとおりである。
府県名 | 補助事業者 | 間接補助事業者 | 年度 | 国庫補助金交付額 | 不当と認める国庫補助金交付額 | 摘要 | |
千円 | 千円 | ||||||
(513) | 京都府 | 京都市 (事業主体) |
— | 16〜20 | 547,027 | 32,945 | 基準額を過大に算出していたもの |
(514) | 熊本県 | 熊本県 | 阿蘇郡小国町 (事業主体) |
20 | 5,141 | 1,072 | 同 |
(515) | 同 | 同 | 菊池市 (事業主体) |
21 | 5,441 | 1,252 | 同 |
(513)—(515)の計 | 557,609 | 35,269 |